2017年10月民進党代表選挙
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2017年10月民進党代表選挙(2017ねん10がつみんしんとうだいひょうせんきょ)は、2017年10月23日に辞任を表明した前原誠司代表の後任を選出するため、2017年10月31日に両院議員総会において実施された民進党の党代表選挙である。唯一立候補を届け出た大塚耕平が無投票で選出された。
概説
[編集]2017年9月1日の民進党代表選挙で新代表に選出された前原誠司は、新執行部人事で幹事長に内定していた山尾志桜里が週刊誌のスキャンダル報道で離党し[1][2]、代表選を戦った枝野幸男陣営の幹部を要職に起用したことで民共共闘に批判的な笠浩史・後藤祐一・鈴木義弘らが相次いで離党を表明するなど[3][4][5]、党内の混乱や「離党ドミノ」で党勢の回復に苦慮していた[6]。一方、7月の東京都議会議員選挙で地域政党「都民ファーストの会」を率いて大勝した小池百合子東京都知事は、9月25日に国政新党「希望の党」の結成を表明したが[7][8]、同日に安倍晋三内閣総理大臣が第194回臨時国会冒頭の衆議院解散と第48回衆議院議員総選挙を10月10日公示・10月22日投開票の日程で行うことを正式表明したことを受け、短期決戦に向けた組織力や資金力の不足が課題となっていた[6][9]。9月26日、前原は小池と会談し、民進党と希望の党との合流について協議した[10][11][12]。
前原は9月28日の衆議院解散後の民進党両院議員総会で、(1)今回の総選挙における民進党の公認内定は取り消す、(2)民進党の立候補予定者は「希望の党」に公認を申請することとし、「希望の党」との交渉及び当分の間の党務については代表に一任する、(3)民進党は今回の総選挙に候補者を擁立せず、「希望の党」を全力で支援する[13]、との方針を提案して満場一致で了承され[14][15][16]、その後の記者会見で「全員が(希望の党の)公認候補になるよう尽力する」と述べた[17][注 1]。しかし、小池が9月29日に「(民進党前衆議院議員を)全員受け入れるようなことはさらさらない」[19]「(リベラル派が)排除されないということはない。排除する」[20]と述べ、立候補予定者に対し安保法制白紙撤回や憲法改正反対などの主張を改めるよう要求すると、これに反発した枝野が10月2日に新党「立憲民主党」の結成を表明し、民進党出身者は希望の党・立憲民主党・無所属に分裂して選挙戦に臨むこととなった[21][22]。
総選挙の結果、与党の自民・公明両党が野党の分裂を背景に定数465議席の3分の2を超える313議席を獲得して圧勝したのに対し、立憲民主党は公示前の15議席から55議席に躍進して野党第一党となったが、希望の党は公示前の57議席を下回る50議席にとどまった[23]。前原は10月23日の記者会見で民進党の参議院議員と地方組織について一定の方向性を決めた後に与党圧勝を許した責任を取って代表を辞任する意向を表明し[24][25][26]、10月27日の両院議員総会で希望の党との合流方針の撤回と地方組織の存続方針を決めた後[27]、10月30日の両院議員総会で辞任が了承され[28]、これに伴い代表選が行われることとなった。任期は、2018年9月末まで。
10月30日の両院議員総会で、10月31日正午から午後1時まで立候補受付を行い、午後3時から両院議員総会を開催して代表を選出することが決定された[29]。11月1日召集の第195回特別国会までに新代表を選出をするため、党員・サポーター投票は行わず[28][30]、党所属国会議員のみによる投票で選出する方式が採用された[31][32]。立候補受付の結果、大塚耕平以外の立候補者がおらず[33][34][35]、大塚が無投票当選を果たした[36]。報道によると、党内から「選挙をすると党が割れるきっかけになる」[37]として候補者一本化を求める声があり[38]、大塚・小川敏夫・蓮舫の間で一本化が模索され[39]、終盤は旧同盟系労組などが推す大塚[40]と左派・リベラル系が推す蓮舫[41][42][43]が争う構図となったが[44]、一足先に推薦人24人を確保した大塚が交渉を優位に進め、単独立候補に成功したという[45]。
立候補者
[編集]立候補が取り沙汰された人物
[編集]- 岡田克也 - 衆議院議員(10期)、元「無所属の会」代表、元民進党代表、元副総理、元外務大臣。候補として名前が挙がっていたが、10月30日の無所属の会の会合で新代表は参議院から出すべきとの認識で一致し[30][47]、会合後に出馬を否定した[28][48]。
- 羽田雄一郎 - 参議院議員(4期)、幹事長代理、元国土交通大臣。候補として名前が挙がっていたが、10月30日の両院議員総会後に出馬を否定した[30]。
- 小川敏夫 - 参議院議員(4期)、参議院議員会長、元法務大臣。立候補に意欲を示していたが、候補者一本化を模索して出馬を断念した[39][49]。
- 蓮舫 - 参議院議員(3期)、前代表、元行政刷新担当大臣。立候補に意欲を示していたが、推薦人が集まらなかった[50][45]。
党代表選データ
[編集]日程
[編集]推薦人
[編集]名簿順
候補者 | 推薦人 |
---|---|
大塚耕平 | 柳田稔、礒崎哲史、浜野喜史、伊藤孝恵、石上俊雄、濱口誠、矢田稚子、榛葉賀津也、羽田雄一郎、川合孝典、小林正夫、森本真治、大野元裕、吉川沙織、白眞勲、斎藤嘉隆、大島九州男、増子輝彦、難波奨二、古賀ゆきひと、野田国義、牧山弘恵、藤田幸久、桜井充 |
- 出典:『大塚耕平候補推薦人名簿』(PDF)(プレスリリース)民進党、2017年10月31日 。
選挙後の人事
[編集]11月8日の両院議員総会で主要人事が承認され[53]、11月17日の常任幹事会で以下の通り報告された。新組織として「基本政策検討本部」「党の戦略・組織・運営に関する改革本部」(いずれも仮称)が設けられ、それぞれ大塚が本部長に就いた[54]。
常任顧問 | 岡田克也 |
代表 | 大塚耕平 |
副代表 | 原口一博 小林正夫 |
幹事長 | 増子輝彦 |
幹事長代理 | 羽田雄一郎 福田昭夫 川合孝典 |
財務局長 | 大野元裕 |
国民運動局長 | 牧山弘恵 |
役員室長 | 羽田雄一郎 |
役員室長代理 | 吉川沙織 斎藤嘉隆 |
参議院議員会長 | 小川敏夫 |
参議院幹事長 | 羽田雄一郎 |
参議院国会対策委員長 | 那谷屋正義 |
常任幹事会議長 | 鉢呂吉雄 |
政務調査会長 | 足立信也 |
政務調査会長代理 | 金子恵美 田名部匡代 |
選挙対策委員長 | 篠原孝 |
選挙対策委員長代行 | 榛葉賀津也 |
国会対策委員長 | 平野博文 |
組織委員長 | 桜井充 |
統一地方選挙・参議院選挙対策本部長 | 大塚耕平 |
男女共同参画推進本部長 | 徳永エリ |
党の戦略・組織・運営に関する改革本部(仮称)長 | 大塚耕平 |
検討会座長 | 中川正春 |
基本政策検討本部(仮称)長 | 大塚耕平 |
両院議員総会長 | 柳田稔 |
代表選挙管理委員長 | 相原久美子 |
倫理委員長 | 神本美恵子 |
常任監査 | 江崎孝 |
会計監査 | 難波奨二 |
- 出典:『民進党役員一覧』(PDF)(プレスリリース)民進党、2017年11月17日 。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 「山尾ショック」収束に執行部躍起。本人は「いつか戻る」と意欲 | ホウドウキョク - ウェイバックマシン(2017年9月9日アーカイブ分)
- ^ 民進“山尾ショック”早期収拾図るも、さらなる離党の動き TBS NEWS - ウェイバックマシン(2017年9月9日アーカイブ分)
- ^ “離党調整の5人聴取へ 民進、慰留方針も意志固く”. 産経新聞. (2017年9月11日)
- ^ 民進保守系離反、前原氏に打撃=「離党ドミノ」収束へ全力 (時事通信) - Yahoo!ニュース - ウェイバックマシン(2017年9月15日アーカイブ分)
- ^ “【衆院解散】民進、「二枚舌」の共産党との関係 共闘反発の3氏除名の一方で積極派の顔色もうかがう”. 産経新聞. (2017年9月20日)
- ^ a b 野党「臨戦態勢」には程遠く…衆院解散へ : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) - ウェイバックマシン(2017年9月18日アーカイブ分)
- ^ “小池氏、新党「希望の党」設立 自ら代表に”. 日本経済新聞. (2017年9月25日)
- ^ “小池知事:「希望の党」結成 代表就任「消費増税凍結」”. 毎日新聞. (2017年9月25日)
- ^ “【民進党「解党」の舞台裏】小池百合子氏「私が代表なら興味あるかしら?」 焦る民進・前原誠司代表は… 水面下では「金庫」争奪戦も”. 産経新聞. (2017年9月29日)
- ^ “民進党:前原代表と小池氏が会談、連携を協議”. 毎日新聞. (2017年9月27日)
- ^ “「民進党」が「希望の党」に合流で最終調整”. 日本テレビ. (2017年9月27日)
- ^ “民進、希望と連携合意 高まる合流論、統一名簿を模索”. 朝日新聞. (2017年9月27日)
- ^ “【衆院解散】民進・前原誠司代表「候補擁立せず希望の党に公認申請し全力で支える」 両院議員総会で衆院選対応示す”. 産経新聞. (2017年9月28日)
- ^ “民進、「希望の党」へ合流方針を了承 両院議員総会で”. 日本経済新聞. (2017年9月28日)
- ^ “民進 「希望」への“合流”満場一致で了承”. 日本テレビ. (2017年9月28日)
- ^ “【動画あり・衆院解散】民進党、希望への「合流」満場一致で了承 事実上解党”. 産経新聞. (2017年9月28日)
- ^ “民進党:希望と合流 前原代表「名を捨て実取る」”. 毎日新聞. (2017年9月28日)
- ^ 合流協議着手は9月21日、希望と維新のすみ分け「聞いていた」 「前原氏は嘘つき」「即辞任を」…民進党両院総会の全容判明 - ライブドアニュース - ウェイバックマシン(2017年11月7日アーカイブ分)
- ^ 「全員受け入れる気さらさらない」と小池氏 - 共同通信 - ウェイバックマシン(2018年2月4日アーカイブ分)
- ^ “【衆院解散】「リベラル派は排除する」 希望・小池百合子代表が明言”. 産経新聞. (2017年9月29日)
- ^ “衆院選、3極固まる 民進の左派が「立憲民主党」”. 日本経済新聞. (2017年10月2日)
- ^ 民進 結局バラバラ 希望の党、立憲民主党、無所属:全国(衆院選2017):東京新聞(TOKYO Web) - ウェイバックマシン(2017年11月7日アーカイブ分)
- ^ 自公313に到達=無所属当選が最多―衆院選、全議席確定【17衆院選】 (時事通信) - Yahoo!ニュース - archive.today(2017年10月25日アーカイブ分)
- ^ “【衆院選】民進党・前原誠司代表「参議院の問題が決着したら辞任する」”. 産経新聞. (2017年10月23日)
- ^ 党の方向性決めた段階で辞任と前原氏 - 共同通信 47NEWS - ウェイバックマシン(2017年11月8日アーカイブ分)
- ^ “衆院選:民進・前原氏「一定のスパン決め辞任は当然」”. 毎日新聞. (2017年10月23日)
- ^ 前原氏、民進分裂に「痛切な責任」=両院総会で辞任表明 (時事通信) - Yahoo!ニュース - ウェイバックマシン(2017年10月27日アーカイブ分)
- ^ a b c 民進新代表、参院から=31日選出、岡田氏は固辞―前原氏の辞任了承 (時事通信) - Yahoo!ニュース - ウェイバックマシン(2017年11月8日アーカイブ分)
- ^ 民進・前原代表が正式に辞任、後任は31日に投票で選出 TBS NEWS - ウェイバックマシン(2017年10月30日アーカイブ分)
- ^ a b c “民進党:前原氏辞任了承 31日新代表選出 両院議員総会”. 毎日新聞. (2017年10月30日)
- ^ “「お世話になりました」 民進・前原代表の辞任了承”. テレビ朝日. (2017年10月31日)
- ^ “前原誠司氏、民進代表辞任を了承 希望合流の意向表明 民進、きょう新代表選出、蓮舫氏再登板も浮上”. 産経新聞. (2017年10月31日)
- ^ “民進党代表選 立候補は大塚耕平氏のみ 代表選出へ”. テレビ朝日. (2017年10月31日)
- ^ “民進党:代表に大塚参院議員を選出へ”. 毎日新聞. (2017年10月31日)
- ^ 民進党代表に大塚耕平参院議員…代表選無投票で (読売新聞) - Yahoo!ニュース - ウェイバックマシン(2017年11月7日アーカイブ分)
- ^ 大塚新代表を選出=「立憲・希望と政権交代」―民進 (時事通信) - Yahoo!ニュース - ウェイバックマシン(2017年11月7日アーカイブ分)
- ^ 民進新代表に大塚耕平氏 TBS NEWS - ウェイバックマシン(2017年11月4日アーカイブ分)
- ^ www.fnn-news.com: 民進党 午後新代表選... - ウェイバックマシン(2017年11月7日アーカイブ分)
- ^ a b “民進党:午後に新代表を選出”. 毎日新聞. (2017年10月31日)
- ^ “【民進党代表選】大塚耕平元厚労副大臣が出馬の意向固める”. 産経新聞. (2017年10月31日)
- ^ “民進党:新代表に大塚氏 幹事長や国対委員長は不在”. 毎日新聞. (2017年10月31日)
- ^ a b 民進、再分裂含み=共産との連携めぐり (時事通信) - Yahoo!ニュース - ウェイバックマシン(2017年11月7日アーカイブ分)
- ^ “【民進党代表選】左派、蓮舫氏擁立を画策 くすぶる分裂火種”. 産経新聞. (2017年11月1日)
- ^ “民進党 新代表に大塚氏か蓮舫氏選出の公算”. 日本テレビ. (2017年10月31日)
- ^ a b www.fnn-news.com: 民進代表に大塚氏 背... - ウェイバックマシン(2017年11月7日アーカイブ分)
- ^ 民進新代表に大塚氏=他に立候補なく (時事通信) - Yahoo!ニュース - ウェイバックマシン(2017年11月7日アーカイブ分)
- ^ “民進党代表選 新代表は参院議員が就任すべき”. フジテレビ. (2017年10月30日)[リンク切れ]
- ^ “民進代表選、蓮舫氏ら出馬意欲…岡田氏は不出馬”. 読売新聞. (2017年10月30日)[リンク切れ]
- ^ “民進新代表に大塚耕平氏 31日午後の両院総会で決定”. 日本経済新聞. (2017年10月31日)
- ^ “【民進党代表選】大塚耕平参院議員を新代表に選出 他に届け出なく…蓮舫氏は推薦人集めが難航”. 産経新聞. (2017年10月31日)
- ^ 『前原誠司代表が辞任、新代表選出の両院議員総会を31日に開催』(プレスリリース)民進党、2017年10月30日 。
- ^ 『両院議員総会で大塚耕平新代表を選出』(プレスリリース)民進党、2017年10月31日 。
- ^ 『両院議員総会を開催、増子幹事長ら新役員を承認』(プレスリリース)民進党、2017年11月8日 。
- ^ 民進、党勢回復へ新組織…基本政策など議論 (読売新聞) - Yahoo!ニュース - ウェイバックマシン(2017年11月13日アーカイブ分)