食品品評会
食品、飲料品品評会とは、製品の味覚を評価し、賞やメダルを授与するなどして表彰するものである。
概説
[編集]こうした品評会はいくつかの異なったカテゴリーに分類することができる。こうした品評会の大部分は、ワイン、ビール、チーズなどの特定の製品を審査する。他に、一定の地域、地方、国で作られた製品の審査に特化している品評会も存在する。最後に、世界各国で流通しているあらゆる食品と飲料品を国際規模で審査する品評会が存在する。こうした国際品評会の対象に最もなりやすい飲料品はワインで、ビール、スピリッツなども頻繁に品評会の対象になる。 製品の味覚と品質を評価する世界規模の品評会にはいくつかの方式がある。品評会の大部分は目隠し方式を採用している。時折、専門的なラボの分析が加わることもある。審査員となるのはたいてい、食品の味覚と品質におけるエキスパートであるシェフ、飲料品において同じ役目を果たすソムリエといった専門家たちである。このような品評会がいつ始まったのか、その歴史についての詳細は定かではない。しかしながら、記録に残っている最も古い飲料品の味覚品評会、The Brewing Industry International Awardは1888年にさかのぼる。 過去10年間について言えば、食料品の品目、マーケットの拡大に伴い、こうしたコンペティション、品評会の数も著しく増大した。 こうした品評会の開催費用(あるいはその一部)は殆どの場合において品評会へのエントリー料金という形でまかなわれている。他のケースでは、生産者あるいはエージェントは彼らのエントリー製品が受賞した場合のみ、または受賞の旨をパッケージ等に印刷して発表すると決めた場合にのみ料金を払うという場合もある。いずれの場合においても、品評会で受賞し、表彰されるということが商品化されうる、と考える人もいるだろう。しかしながら、品評会が独立機関により開催される場合、また、パッケージやブランド名等、個々の製品の評価の客観性を左右する恐れのある情報を全て伏せた形で行われる目隠し審査の方式に基づく場合、さらに、味覚、香り、外観、食感、後味といった審査員の五感を駆使した官能分析の方式を採用する場合においては、「賞はお金で買えるものである」という認識は必ずしも当てはまらない。
特定の製品に関する品評会 (例・ワイン、ビール、チーズ、米)
[編集]審査される製品 | 名前 | 参加者 | 審査員 | 賞 | その他 |
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ワイン | ブリュッセル世界コンクール | 4大陸から集まった合計6,000本のワインが審査される | ワイン学者、ソムリエ、ジャーナリスト、ワイン・ライター、国際的なバイヤー、取引業者など、40カ国から240名 | 100点満点での評価。獲得点数に応じて銀メダル、金メダル、グレート・金メダルが授与される。授賞率は30パーセント。 | 審査基準はOIVの推奨する基準、国際ワイン学者協会の定める基準に従っている。 |
ワイン/スピリッツ | 国際ワイン・スピリッツ・コンペティション | ワイン、スピリッツ、リキュール | 総勢150人以上の審査員は、ソムリエ、取引業者、生産者、ドリンク・ライター、コンサルタントなどにより構成される。全ての審査員は事前選考によって選ばれ、彼らの審査過程は厳しくチェックされる。 | 審査会はワイン学に基づいた審査と、より細かい化学的な分析から構成される。一定基準に達した製品の中から金賞、銀賞、銅賞の賞がカテゴリー別に贈られる。 | |
ビール | The Brewing Industry International Awards | 2005年には43カ国から752製品がエントリーした。 | 2005年度の審査員は17カ国から集まった31名の専門家・経験豊富なブルーワーから構成されていた。 | 9カテゴリー、25階級。すべてのカテゴリーと階級の製品の中から金賞、銀賞、同省が選ばれる。 | 1888年より開催されている。 |
チーズ Cheese | ワールド・チーズ・アワード 2008 | 世界各国から集まった合計2400のチーズ・ | 審査員の総数は約120名。 | 2005年の受賞データは金賞128、銀賞124、銅賞131 | |
米 | 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会 | 国内外から、3,915点が出品される(2012年度) | 1次審査は食味計で85点以上、2次審査は味度計で85点以上、3次審査は官能審査を実施(審査員30人) | 総合部門40名(金賞10名)、地域品種栽培部門、地域別部門、全国農業高校お米甲子園、小学生部門に金賞と特別優秀賞がある。 | お米づくり世界一を選ぶ大会で1999年より開催されている。過去5回連続入賞のうち金賞3回以上が受賞条件で「ダイヤモンド褒賞受賞」と「名稲会」会員となり殿堂入りする。 |
その他のシードル品評会
[編集]その他のワイン品評会
[編集](詳細はワインコンテスト参照)
- インターナショナル・ワイン・チャレンジ
- デキャンター・ワールド・ワイン・アワード
- インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション
- サンフランシスコ・インターナショナル・ワイン・コンペティション
- ロサンゼルス・インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション
- シドニー・インターナショナル・ワイン・コンペティション
その他のビール品評会
[編集]国単位/地域単位/ローカルな審査会
[編集]カテゴリー | 名前 | 参加者 | 審査員 | 賞 | その他 |
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ナショナル・アワード(チーズ) | ブリティッシュ・チーズ・アワード | 2008年度には、183のチーズ業者の手による908 のチーズが出品された。 | バイヤー、ジャーナリスト、シェフ、料理評論家などの専門家 | 金メダル51 銀メダル82 銅メダル 155 | イギリス産の牛、山羊、羊、バッファローの乳から生産されたチーズのみが参加できる。統計資料(pdf) |
全国品評会(日本) | 全国醤油品評会 | 2005年度の出品数は257品。 | 36名の審査委員 | 農林水産大臣賞、総合食料局長賞、優秀賞などがある。 | 醤油の品質向上と表示の適正化を図り、消費者に良質のしょうゆを提供し、合わせて業界の健全な発展に寄与することを目的とする。 |
全国品評会(日本) | 全国酒類コンクール | 毎年平均300品が出品される | 醸造学、発酵学の専門家、酒類評論家など | 色、味わい、個性の3点を基準に審査。合計点のトップ10の銘柄に賞が贈られる。 | 日本酒を世界に紹介するため、平成元年からロンドン、パリなどの世界主要都市で開催されていた。平成14年からは日本に開催場所を移し、年に二回ずつ開催されている。 |
地域別品評会(静岡県) | 静岡茶品評会 | 静岡県茶商工業協同組合に所属する製造者の製品144点(2009年) | 日本茶インストラクター、茶商などからなる12人の審査員 | 香り、滋味、水色、外観などの項目により審査。農林水産大臣賞などが贈られる。 |
その他の国単位・地域単位の品評会(日本)
[編集]国際的な品評会
[編集]カテゴリー | 名前 | 参加者 | 審査員 | 賞 | その他 |
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国際的な機関が開催するもの | 優秀味覚賞 | 全世界の食品・飲料品。メーカーの規模は問わない。 | 審査員はヨーロッパで最も権威ある12の調理師協会に所属するシェフと、国際ソムリエ協会(ASI)に所属するソムリエから構成される。審査員の国籍はフランス、ベルギー、ギリシャ、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スウェーデン、ルクセンブルクなどである。審査は目隠し方式にておこなわれ、官能分析 の方式を採用している。 | 食品、飲料品あわせて合計
270カテゴリーの製品が、International Taste & Quality Institute (iTQi・(国際味覚審査機構)主催の品評会によって審査される。受賞製品はスペリアー・テイスト・アワード(優秀味覚賞)のラベルを使用できる。ラベルは審査結果に対応しており、1つ星、2つ星、3つ星の三種類がある。また、iTQi は受賞製品のプロモーションキャンペーンを各種メディア、インターネットを通じて行うほか、審査員からのコメント、提案を希望に応じて参加メーカーに提供し、販売促進や品質向上に役立てることを推奨している。 |
2009年度には、全エントリー製品のうち9%が3つ星、37パーセントが2つ星、20 パーセントが1つ星を獲得した。 |
国際的な機関が開催するもの | モンド・セレクション | 世界の食品、飲料、健康食品、ダイエット食品、美容製品、たばこなどのカテゴリーからさらに100以上のグループに分けられる。 | 審査員、研究者、評論家など | 「味覚」、「衛生」「パッケージに記載されている成分が正しいか」等の項目に従って審査が行われ、各カテゴリーごとに最高金賞、金賞、銀賞、銅賞が授与される。評価は絶対評価で、一定基準に達した製品は受賞することができる。 | 1961年から存在する。本部はベルギー。
審査過程、総エントリー数、祭典結果などは公表されない。 |