鳥追い
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鳥追い(とりおい)とは、小正月(1月14日 - 15日)に行われる年中行事のひとつ。また、正月の祝い芸として各戸を回って鳥追い唄を歌う門付芸人のことも指す。
農村行事として
[編集]主に東日本の農村において行われる行事で、田畑を鳥の被害(食害)から守ることを祈念して行われる。この行事は、主に子どもが主役となって行われ、地域によってやり方は異なるが、木や藁・正月に使われた注連縄などで小屋をつくり、その小屋を小正月の夜に燃やすものや、子どもたちが鳥追いの歌を歌いながら村の中を回ったり、村境まで行くものなどがある[1]。
新潟県上越市の俗信として、隣町と鳥追い歌を歌い合うが、隣町より早く歌わないと害鳥が全て来てしまう、また、鳥追いに出る時は騒いで行くが、帰りは静かに帰らないと鳥が戻って来るとされた[2]。福島県では子供達が鐘や拍子木を用いて村外れまで行き、その後、隣部落の子供達と雪合戦や石合戦をする行事となっている[3]。
門付芸として
[編集]阿波踊りの女性の扮装はこの鳥追い女の風俗がもとになっている[4][5]。
京都では物乞いが人家の門口で扇を叩きながら祝いの歌を歌い、金銭を乞う[6]。
民話・伝説
[編集]静岡県浜松市寺島町(寺島八幡地)の伝説として、享保3年(1718年)、秋の収穫期になるとスズメの大群が稲穂を荒らし、これに困った農民が村の地蔵尊に願うと、翌朝、田んぼには一羽も見当たらず、地蔵の足が泥だらけになっていた。そのため、地蔵がスズメを追い払ったとして、以来、「鳥追地蔵」として手厚く祀られるようになった[7]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ 「年中行事事典」p550 1958年(昭和33年)5月23日初版発行 西角井正慶編 東京堂出版
- ^ 怪異・妖怪伝承データベース、「俗信」「鳥追い」で参考文献含めて検索可能。
- ^ 怪異・妖怪伝承データベース、「鳥追い」で参考文献含めて検索可能。
- ^ 『女性芸能の源流: 傀儡子・曲舞・白拍子』脇田晴子、角川学芸出版, 2001
- ^ 『古語辞典 第八版』(旺文社)p.886.女芸人が編み笠をかぶって門前で三味線を用いて歌い、金銭を乞うとある。
- ^ 『古語辞典 第八版』(旺文社、1994年)pp.885-886.
- ^ 『浜松城物語-家康から現代まで-』(読売新聞浜松支局編、1978年)p.152.当著では、搾取していた地主をスズメにたとえた、高免に苦しんだ農民の哀話かもしれないとする。
外部リンク
[編集]- 新春を祝う芸―女太夫の鳥追 部落解放同盟東京連絡会
- 塩尻市の子供たちによる小正月行事鳥追い 信州デジくら