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52ヘルツのクジラたち

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
52ヘルツのクジラたち
著者 町田そのこ
発行日 2023年5月25日
発行元 中央公論新社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 文庫判
ページ数 312
コード ISBN 978-4-12-207370-8
ウィキポータル 文学
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52ヘルツのクジラたち』(ごじゅうにヘルツのクジラたち)は、町田そのこによる日本の小説[1]2021年本屋大賞受賞作品[2]

概要

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町田そのこにとって4作目の作品であり、初の長編小説となった[3]

タイトルは、他のからは聞き取れない高い周波数で鳴き、懸命に歌っても仲間に気が付かれないため「世界でもっとも孤独なクジラ」といわれている52ヘルツの鯨から取られている[4][5][6]

児童虐待家庭内DV介護トランスジェンダー毒親・家族の不理解などの社会的問題も取り扱っている[3][7][8]

2020年4月21日に中央公論新社から刊行された[9]。2020年3月5日から12日までに集計された「読書メーター」読みたい本ランキングでは単行本部門週間ランキングで1位を獲得している[10]。2020年の「読書メーター オブ・ザ・イヤー2020」では1位を獲得している[4]。2020年のダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2020の小説部門では4位にランクインしている[11]。テレビ番組『王様のブランチ』のBOOK大賞2020では1位を獲得している[11]。2021年2月23日には漫画家の常喜寝太郎がTwitter上に4ページからなるPRマンガを投稿した[4][11]。2021年には、365.5点を獲得して同年の本屋大賞を受賞した[2]

映画版が2024年3月1日に公開された[12]

あらすじ

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過去を断ち切って東京から大分の海辺の町へと移住してきた三島貴瑚は、移住先で13歳の少年と出会う。虐待を受けていた少年を見た貴瑚は、自身のかつての姿と少年を重ね合わせて、「聞き逃した声に対する贖罪」として少年を助け出そうと試みる。

登場人物

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三島貴瑚(みしま きこ)
主人公。26歳の女性。「毒親」である実母からネグレクトを受けてきた。兄弟がいるにもかかわらず、21歳で義父の介護をたった一人で全て押し付けられ、死ぬことを決意して道を歩いていたところを通りすがりの岡田安吾(アンさん)と同級生の美晴に救われる。東京都から大分県の海辺の町の祖母の住んでいた家に移り住んできた。共感力が非常に高く、自身と似た境遇をした人には優しい態度を取る。
少年
13歳。母親からの虐待が原因で、言葉を話せなくなっていた、「ムシ」と呼ばれていた少年。逃げた先の貴瑚の家に匿われる。貴瑚からは「52」と呼ばれる。
岡田安吾(おかだ あんご)
通称「アンさん」。美晴の職場の同僚でしかないが、貴瑚を非常に親身になってネグレクトから救い出した。
牧岡美晴(まきおか みはる)
貴瑚の高校時代からの友人。先輩の安吾とともに貴瑚を助け出した。自身も毒親を持つ境遇で、同じ境遇の貴湖に非常に強いシンパシーを持つ。
村中真帆(むらなか まほろ)
貴瑚の移り住んできた家の床が腐っているのを直しに来た職人。ケンタを弟子のように使っている。貴湖に好感を持ち食事に誘うなど関わってくる。

書誌情報

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映画

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52ヘルツのクジラたち
監督 成島出
脚本 龍居由佳里
原作 町田そのこ
製作 横山和宏
小林智浩
坂井正徳
製作総指揮 松下剛
東山健
出演者 杉咲花
志尊淳
宮沢氷魚
小野花梨
桑名桃李
金子大地
西野七瀬
真飛聖
池谷のぶえ
余貴美子
倍賞美津子
音楽 小林洋平
主題歌 Saucy Dog
「この長い旅の中で」
撮影 相馬大輔
編集 阿部亙英
制作会社 アークエンタテインメント
製作会社 「52ヘルツのクジラたち」製作委員会
配給 ギャガ
公開 日本の旗 2024年3月1日
上映時間 135分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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2024年3月1日に公開された。監督は成島出、主演は杉咲花[12]

キャスト

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スタッフ

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  • 原作:町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社刊)[12]
  • 監督:成島出[12]
  • 脚本:龍居由佳里
  • 脚本協力:渡辺直樹
  • 音楽:小林洋平
  • 主題歌:Saucy Dog「この長い旅の中で」(A-Sketch[16]
  • 製作:依田巽堤天心、今村俊昭、安部順一、奥村景二
  • エグゼクティブプロデューサー:松下剛、東山健
  • 企画・プロデュース:横山和宏、小林智浩、坂井正徳
  • 共同プロデューサー:楠智晴
  • ラインプロデューサー:尾関玄
  • 音楽プロデューサー:佐藤順
  • 撮影:相馬大輔
  • 照明:佐藤浩太
  • 美術:太田仁
  • 装飾:湯澤幸夫
  • 録音:藤本賢一
  • 特機:奥田悟
  • 衣装:宮本茉莉、江頭三絵
  • スタイリスト:渡辺彩乃(杉咲花)
  • ヘアメイク:田中マリ子、須田理恵(杉咲花)
  • 特殊メイク:宗理起也
  • 小道具:鶴岡久美
  • スクリプター:森直子
  • 編集:阿部亙英
  • 音響効果:岡瀬晶彦
  • VFXスーパーバイザー:立石勝
  • 助監督:谷口正行
  • 制作担当:酒井識人
  • スタントコーディネーター:田渕景也
  • トランスジェンダー監修:若林佑真
  • LGBTQ+インクルーシブディレクター:ミヤタ廉
  • インティマシーコーディネーター:浅田智穂
  • キャスティング:杉野剛
  • 特別協力:大分市、大分市ロケーションオフィス
  • 制作プロダクション:アークエンタテインメント
  • 製作幹事・配給:ギャガ
  • 製作:「52ヘルツのクジラたち」製作委員会(ギャガ、U-NEXT朝日放送テレビ、中央公論新社、日本出版販売

脚注

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  1. ^ a b "52ヘルツのクジラたち". 版元ドットコム. 版元ドットコム有限責任事業組合. 2024年2月29日閲覧
  2. ^ a b 本屋大賞”. www.hontai.or.jp. 2021年7月19日閲覧。
  3. ^ a b 児童虐待、介護、毒親……本屋大賞受賞作『52ヘルツのクジラたち』は“誰にも届かない声”を拾う”. リアルサウンドブック. blueprint (2021年4月27日). 2024年3月10日閲覧。
  4. ^ a b c 2021年「本屋大賞」受賞! 孤独な者同士の結びつきを描いた『52ヘルツのクジラたち』の魅力を【マンガ】で辿る”. ダ・ヴィンチニュース. 2021年7月19日閲覧。
  5. ^ 2021年本屋大賞 町田そのこ著『52ヘルツのクジラたち』 一握りの希望をあなたに|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる”. 読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる. 2021年7月19日閲覧。
  6. ^ 「52ヘルツのクジラたち」町田そのこさんインタビュー 虐げられる人々の声なき声をすくう|好書好日”. 好書好日. 2021年7月19日閲覧。
  7. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2021年4月14日). “2021年本屋大賞に町田そのこさん「52ヘルツのクジラたち」”. 産経ニュース. 2021年7月19日閲覧。
  8. ^ 本屋大賞受賞!『52ヘルツのクジラたち』の町田そのこが作家を目指した理由|人間関係|婦人公論.jp”. 婦人公論.jp. 2021年7月19日閲覧。
  9. ^ 52ヘルツのクジラたち|単行本|中央公論新社”. www.chuko.co.jp. 2021年7月19日閲覧。
  10. ^ ずっと忘れられない物語になる『52ヘルツのクジラたち』 - 文教堂”. www.bunkyodo.co.jp. 2021年7月19日閲覧。
  11. ^ a b c 52ヘルツのクジラたち|特設ページ|中央公論新社”. 中央公論新社. 2021年7月19日閲覧。
  12. ^ a b c d 杉咲花主演、本屋大賞受賞作『52ヘルツのクジラたち』映画化 監督は『八日目の蝉』の成島出【コメントあり】”. ORICON NEWS. oricon ME (2023年8月11日). 2023年8月11日閲覧。
  13. ^ 志尊淳が「52ヘルツのクジラたち」出演、杉咲花の“声なきSOS”を聴き救い出す”. 映画ナタリー. ナターシャ (2023年12月6日). 2023年12月15日閲覧。
  14. ^ a b c d e 「52ヘルツのクジラたち」宮沢氷魚、小野花梨、桑名桃李、余貴美子、倍賞美津子が出演”. 映画ナタリー. ナターシャ (2023年12月14日). 2023年12月15日閲覧。
  15. ^ a b c d "杉咲花を志尊淳が救う「52ヘルツのクジラたち」本予告、金子大地や西野七瀬も出演". 映画ナタリー. ナターシャ. 25 December 2023. 2023年12月25日閲覧
  16. ^ "Saucy Dog、杉咲花主演の映画「52ヘルツのクジラたち」に主題歌提供". 音楽ナタリー. ナターシャ. 25 December 2023. 2023年12月25日閲覧

外部リンク

[編集]
小説
映画