港珠澳大橋
港珠澳大橋 | |
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基本情報 | |
所在地 |
広東省珠海市 香港新界離島区 マカオ花地瑪堂区 |
交差物件 | 珠江 |
用途 | 道路橋 |
路線名 |
道路: 京港澳高速道路 珠三角環状高速道路 |
着工 | 2009年12月15日 |
竣工 | 2017年11月14日 |
開通 | 2018年10月24日 |
構造諸元 | |
全長 | 49,968 m |
幅 | 42 m |
関連項目 | |
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式 |
港珠澳大橋 | |
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各種表記 | |
繁体字: | 港珠澳大橋 |
簡体字: | 港珠澳大桥 |
拼音: | Găngzhū'ào Dàqiáo |
発音: | ガンジューアオ ダーチャオ |
英文: | Hong Kong-Zhuhai-Macau Bridge |
港珠澳大橋(こうじゅおうおおはし、英: Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge、葡: Ponte Hong Kong-Zhuhai-Macau)は、中国広東省珠海市と香港新界離島区ランタオ島およびマカオ花地瑪堂区(澳)を結ぶ海上橋。珠江の河口湾(珠江口、Pearl River Estuary)を東西に連絡する橋。
2009年12月15日に着工し[1]、2018年10月23日に珠海で開通式が行われ、翌10月24日開通した[2]。当初は同月24日から一般車両の通行が可能となる予定[3][4]だったが、現在も通行には許可が必要であり一般車両への開放は行われていない。建設費は約1,100億人民元[5]。
世界最長の海上橋である。
概要
[編集]橋は片道3車線(合計6車線)の自動車専用である。香港側は香港国際空港のすぐ東側に作られた人工島にある港珠澳大橋香港口岸が起点となり、市街地と香港国際空港をつなぐ北大嶼山公路(北ランタオ高速道路、North Lantau Highway)に連結される。香港側にある2つの人工島の間は延長6.7kmの海底トンネルになっている。大陸側はマカオの東側を埋め立てて2.62平方kmの人工島(珠澳口岸人工島)を設置し、そこでマカオと珠海へと分かれる。人工島の南側はマカオに属する澳門口岸管理区となっている。出入境ゲートは3箇所に設けられる。中国語では「三地三検」と表現される。
香港・マカオ・珠海側の税関の間でシャトルバスが24時間運行される。ピーク時は5分間隔で運行される一方で、深夜は本数が少ない[6]。税関発着や経由のバスの他、香港〜マカオ間の国境越えのバスも運行される。香港国際空港と香港の市街地の間のバスは港珠澳大橋の香港側の税関経由に変更された。
車両の通行については、マカオならびに香港は「左側通行」であるが[7]、大橋本体部では、大陸部の「右側通行」ルールが適用される。ドライバーが香港またはマカオの出入境検査場に到着・出発した後、通行車両に対する指示板に基づき、走行調整運転方法の表示に従って、右側通行と左側通行の切り替えを行う。一般車両が通行するには通行ライセンスが必要だが、発行するのは600台分のみ[8][9][10]。マカオ側人工島の南側にある港珠澳大橋邊檢大樓にはマカオ市内に向かうバス乗り場、タクシー乗り場、カジノ・ホテルへの送迎車乗り場が設けられている。
経緯
[編集]1983年に胡應湘(Gordon Wu)、合和實業(香港のゼネコン)会長が提案したのが最初と言われる。大橋の建設により30分で香港と珠江デルタ西部が結ばれ、製造業の移転や観光の促進を促すと主張した。しかし、多額の費用がかかるため、当初は具体化の動きを見せなかった。その後、1989年に珠海市が中国本土側で珠海と深圳を結ぶ伶仃洋大橋の構想を唱え、1997年に一度は国務院の承認を得た。香港政府は、この構想に一切関与していなかった。
ところが、2000年以降、香港では中国本土とのインフラストラクチャーの拡充が急務となり、胡應湘の港珠澳大橋構想が再び議論され始めた。政府財政への影響を懸念する李嘉誠を除き、財界は賛成が多数を占めた。そのため、香港政府も検討を開始し、2002年9月20日の第三次内地(本土)・香港大型インフラ協力会議において、香港政府と中央政府(国家発展改革委員会)による共同研究の開始が合意された。
2002年11月には朱鎔基国務院総理(当時)も港珠澳大橋構想への支持を表明した。そのため、広東省政府も香港主導の計画に同意せざるを得なくなった。そして2003年8月4日国務院は共同研究結果を承認し、港珠澳大橋前期工作協調小組(Hong Kong-Zhuhai-Macau Bridge Advance Work Coordination Group)の設置に同意した。
また、中国政府にとってこの大橋の建設は広深港高速鉄道[11] とともに世界最大級の都市圏[12] を目指す粤港澳大湾区構想の一環とされる[13]。
2018年10月23日には、広東省珠海市において開通式典が行われた。香港政府の林鄭月娥行政長官は「2018年9月に開通した『広州ー深圳ー香港高速鉄道』の香港域内区間、本日開通した『港珠澳大橋』、そして2019年中にオープン予定の出入境ポイントである『蓮塘・香園圍新口岸』を通じ、香港と中国本土間の移動時間が短縮されるだけでなく距離も縮まる。」と述べ、加えて「港珠澳大橋は香港にとって多方面にわたる新たな活力をもたらす。」とも述べた[14]。
コンクリート強度偽装問題
[編集]2017年5月、橋のコンクリート強度の偽装の疑いが報道された。23日香港廉政公署は、コンクリートの品質検査に関して強度試験で不正を行ったとして、21人の容疑者を逮捕している[15]。
香港特別行政区政府の建設監督部門は、橋の香港側部分の構造検査を行ったところ、異常は見られず断裂も発見できなかったと発表[15]。橋の安全性は維持されているとして予定どおり残りの工事を進めるとしたが、問題のコンクリートが使われた場所の特定はできていないとのこと[16]。
開通後の問題
[編集]風水の見地から見ると、人工島の形は2匹の蛇が対峙することに似ており、不吉だとされる[17]。
海上橋を利用するには、中国本土と香港の両方の運行ライセンスを保有していることが必要なため、当初想定していたほど交通量が増えていない[18]。
脚注
[編集]- ^ “Arup: "Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge ground breaking"”. 2013年2月12日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “香港・珠海・マカオ大橋が開通、世界最長の海上橋”. 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO) (2018年10月31日). 2024年8月4日閲覧。
- ^ “香港・マカオに世界最長の橋 24日開通へ”. 日本経済新聞. (2018年10月23日) 2018年10月23日閲覧。
- ^ “世界最長の海上橋開通式 中国と香港、マカオ連結”. 産経ニュース. (2018年10月23日) 2018年10月23日閲覧。
- ^ “Hong Kong-Zhuhai-Macau Bridge construction set to finish this year”. Nikkei Asian Review (18 May 2017). 8 June 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。3 October 2017閲覧。 “ZHUHAI, China -- A bridge connecting this city in the southern Chinese province of Guangdong with Hong Kong and Macau will be completed by year-end and fully open to vehicular traffic in 2018, authorities told foreign media Wednesday.”
- ^ “Cross-boundary Public Transport Services” (English). 2020年5月9日閲覧。
- ^ “テスラが多い理由とは?現地で感じたマカオと香港のクルマ事情”. GAZOO (2018年12月5日). 2020年5月9日閲覧。
- ^ “世界最長の海上橋「港珠澳大橋」、10月23日開通へ 習近平国家主席が開通式に参加も”. 香港経済新聞. (2018年10月19日)
- ^ Hong Kong Private Cars to Guangdong
- ^ F_142. “港珠澳大橋の通行料支払いにアリペイやWeChatなどキャッスレス決済可能に”. 人民網日本語版. 2018年10月24日閲覧。
- ^ “香港と本土つなぐ「大湾区」計画に課題多数 制度の違いが「障壁」、最小化に焦点”. フジサンケイビジネスアイ (2018年9月20日). 2019年2月20日閲覧。
- ^ “中国「ベイエリア」、東京圏やNY圏超えるGDP目指す-30年までに”. ブルームバーグ (2017年8月24日). 2019年2月20日閲覧。
- ^ “世界最長の海上橋が24日開通-香港・マカオと中国本土の一体化進む”. ブルームバーグ (2018年10月23日). 2019年2月20日閲覧。
- ^ “香港・マカオ・珠海大橋が開通 世界最長の海上橋”. JETRO. (2018年10月31日) 2020年5月9日閲覧。
- ^ a b “世界最長の海上橋で不正、コンクリート強度を偽装か―香港”. レコードチャイナ (2017年5月26日). 2017年6月3日閲覧。
- ^ “世界最長の海上橋工事、コンクリート強度偽装か 中国”. 朝日新聞デジタル (2017年5月26日). 2017年6月3日閲覧。
- ^ “堪輿家:大橋「兩蛇對沖」損風水招災害” (中国語). 東方日報. 2019年10月19日閲覧。
- ^ “中国「世界最長の海上大橋」が期待外れの閑散ぶり、背景にあるしがらみとは”. DIAMONDonline (2021年10月8日). 2024年8月4日閲覧。