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龍應台

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
龍 應台
中華民国の旗 中華民国
初代 文化部長
(2012年5月19日までは文化建設委員会主任委員)
任期
2012年2月6日 – 2014年12月7日
代理官許秋煌英語版張雲程英語版林金田英語版
許秋煌英語版洪孟啟英語版李應平英語版
前任者曾志朗英語版
後任者洪孟啟英語版
個人情報
生誕 (1952-02-13) 1952年2月13日(72歳)
中華民国の旗 中華民国 台湾省高雄市大寮区
子供2人
出身校国立成功大学
カンザス州立大学
龍 應台
各種表記
繁体字 龍 應台
拼音 Lóng Yìngtái
ラテン字 Lung Ying-tai
和名表記: りゅう おうたい
発音転記: ロン インタイ
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胡 美麗
各種表記
繁体字 胡 美麗
簡体字 胡 美丽
拼音 Hú Měilì
ラテン字 Hu Meili
和名表記: こ びれい
発音転記: フー メイリー
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龍 應台(りゅう おうたい、1952年2月13日 - 、女性)は、中華民国台湾)のエッセイスト、文化評論家である[1]胡美麗というペンネームを使用することもある[2]

龍の辛辣で批判的なエッセイは台湾の民主化に貢献し[1]中国本土の主要新聞にコラムを持つ唯一の台湾人作家として、中国本土でも影響力のある作家となっている。著書は17冊ある[3][4]

作家としての活動のほか、台北市の初代文化局長(1999年 - 2003年)[5]、中華民国の初代文化部長(2012年 - 2014年)を務めた[5][6]

若年期

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父の龍槐生は中国国民党の憲兵で、1949年の国共内戦で国民党が敗れたときに、一家で台湾に居を移した[1]。5人兄弟の第2子である。

国立台南女子高級中学を卒業後、国立成功大学で外国語と文学の学士号を取得し[7]カンザス州立大学で英米文学のPh.D.を取得した[8]

経歴

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台湾に帰国後、『中国時報』紙で台湾の諸情勢をテーマにした論説コラムを執筆した。このエッセイは1985年に社会政治批判の本『野火集中国語版』として出版された。当時は台湾がまだ国民党の一党支配下にあり、「この島の民主化に影響を与えた」と評されている[1]。1987年にドイツに移住した[9]。これは、作品への反響の中に殺害の脅迫を含むものがあったためである[10]。龍のエッセイを翻訳したものが、『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』などのヨーロッパの新聞に掲載された。龍の作品は、1990年代初頭から中国本土の新聞に掲載されるようになった[11]。龍の著書には、『孩子你慢慢來』(1994年)、『銀色仙人掌:龍應台小說集』(2003年)、『百年思索』(1999年)、および、2006年の雑誌『氷点週刊』の一時停刊についての胡錦濤への公開書簡である『請用文明來說服我』(2006年)などがある[8][12]。1994年には、「幸好我不是新加坡人」(幸い私はシンガポール人ではない)という記事で、シンガポールリー・クアンユーとその政府による個人の自由に対する制限を批判した[10]

1999年9月に台湾に帰国し、台北市の初代文化局長に就任した[9][10][13][14][15]。4年間の任期中に台北市の芸術の知名度を高める政策を行った[3]。2003年3月に辞職し、執筆活動に復帰したが、このとき「役人という仕事は息苦しい。ほとんど息ができなかった」と述べている[16]

2012年7月11日、中山堂での自由中国号帰国式典に参列中の龍應台。

2004年から2006年まで香港大学新聞・メディア研究センターの客員教授を務めた[17]。2005年7月には、文学・芸術活動や学術的な講義を後援するためのプラットフォームとして「龍應台文化基金会」を設立した[3]。2007年には、監察院の監察委員の職が提示されたが辞退した[18]。2008年に香港大学の孔梁巧玲傑出人文学者[4]、台湾の国立清華大学の主任教授に就任した[8]。 2009年には、国立成功大学から李国鼎英語版賞を受賞した[7]

2008年には『目送英語版』が出版され、アジア全域で人気を博した。この本は、龍が遭遇した困難や障害、特に家族との関係を描いた74の散文作品を集めたものである。

2009年の著書『大江大海一九四九英語版』は、国共内戦中国国民党の台湾撤退を描いたものである[1]。台湾では10万部以上、香港では1万部以上売れたが、この本の発売後、中国本土で龍の作品に関する議論は禁止された[1][19]

文化部長として

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2012年5月に行政院文化部が設立され、その初代部長(大臣)に就任した[5][20][21][22]

龍は2012年5月21日に文化部長に就任し、政治的な影響を受けないようにしたいとの意向を表明した[23]。2年7か月の在任期間中、読書[24]、テレビ文化[25]、両岸交流[26][27]などに取り組んだ。2014年12月1日に龍は文化部長の職を辞任した。母の高齢化が主な理由だったが、政治やメディアからの敵対心も原因に挙げていた[28]

私生活

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1980年代後半に移住したドイツでドイツ人男性と結婚し、2人の息子をもうけた[10]。この期間には龍はインタイ・ヴァルター(Ying-tai Walther)とも呼ばれていた[2]。その後離婚した[29]。龍の著書『親愛的安德烈』(Dear Andreas)は、龍と長男との間の手紙や電子メールを集めたものである。

脚注

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  1. ^ a b c d e f Yu, Verna (5 October 2009). “Untold Stories of China and Taiwan”. New York Times. https://www.nytimes.com/2009/10/06/world/asia/06iht-taiwan.html?_r=2&ref=global-home 2020年11月10日閲覧。 
  2. ^ a b Wu, Helen Xiaoyan (2004). “Long Yingtai”. In Edward L. Davis. Encyclopedia of contemporary Chinese culture. Routledge. ISBN 0-203-64506-5. https://books.google.com/books?id=U2cO7tjYIK0C&pg=PT555 
  3. ^ a b c Buchan, Noah (2 March 2007). “Making rebels with a cause”. Taipei Times. http://www.taipeitimes.com/News/feat/archives/2007/03/02/2003350716 2020年11月10日閲覧。 
  4. ^ a b Adjuncts”. Journalism and Media Studies Center. Hong Kong University. 18 April 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月10日閲覧。
  5. ^ a b c 中華民國文化部-歷任首長” (10 October 2008). 2020年11月10日閲覧。
  6. ^ Culture minister resigns; says preliminary mission accomplished – Culture – FOCUS TAIWAN – CNA ENGLISH NEWS”. 2020年11月10日閲覧。
  7. ^ a b Academician Paul Chu and Prof. Ying-Tai Lung Honored with K.T. Li Chair Professor Award by NCKU”. National Cheng Kung University (10 November 2009). 24 July 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月10日閲覧。
  8. ^ a b c Chen, Ya-ling (2006年7月31日). “向胡錦濤嗆聲的心路歷程” (Chinese). Business Weekly. 2007年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月10日閲覧。
  9. ^ a b Chu, Monique (4 September 1999). “Writer appointed cultural head”. Taipei Times. http://www.taipeitimes.com/News/local/archives/1999/09/04/1836 2020年11月10日閲覧。 
  10. ^ a b c d Ling, Connie (2001年). “Former Taiwan Social Critic Works To Promote Taipei's Urban Culture”. Wall Street Journal. https://www.wsj.com/articles/SB984147226750729821?mod=googlewsj 2020年11月10日閲覧。 
  11. ^ Snyder, Charles (10 December 2006). “Lung Ying-tai slams Taiwan's isolation”. Taipei Times. http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2006/12/10/2003339860 2020年11月10日閲覧。 
  12. ^ Luard, Tim (23 February 2006). “China's censored media answers back”. BBC News. http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/4743274.stm 2020年11月10日閲覧。 
  13. ^ “Asiens Öffnung zur Welt – Gespräch mit Lung Ying-tai, Kulturdirektorin der Stadt Taipeh” (German). Neue Zürcher Zeitung (Switzerland). (11 August 2001). オリジナルの6 June 2011時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110606064728/http://www.nzz.ch/2001/08/11/li/article7246O.html 2020年11月10日閲覧。 
  14. ^ “Editorial: Culture and politics inseparable”. Taipei Times. (15 May 2000). http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2000/05/15/36092 2020年11月10日閲覧。 
  15. ^ Shu-ling, Ko (2 August 2000). “Cultural Affairs Bureau takes over art museum”. Taipei Times. http://www.taipeitimes.com/News/local/archives/2000/08/02/46112 2020年11月10日閲覧。 
  16. ^ Huang, Sandy (20 March 2003). “Taipei's cultural head makes good with two books”. Taipei Times. http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2003/03/20/198760 2020年11月10日閲覧。 
  17. ^ International – JMSC Our Story”. JMSC Our Story (2020年10月21日). 2020年11月10日閲覧。 “Between 2004 and 2006 the JMSC hosted Lung Ying-tai, Taiwanese essayist, cultural critic, and Taipei’s first Cultural Bureau Chief (1999‒2003), as a Visiting Professor. She moderated several talks with local media figures as part of a lecture series called ‘Rethinking Hong Kong’. Topics included ‘The Shifting Cultural Responsibilities of Chinese Newspapers’ (2004) and ‘Civil society on the Move? Reading Beijing, Taipei and Hong Kong through their media’ (2005).”
  18. ^ Mo, Yan-chih; Shih, Hsiu-chuan (8 March 2007). “KMT sets list of Control Yuan candidates”. Taipei Times. http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2007/03/08/2003351401 2020年11月10日閲覧。 
  19. ^ Lung Ying-tai becomes an internet pariah in China”. China Free Press (18 September 2009). 7 May 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月10日閲覧。
  20. ^ Smith, Charlie (28 August 2012). “Taiwan's culture minister Lung Ying-tai negotiates with Chinese government that banned her bestseller”. Straight.com. 2012年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月10日閲覧。
  21. ^ Taiwan's Ministry of Culture History”. Official site. 2012年7月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月10日閲覧。
  22. ^ Taiwan's Minister of Culture”. Official site. 27 October 2012閲覧。
  23. ^ New Ministry of Culture opened”. Taipei Times. 2020年11月10日閲覧。
  24. ^ Nation’s reading habits cause worry”. Taipei Times. 2020年11月10日閲覧。
  25. ^ Culture minister urges soft power boost”. Taipei Times. 2020年11月10日閲覧。
  26. ^ “Reciprocity key to Chinese satellite TV: minister”. Taipei Times. (2013年4月30日). オリジナルの2013年5月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130510074904/http://www.chinapost.com.tw/taiwan/china-taiwan-relations/2013/04/30/377368/Reciprocity-key.htm 2020年11月10日閲覧。 
  27. ^ “Minister hopes for creative boost”. Taipei Times. http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2013/05/11/2003562010 2020年11月10日閲覧。 
  28. ^ Minister of Culture Lung Ying-tai's resignation statement”. Ministry of Culture (2014年12月1日). 2020年11月10日閲覧。
  29. ^ 龍應台新書 坦承與德籍丈夫離婚 (Lung Ying-tai admits to divorcing German husband in new book)”. TVBS News. TVBS. 2020年11月10日閲覧。

外部リンク

[編集]
公職
先代
初代:文化部長
2012年5月20日 - 2014年12月8日
次代
洪孟啓中国語版
先代
曽志朗中国語版
行政院文化建設委員会 主任委員
2012年2月6日 - 2012年5月19日
次代
文化部に改組