高井ゆと里
人物情報 | |
---|---|
生誕 |
1990年 日本 |
学問 | |
研究分野 | 哲学、倫理学 |
主な受賞歴 | 若手論文奨励賞(日本生命倫理学会)[1] |
高井 ゆと里(たかい ゆとり[2]、1990年[3] - )は、日本の哲学者。 群馬大学情報学部准教授。専門はハイデガー研究を中心とした西洋哲学、生命倫理学[4]、および研究倫理について。学位は博士(文学)(東京大学)[5]。
来歴
[編集]幼少期から、「意味の分からないルールばかりの世界に生まれてしまった」「世の中の秩序やルールが理解不能」と思っていたことを明かしている。人のものを何故盗まないか、何故お金には価値があるのか等の「問い」を考えて続けてしまうせいで哲学者になったことを明かしている。産まれた時に割り当てられた自身への性別・男女で分けることについて考え続けてしまう悩みがあり、男女どちらもない性別を生きる人たちのための言葉「ノンバイナリー」に出会ったと明かしている[6]。2013年3月、東京大学文学部思想文化学科卒業[5]。2015年3月、同大学院人文社会系研究科(倫理学研究室)修士課程修了。2019年8月、同博士課程(倫理学研究室)単位取得満期退学[5]。 学部時代から熊野純彦ゼミに所属[7]し、卒業論文で『存在と時間』をテーマとして以来ハイデガー研究を専門とする。ノンバイナリーの当事者であることを2021年11月に公表している[8][9]。
2017年以降、千葉大学、埼玉医科大学ほかで非常勤講師[5]。2019年8月国立がん研究センター特任研究員、2021年4月石川県立看護大学講師を経て[3]、2022年4月より群馬大学情報学部准教授を務める[2][1]。
ノンバイナリー当事者公表後
[編集]ショーン・フェイ著『トランスジェンダー問題』の翻訳に携わり2022年に刊行した[10]。あとがきで「この本は、シスジェンダーでない人々の手によって、日本のトランスジェンダーのために翻訳したい」(p.418)と述べている[10][11]。
著作
[編集]単著
[編集]- 『ハイデガー:世界内存在を生きる』(シリーズ:極限の思想)講談社〈選書メチエ le livre〉、2022年。ISBN 978-4-06-526940-4
編著
[編集]- 『トランスジェンダーと性別変更:これまでとこれから』岩波書店〈岩波ブックレット〉、2024年。ISBN 978-4-00-271090-7
共著
[編集]- (周司あきら)『トランスジェンダー入門』集英社〈集英社新書〉、2023年。ISBN 978-4-08-721274-7
- (周司あきら)『トランスジェンダーQ&A:素朴な疑問が浮かんだら』青弓社、2024年5月。ISBN 978-4-7872-3536-7
訳書
[編集]- ショーン・フェイ『トランスジェンダー問題:議論は正義のために』(解説:清水晶子)明石書店、2022年。ISBN 978-4-7503-5463-7
- テレサ・ソーン作、ノア・グリニ絵『じぶんであるっていいかんじ:きみとジェンダーについての本』エトセトラブックス、2024年。ISBN 978-4909910226
主な学術論文
[編集]- (共著:松井健志)「プラセボ対照試験は倫理的に許されるか?:均衡原則をめぐる論争」『医学哲学医学倫理』39号、2021年。
- (共著:松井健志)「臨床研究からの妊婦の排除という倫理的問題」『生命倫理』31巻1号、2021年。
- (共著:松井健志)「臨床研究における「治療との誤解」再考」『医学哲学医学倫理』40号、2022年。
- 「希少性疾患と医療資源分配の正義」『生命倫理』32巻1号、2022年。
- 「世界は我が家なのか?:フェミニスト現象学と実存論的分析論」(特集:フェミニズムと実存)『実存思想論集』38号、2023年。
- (共著:山田秀頌)「トランスジェンダーの性別承認法における不妊化要件に妥当性はあるか」『生命倫理』33巻1号、2023年。
脚注
[編集]- ^ a b “高井 ゆと里”. researchmap. 2023年4月3日閲覧。
- ^ a b “高井ゆと里”. 明石書店. 2023年4月2日閲覧。
- ^ a b “高井ゆと里『存在と時間』の新しい読み方【著者に聞く】”. 中央公論 (2022年4月22日). 2023年4月2日閲覧。
- ^ "教員紹介."群馬大学情報学部・情報学研究科. 2024年3月29日閲覧。
- ^ a b c d "マイポータル."researchmap(科学技術振興機構). 2024年3月29日閲覧。
- ^ “File83. 自分の性別について考えることに疲れた人のための本|昨日、なに読んだ?|高井 ゆと里|webちくま”. webちくま (2024年6月8日). 2024年6月13日閲覧。
- ^ "高井ゆと里『存在と時間』の新しい読み方【著者に聞く】."web「中央公論.jp」(2022年4月22日). 2024年5月4日閲覧。
- ^ トランスジェンダー問題 議論は正義のためにp.418
- ^ 「「自分らしく生きる」「差別に反対」トランスジェンダーの人権訴え東京・新宿で1000人が行進」『東京新聞』2022年11月12日。2023年4月3日閲覧。
- ^ a b “「日本のトランスたちのために翻訳したかった」。英書籍『トランスジェンダー問題』訳者の想い”. CINRA (2022年10月31日). 2023年4月3日閲覧。
- ^ 「「自分らしく生きる」「差別に反対」トランスジェンダーの人権訴え東京・新宿で1000人が行進」『東京新聞』2022年11月12日。2023年4月3日閲覧。
外部リンク
[編集]- 群馬大学情報学部教員紹介
- 高井ゆと里 (@Yutorispielraum) - X(旧Twitter)
- ゆと里スペース - note