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のじま型巡視船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
900トン型巡視船から転送)
のじま型巡視船
基本情報
艦種 900トン型PL
運用者  海上保安庁
就役期間 1962年 - 1991年
前級 おじか型(海防艦型)
次級 えりも型
要目
常備排水量 1,113トン
総トン数 869トン
全長 69.0 m
最大幅 9.2 m
深さ 5.5 m
吃水 3.2 m
主機 浦賀-スルザー6MD42
ディーゼルエンジン×2基[1]
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 3,000馬力
速力 18.1ノット
航続距離 8,200海里 (16.5kt巡航時)[1]
乗員 73名 (最大搭載人員)
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のじま型巡視船(のじまがたじゅんしせん、英語: Nojima-class patrol vessel)は、海上保安庁が運用していた巡視船の船級。分類上はPL型、公称船型は900トン型[2][3]

来歴

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海上保安庁では、1954年に運輸省中央気象台(後の気象庁)から旧海軍海防艦5隻の編入を受けて、おじか型巡視船として運用してきた。これらは巡視船としての警備救難業務を遂行するとともに、「おじか」「あつみ」の2隻を中心として、中央気象台時代からの気象観測船としての業務として、室戸岬の南方約500キロに設定された南方定点での気象観測も行ってきた[4]

しかしこれらの海防艦はいずれも戦時急造艦であり、特に過酷な海況でも避航が難しい定点観測業務にあたっては、やはり老朽化は深刻であった。このことから、昭和36・37年度予算で、海防艦型巡視船のうち、まず定点観測に従事していた2隻の代船が計画された。これによって建造されたのが本型である[2][3]

設計

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上記の経緯より、本型では気象観測船としての性能を重視した設計が行われた。台風圏内で漂泊ないし航走しつつ、安全に観測業務を継続できるように復原性能を確保し、また漂泊時に船首が風上に切り上がるよう、船型は平甲板型、風圧中心を水圧中心の後方1.0~1.5メートルのところに来るよう配慮した。さらに本型では、新造巡視船として初めてMN式減揺水槽が設置された。これは東京大学工学部元良誠三教授が考案したもので、1961年より、ちふり型巡視船「しきね」において運用試験が行われていた。本型の場合、とくに定点観測中に船が停止してラジオゾンデを放つ際、船体の揺れが抑制されたおかげで失敗が減少し、観測員から好評であった[2]

また定点観測は、高温多湿の海域で舷窓や出入り口を密閉し、長期間の行動が求められるにもかかわらず、海防艦型巡視船は戦時急造型であり、居住性が劣悪であったことの反省から、本型では士官室・観測員室・科員室に冷房装置を設けるほか、居室を少人数化するなど、居住性にも配慮した設計とされている[3]。なお2番船「おじか」は北方配備も想定して、居住区画にポリウレタンによる防熱工事を施工するとともに、操舵室をウイングまで取り込んだ全視界型とした[2]

主機関としては、低速での安定した運転と、荒天避航の際の速力発揮を両立でき、信頼性に優れた2サイクル無過給の中速ディーゼルエンジンである浦賀-スルザー6MD42が採用された[1]。また電源は交流225ボルトで、出力120 kVAの主発電機2基、出力70 kVAの副発電機1基が搭載された[2]

同型船

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富士山レーダー等の気象レーダー気象衛星「ひまわり」の拡充に伴い、南方観測は1981年11月に廃止された。これ以降、本型は警備救難を主任務とする巡視船として運用された[3]

計画年度 # 船名 建造所 竣工 所属 解役
昭和36年 PL-11 のじま 浦賀船渠 1962年
4月30日
横浜(第三管区) 1989年
8月18日
昭和37年 PL-12 おじか 1963年
6月10日
塩釜(第二管区) 1991年
9月21日

出典

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  1. ^ a b c Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. p. 327. ISBN 978-0870212505 
  2. ^ a b c d e 徳永陽一郎、大塚至毅『海上保安庁 船艇と航空 (交通ブックス205)』成山堂書店、1995年、72-74頁。ISBN 4-425-77041-2 
  3. ^ a b c d 「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、77頁、NAID 40005855317 
  4. ^ 海上保安庁100のトリビア」『世界の艦船』、海人社、2013年3月、84頁、NAID 40019591103