北朝鮮によるミサイル発射実験 (2017年8月)
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2017年8月29日の北朝鮮によるミサイル発射（2017ねん8がつ29にちのきたちょうせんによるミサイルはっしゃ）とは、平壌時間2017年8月29日5時27-28分ごろ（UTC+8:30）に、北朝鮮が実施した弾道ミサイルの発射実験である[1][2][3]。同ミサイルは朝鮮中央放送により火星12であったと明らかにされている[1]。同日6時6分ごろ、ミサイルは北海道上空を通過し、6時14分ごろに日本列島を超えて、太平洋上に落下した（いずれも日本時間/韓国時間、UTC+9）。
背景
北朝鮮がミサイルを発射するのは3日前の8月26日に日本海に向けて発射した以来のことであり、日本の上空を通過するのは2016年2月以来、今回で5回目となる。NHKニュースでは発射方向を事前に予告しないで発射するのは今までの発射からみると異例としている[4]。
経過
日本政府は全国瞬時警報システム（Jアラート）を使い、日本時間の午前5時58分に北朝鮮の西岸からミサイルが発射されたため避難を国民に要請した。避難の対象地域は北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県の1道11県にのぼる[5]。
緊急情報ネットワークシステム（エムネット）によると、ミサイルは3つに分離し、午前6時12分ごろ北海道襟裳岬東1180kmの落下したと推測した[6]。
安倍晋三総理大臣は官邸で記者団に対して「北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、わが国の上空を通過したもようだ。直ちに情報収集と分析を行う。国民の生命をしっかり守っていくために万全を期す」と発言した[7]。
菅義偉官房長官は6時40分、官邸で臨時の記者会見を行い、「本日5時58分ごろ北朝鮮西岸より、1発の弾道ミサイルが北東方向に向けて発射をされた。本弾道ミサイルは6時6分ごろ、わが国の北海道襟裳岬上空を通過し、6時12分ごろ、襟裳岬の東約1180キロメートルの太平洋上に落下したものと推定される」「現在のところ、わが国の領域への落下物は確認されていない。また、現時点において付近を航行する航空機や船舶への被害報告等の情報は確認をされていない」と発表した[8]。
原子力規制委員会はミサイル発射による原子力施設の異常などはないと緊急発表した[9]。
影響
6時2分にニュースが伝わると、109.2円で推移していた米ドル相場は108.92円レベルまで円高となった。ユーロドル相場は130.85から130.50円へ、ポンドドル円相場は141.25円から140.75円台へいずれも円高方向に向かった。シカゴ・マーカンタイル取引所の日経平均先物はニュースを受けて19480円から暴落し、一時は19080円まで値段を下げた[10]。
JR北海道は北海道新幹線を含めた全路線で[11]、札幌市交通局は地下鉄・市電の全路線で[12]、JR東日本はミサイル発射の情報を安全確認のため東北、上越、北陸の各新幹線と在来線全てで一時運転を見合わせた[13][14]。落下後安全確認ができたため、6時19分頃に運転再開をしている[15]。NHKニュースによると群馬県内のJR線全線で運転を見合わせていたが、午前6時18分に運転を再開した。つくばエクスプレスは全線一時停止していたが、安全確認後の6時20分ごろに再開した。日本道路交通情報センターの発表によると、6時20分現在、全国の高速道路で通行止め区間はないとしている[16]。
各国の反応
国際連合 - 緊急の安保理会合が開催され、北朝鮮ミサイル発射を非難する議長声明を全会一致で採択[17]。
オーストラリア - ジュリー・ビショップ外務大臣は、他国上空にミサイルを発射する行為は脅威的、危険で挑発的だと非難[18]。
中国 - 華春瑩外交部報道官は、国連安保理決議違反であると非難した上で、制裁ではなく対話を通じて解決すべきと主張[18]。
フランス - エマニュエル・マクロン大統領は、北朝鮮による再度の責任な行動であると非難[18]。
イギリス - テリーザ・メイ首相は、違法な実験であり、無謀な挑発行為であると批判[18]。
ドイツ - ジグマール・ガブリエル外務大臣は、国連安保理決議に反するもので、金諸国の安全や平和を脅かすと非難[18]。
日本 - 安倍晋三内閣総理大臣は、ミサイル発射は深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なう行為であると非難[19]。
韓国 - 外交部は北朝鮮による再度の挑発を強く糾弾すると声明。合同参謀本部は安保理決議に対する露骨で違法な発射であり、安定と平和を脅かす重大な挑発行為と避難する声明を発表[18]。
ロシア - セルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ロシアは全ての国連安保理決議を支持しており、北朝鮮も遵守するべきと間接的に非難。セルゲイ・リャブコフ外務次官は、米韓合同軍事演習が招いたものであると演習を非難[18]。
アメリカ合衆国 - ドナルド・トランプ大統領は、隣国、国連のすべての加盟国を侮辱する行為であり、すべての選択肢がテーブルの上にあるとの声明をホワイトハウスを通じて発表[20]。国防総省は、今回の発射はアメリカに対する脅威となるものではないと発表[19]。
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出典
- ^ a b “北朝鮮「火星１２発射訓練」と報道 金正恩氏が米国けん制”. 聯合ニュース. (2017年8月30日) 2017年8月30日閲覧。
- ^ 政府発表、北朝鮮が日本方面へミサイル発射 北海道から太平洋へ通過した模様 - 東洋経済ONLINE
- ^ 北朝鮮がミサイル発射、日本上空を通過 産経ニュース
- ^ 北朝鮮ミサイル通過７～１０分後 NHKニュース
- ^ Ｊアラートで「北朝鮮ミサイル発射」の情報 - NHKニュース
- ^ 北朝鮮ミサイル 襟裳岬東方の太平洋上落下か NHKニュース
- ^ 北朝鮮ミサイル 安倍首相「万全を期す」 NHKニュース
- ^ 北朝鮮ミサイル 菅官房長官「１発が北海道上空通過」 NHKニュース
- ^ 緊急情報 異常なし(第１報)北朝鮮のミサイル発射による原子力施設への影響 - 原子力規制委員会
- ^ CME Group Nikkei/Yen Futures Quotes
- ^ JR北海道・東日本が一時運転見合わせ 日本経済新聞 2017年8月29日 ※全文を読むには会員登録が必要
- ^ 北海道内の鉄道、一時停車…1万人に影響 毎日新聞 2017年8月29日
- ^ 北朝鮮がミサイル発射か 日本上空を通過 - 東京新聞
- ^ 関東エリアの運行情報 JR東日本
- ^ 東北エリアの運行情報 JR東日本
- ^ 北朝鮮ミサイル 交通への影響 NHKニュース
- ^ “国連安保理、日本通過ミサイル「強く非難」議長声明を採択”. 産経新聞. (2017年8月30日) 2017年8月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g “北朝鮮ミサイル 各国の反応は”. NHK. (2017年8月29日). オリジナルの2017年8月30日時点におけるアーカイブ。 2017年8月30日閲覧。
- ^ a b “北朝鮮からミサイル、日本上空通過し太平洋に着弾”. bloomberg.co.jp (ブルームバーグ). (2017年8月30日) 2017年8月30日閲覧。
- ^ “「全ての選択肢」がある 北朝鮮対応でトランプ米大統領”. BBC News (BBC). (2017年8月30日) 2017年8月30日閲覧。
