071型揚陸艦
071型揚陸艦 | |
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基本情報 | |
艦種 | ドック型輸送揚陸艦 (LPD) |
建造所 | 滬東中華造船 |
運用者 |
中国人民解放軍海軍 タイ海軍(071ET型) |
建造期間 | 2006年 - 2020年 |
就役期間 | 2007年 - 就役中 |
建造数 | 8隻 |
次級 | 075型 (LHD) |
要目 | |
基準排水量 | 18,500トン[1] |
満載排水量 | 25,000トン |
全長 | 210 m |
最大幅 | 28 m |
吃水 | 7.1 m |
機関方式 | CODAD方式 |
主機 | SEMT ピルスティク16PC2-6 V400 ディーゼルエンジン×4基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 47,200馬力 |
最大速力 | 23ノット(公称) |
航続距離 | 10,000海里[2] |
乗員 | 120名 |
兵装 |
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搭載機 | Z-8輸送ヘリコプター×2機 |
搭載艇 | 726型エアクッション揚陸艇×4隻 |
C4ISTAR |
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FCS |
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レーダー |
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電子戦・ 対抗手段 |
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071型揚陸艦(ぜろなないちがたようりくかん、中国語: 071型船坞登陆舰)は、中国人民解放軍海軍のドック型輸送揚陸艦(LPD)の艦級。NATOコードネームは玉昭型(英: Yuzhao-class)[4][5]。
設計
[編集]本型は、人民解放軍海軍として初のドック型揚陸艦である。またステルス性に配慮した設計から、しばしばアメリカ海軍のサン・アントニオ級と対比される。ただし建造価格は同級の3分の1程度といわれている[4]。建造した滬東中華造船の親会社中国船舶工業集団のサイトでは、排水量はサン・アントニオ級と同等の25,000トンとされている[2]。中国メディアのCGTNは、29,000トン[6]で一回り大きいと報道した。
船型は商船ベース、係留装置も一般舶用品とみられている。艦首はバルバス・バウとされている。上部構造物は中央にまとめられており、その後端の2本の煙突は両舷側に寄せられている[7]。
機関もサン・アントニオ級と同系列ながらよりバージョンが新しい、SEMT ピルスティク16PC2-6 V400ディーゼルエンジンを4基搭載し、減速機を介して2軸を駆動するCODAD方式とされている[4]。
能力
[編集]輸送揚陸機能
[編集]一般的にはドック型輸送揚陸艦(LPD)として扱われるが、ウェルドックは艦全長の2⁄3(約140メートル)に達するとされており[4]、比率としてはドック型揚陸艦(LSD)に近い[7]。このため、大型艦の割には、搭載車両数などが少なくなっている[8]。
このウェルドックには726型エアクッション揚陸艇(ACV)4隻が収容されるほか、揚搭作業用として、両舷のレセス内にLCVP 2隻も搭載している。また上部構造物後端にはハンガーを備え、その後方の艦尾甲板は広大なヘリコプター甲板とされている。Z-8輸送ヘリコプター(シュペル・フルロンの中国軍仕様)を通常2機、最大4機搭載可能とされている[4]。
搭載能力は、海軍陸戦隊にして大隊規模で[4]、装甲戦闘車両15〜20両および兵員500〜800名とされている。艦中部両舷には、人員や車両の揚降のためのサイドランプが備えられている[8]。
個艦防御機能
[編集]個艦防御用としては、艦首甲板の甲板室上に60口径76mm単装速射砲(H/PJ-26)を、また上部構造物の中部・後端のそれぞれ両舷にH/PJ-13 30mmCIWSを1基ずつ備えている。個艦防空ミサイル・システムの搭載も噂されているが、2014年現在確認されていない[4]。
同型艦
[編集]一覧表
[編集]# | 艦名 | 建造 | 起工 | 進水 | 就役 | 所属 |
---|---|---|---|---|---|---|
中国人民解放軍海軍 | ||||||
998 | 崑崙山 (Kunlunshan) |
滬東中華造船 | 2006年[1] | 2006年 12月21日[1] |
2007年 11月13日[1] |
南海艦隊[1] |
999 | 井崗山 (Jinggangshan) |
2009年[1] | 2010年 11月18日[1] |
2011年 10月30日[1] | ||
989 | 長白山 (Changbaishan) |
2010年[1] | 2011年 9月26日[1] |
2012年 9月23日[1] | ||
988 | 沂蒙山 (Yimengshan) |
2013年[1] | 2015年 1月22日[1] |
2016年 2月1日[9] |
東海艦隊[9] | |
980 | 龍虎山 (Longhushan) |
2017年 6月15日[10] |
2018年 9月12日 | |||
987 | 五指山 (Wuzhishan) |
2018年 1月20日[11] |
2019年 1月12日 |
南海艦隊 | ||
986 | 四明山 (Simingshan) |
2018年 12月28日[12] |
2020年[13] | 東海艦隊 | ||
985 | 祁連山 (Qilianshan) |
2019年 6月6日[14] |
2020年[15] | 南海艦隊 | ||
990 | 2024年予定 | 2025年予定 | 東海艦隊 | |||
995 | 2024年予定 | 2025年予定 | ||||
タイ海軍 | ||||||
792 | チャン (Chang)[16] |
滬東中華造船 | 2021年 12月23日 |
2023年 4月25日 |
運用史
[編集]1番艦「崑崙山」は、充実した搭載能力と航続距離、指揮管制能力を活かしソマリア沖海賊対策に従事することになり、2010年6月30日、蘭州級駆逐艦「海口」と第6次中国海軍派遣艦隊を編成、アデン湾へ派遣された。「崑崙山」には任務遂行のため、ロケット弾や機銃の搭載を可能とするための改装を実施したZ-8輸送ヘリコプター2機、726型エアクッション揚陸艇1隻、小型高速艇2隻が搭載された。
2番艦「井崗山」は2017年7月、中国がアフリカ東部に開設した初の海外基地であるジブチ保障基地へ駐留部隊を広東省湛江から輸送した[17]。
輸出型
[編集]中国は071型をベースとした揚陸艦を東南アジアの新興海軍国へ輸出することを計画している。 071E型と呼称しており、上部構造物が小型化され、ヘリ甲板が延長されて駐機数が3機になる。また、近接防御システムも変更される。船体に余裕があることから、顧客に応じて他の兵装や電子装備の変更も可能としている。
2019年9月9日にタイ海軍との間で初の建造契約が調印されており[18]、建造費はアメリカのサン・アントニオ級の18億ドル(2012年度)の7〜8分の1となっている。これまで中国から輸出された艦艇としては最大の排水量、タイ海軍としても最大の艦艇となる。2021年12月に1番艦「チャン」が進水。2023年1月4日に竣工後、タイに回航されて艤装が進められ[16]、4月17日にタイ海軍に引き渡され4月25日に就役した[19]。
タイの他にも、マレーシアやインドネシアなどが興味を示しているとしている。
登場作品
[編集]漫画
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m Saunders 2015, p. 153.
- ^ a b “沪东中华:为中国海军打造“靓丽名片” (中国語). 中国船舶工业集团有限公司NEWS. (2014年8月28日)
- ^ a b “071玉昭級綜合登陸艦”. 2024年2月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g 大塚 2014.
- ^ Wertheim 2013, p. 129.
- ^ 2019年5月6日
- ^ a b 海人社 2008.
- ^ a b 佐々木 2015.
- ^ a b Andrew Tate (2016年2月3日). “The PLAN commissions fourth Type 071 LPD” (英語). IHS Jane's 360. 2016年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月4日閲覧。
- ^ Andrew Tate (2017年6月16日). “China launches fifth LPD for PLAN” (英語). IHS Jane's 360. 2017年6月17日閲覧。
- ^ Andrew Tate (2018年1月23日). “Chinese navy’s amphibious capabilities continue to grow” (英語). IHS Jane's 360. 2018年1月24日閲覧。
- ^ Ridzwan Rahmat (2018年12月31日). “China launches seventh Type 071 LPD” (英語). IHS Jane's 360. 2018年12月31日閲覧。
- ^ 2020年中国海军新添多少战舰?下水5艘服役21艘,速度变慢了[リンク切れ]
- ^ Andrew Tate (2019年6月10日). “China increases construction rate of amphibious assault ships” (英語). IHS Jane's 360. 2019年6月10日閲覧。
- ^ 2020年中国海军新添多少战舰?下水5艘服役21艘,速度变慢了[リンク切れ]
- ^ a b 海人社 2023.
- ^ “中国、初の国外軍事拠点/ジブチ、PKOなど後方支援”. 『朝日新聞』朝刊. (2017年8月2日)
- ^ “071E型揚陸艦、初の輸出を実現”. 中国網. (2019年9月18日)
- ^ “Thailand receives Chinese-made amphibious ship” (25 April 2023). 1 June 2023閲覧。
参考文献
[編集]- Saunders, Stephen (2015). Jane's Fighting Ships 2015-2016. Janes Information Group. ISBN 978-0710631435
- Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545
- 大塚, 好古「ドック型輸送揚陸艦「玉昭」型 (特集 中国の現代軍艦)」『世界の艦船』第799号、海人社、2014年6月、100-101頁、NAID 40020064125。
- 海人社(編)「揚陸艦艇 (特集・中国海軍の新型艦艇) -- (注目の中国新型艦艇)」『世界の艦船』第686号、海人社、2008年2月、96-99頁、NAID 40015771006。
- 海人社(編)「ニュース・フラッシュ 中国建造のタイ海軍LPD「チャン」Changが竣工」『世界の艦船』第991号、海人社、2023年4月、126頁。
- 佐々木, 俊也「着上陸能力 (特集 中国海軍 2015) -- (中国海軍の能力を探る)」『世界の艦船』第816号、海人社、2015年5月、96-99頁、NAID 40020406578。
関連項目
[編集]ウィキメディア・コモンズには、071型揚陸艦に関するカテゴリがあります。