A・G・サルツバーガー
A・G・サルツバーガー | |
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A. G. Sulzberger | |
サルツバーガー(2018年) | |
生誕 |
Arthur Gregg Sulzberger 1980年8月5日(44歳) アメリカ合衆国 ワシントンD.C. |
出身校 | ブラウン大学 |
職業 | 『ニューヨーク・タイムズ』発行人 |
雇用者 | ニューヨーク・タイムズ・カンパニー |
配偶者 |
Molly Messick(結婚 2018年) |
親 |
A・G・サルツバーガーことアーサー・グレッグ・サルツバーガー(Arthur Gregg Sulzberger、1980年8月5日 - )は、アメリカ合衆国のジャーナリストであり、『ニューヨーク・タイムズ』の発行人である。発行人として、同社の報道機関としてのジャーナリズムと事業運営を監督している[1]。サルツバーガーは、同社のデジタル化への移行と、購読者第一主義のビジネスになるための取り組みを主導してきた[2]。父アーサー・オックス・サルツバーガー・ジュニアの跡を継いで[3]、2018年1月1日に発行人に就任し[4]、2021年1月1日には同社の会長に就任する予定である[5]。父の名前との混同を避けるため、イニシャルの「A・G」を公称としている[6]。
若年期と教育
[編集]サルツバーガーは、1980年8月5日にワシントンD.C.で生まれた。父はアーサー・オックス・サルツバーガー・ジュニア、母はゲイル・グレッグである。父方の祖父はアーサー・オックス "パンチ"・サルツバーガー・シニア、曽祖父はアーサー・ヘイズ・サルツバーガー、高祖父はアドルフ・オックスである[3]。父方はユダヤ系ドイツ人の家系でユダヤ教徒だが、母や父方の祖母はキリスト教徒(米国聖公会や会衆派教会)である[7]。
キャリア
[編集]プロビデンス・ジャーナル
[編集]サルツバーガーは、ブラウン大学のジャーナリズムの教授トレーシー・ブレトンの勧めで[9]2004年から2006年まで『プロビデンス・ジャーナル』紙でインターンをし、ロードアイランド州ウェイクフィールドにある同紙のオフィスで働いていた[10]。その間、ナラガンセット・ライオンズクラブが女性の入会を拒んでいることを明らかにした[10]。同クラブは記事を掲載したら広告の掲載を取り下げると新聞社を脅迫したが、同社はその記事を掲載した[10]。同クラブはその数か月後に女性の入会を開始した[10]。
オレゴニアン
[編集]サルツバーガーは、2006年から2009年までオレゴン州ポートランドの『オレゴニアン』紙の記者として、地方自治体や公共生活に関する記事を300本以上を執筆した。その中には、マルトノマ郡保安官バーニー・ジュストの不正行為に関する一連の報道も含まれている[11]。
ニューヨーク・タイムズ
[編集]サルツバーガーは2009年2月にニューヨーク・タイムズ・カンパニーに入社して地方面記者となり[12]、同年3月2日に最初の記事が掲載された[13]。その後、全米特派員となり[14]、カンザスシティ支局長として中西部地域を取材した[15][16]。コダクロームフィルムを現像する最後の街を取材した2010年のサルツバーガーの記事は、2017年のマーク・ラソ監督の映画『コダクローム』の原作となった[17]。2013年には、当時の編集長ジル・エイブラムソンによって、デジタル時代のニューヨーク・タイムズが直面する課題についての社内評価チームに抜擢された[18][19][20][21]。サルツバーガーは97ページに及ぶ報告書「タイムズ・イノベーション・レポート」の主執筆者であり[15][19]、報告書ではニューヨーク・タイムズが「動きの早い競合他社」にいかに劣勢に立たされているかを客観的に詳細にまとめ、「革命的な変化が求められている」とした[22]。この報告書は2014年3月にBuzzFeed Newsによりリークされた[23]。
2015年8月、サルツバーガーはニュース編集室戦略担当の編集長補佐(associate editor)に任命された[20][24]。この役職は、2020年までに報道分野のデジタル収益を倍増させ、部門間の連携を強化するというニューヨーク・タイムズの計画"Our Path Forward"の一部であった[8][25][26][27]。2016年10月には副発行人(deputy publisher)に就任し、将来は父の跡を継いで発行人に就任することがほぼ確定した[28][3][29]。彼のいとこのサム・ドルニック(現 編集主幹補佐)[30]やデイビッド・パーピック(現 取締役)[31]も、次期発行人の候補として検討されていた[8][32]。
2017年12月14日、2018年1月1日をもってサルツバーガーが発行人に就任することが発表された。彼は、オックス=サルツバーガー家が『ニューヨーク・タイムズ』紙のオーナーとなってから6代目の発行人となる[8][33]。ニューヨーク・タイムズ・カンパニーは公開企業ではあるが、全ての議決権株式はオックス=サルツバーガー・ファミリー・トラスト(SEC)によって管理されている。SECの報告書によると、この信託の主な目的は、ニューヨーク・タイムズ紙が「独立した新聞として、完全に恐れを知らず、下心の影響を受けず、公共の福祉に無欲に専念すること」であるとされている[20]。発行人としての初日にサルツバーガーは、引き続き「刺激的な革新と成長の時代」であるとともに、「重大な挑戦の時代」でもあるとの文章を発表した。彼はニューヨーク・タイムズを「独立性、厳格さ、公正さを最高水準の状態に保つ」ことを約束した[34]。
彼は、独立した報道機関は「リベラルな理想でも進歩的な理想でも民主党の理想でもない。アメリカの理想だ」と述べている[35]。2020年には、サルツバーガーは地方の報道機関の消滅に懸念を表明し、「地方のジャーナリズムのための前進の道筋を見つけなければ、社会がより偏極化し、共感を失い、より強力な利権に操られやすくなり、真実からより結びつかなくなるのを見続けることになるだろうと思う」と述べている[36]。
私生活
[編集]2018年、サルツバーガーはモーリー・メシック(Molly Messick)と結婚した[9]。
脚注
[編集]- ^ “On Trust and Transparency: A.G. Sulzberger, Our New Publisher, Answers Readers' Questions”. The New York Times. (January 22, 2018) July 14, 2020閲覧。
- ^ Pompeo, Joe (October 9, 2018). “"The Time Will Come When This Is a Digital-Only News Organization": A.G. Sulzberg, Sam Dolnick, and David Perpich Open Up About Succession, Trump, and the Eventual End of Print”. Vanity Fair July 14, 2020閲覧。.
- ^ a b c Levitz, Eric (October 19, 2016). “A.G. Sulzberger Vanquishes Cousins, Becomes Deputy Publisher of New York Times”. New York
- ^ Klein, Julia M. (July 8, 2019). “Public Enemy No 1”. Brown Alumni Magazine (Brown University) July 14, 2020閲覧。.
- ^ “NYT's Sulzberger Jr to retire as chairman by end of December”. ロイター. (2020年9月24日) 2020年12月25日閲覧。
- ^ “NYタイムズ、A・G・サルツバーガー氏を副発行人に指名”. 日本経済新聞. (2016年10月20日) 2020年12月26日閲覧。
- ^ “The Sulzberger family: A complicated Jewish legacy at The New York Times”. JTA. (18 Dec 2017)
- ^ a b c d Ember, Sydney (December 14, 2017). “A.G. Sulzberger, 37, to Take Over as New York Times Publisher”. The New York Times October 19, 2018閲覧。
- ^ a b Zak, Dan; Ellison, Sarah; Terris, Ben (July 30, 2018). “'He doesn't like bullies': The story of the 37-year-old who took over the New York Times and is taking on Trump”. The Washington Post June 25, 2020閲覧. "Breton urged him to apply for a two-year internship at the Providence Journal..."
- ^ a b c d Rosenberg, Alan (December 14, 2017). “Sulzberger didn't back down in Narragansett confrontation”. The Providence Journal (Providence, Rhode Island) December 15, 2017閲覧. "Arthur Gregg Sulzberger ... took part in an internship program at The Providence Journal from 2004 to 2006"
- ^ Rogoway, Mike (February 9, 2018). “A.G. Sulzberger, New York Times' publisher and former Oregonian reporter, talks journalism in the digital age”. The Oregonian (Portland, Oregon) February 13, 2018閲覧。
- ^ Wemple, Erik (December 14, 2017). “A.G. Sulzberger to assume publisher role at New York Times on Jan. 1”. The Washington Post July 13, 2020閲覧。
- ^ Sulzberger, A. G. (March 2, 2009). “Second Snow Day Unlikely, Mayor Says”. The New York Times
- ^ Trotta, Daniel (December 14, 2017). “Leadership of New York Times passes to next-generation Sulzberger”. Reuters July 13, 2020閲覧。
- ^ a b Klein, Julia M. (July 8, 2019). “Public Enemy No 1”. Brown Alumni Magazine (Brown University) July 13, 2020閲覧。
- ^ “New York Times Publisher Arthur O. Sulzberger, Jr. to Retire at Year's End; A.G. Sulzberger Named Publisher”. U.S. Securities and Exchange Commission (December 14, 2017). July 13, 2020閲覧。
- ^ Sulzberger, A. G. (December 29, 2010). “For Kodachrome Fans, Road Ends at Photo Lab in Kansas”. The New York Times April 24, 2018閲覧。
- ^ “The leaked New York Times innovation report is one of the key documents of this media age”. Nieman Lab. Nieman Foundation for Journalism (May 15, 2014). July 13, 2020閲覧。
- ^ a b Snyder, Gabriel (February 12, 2017). “The New Tork Times Claws Its Way Int the Future”. Wired July 13, 2020閲覧。.
- ^ a b c Vick, Karl (October 10, 2019). “How A.G. Sulzberger Is Leading the New York Times Into the Future”. Time July 13, 2020閲覧。.
- ^ Levitz, Eric (October 19, 2016). “A.G. Sulzberger Vanquishes His Cousins, Becomes Deputy Publisher of the New York Times”. New York July 13, 2020閲覧。
- ^ “The Heirs”. New York. (August 23, 2015) July 13, 2020閲覧。.
- ^ Tanzer, Myles (May 15, 2014). “Exclusive: New York Times Internal Report Painted Dire Digital Picture”. BuzzFeed News (BuzzFeed) July 13, 2020閲覧。
- ^ Baquet, Dean (July 30, 2015). “Arthur Gregg Sulzberger Named Associate Editor”. The New York Times
- ^ Steigrad, Alexandra (October 19, 2016). “New York Times Names A.G. Sulzberger Deputy Publisher”. Women's Wear Daily July 13, 2020閲覧。.
- ^ “This is The New York Times' digital path forward”. NiemanLab. Nieman Foundation for Journalism. July 13, 2020閲覧。
- ^ “Our Path Forward”. The New York Time Company (October 7, 2015). July 13, 2020閲覧。
- ^ Ember, Sydney (October 19, 2016). “New York Times Names A.G. Sulzberger Deputy Publisher”. The New York Times October 19, 2018閲覧。
- ^ Sherman, Gabriel (August 24, 2015). “The Heirs: A Three-Way, Mostly Civilized Family Contest to Become the Next Publisher of The Times”. New York
- ^ “Sam Dolnick”. The New York Times July 13, 2020閲覧。
- ^ “David Perpich”. The New York Times Company July 13, 2020閲覧。
- ^ Zak, Dan; Ellison, Sarah; Terris, Ben (July 30, 2018). “'He doesn't like bullies': The story of the 37-year-old who took over the New York Times and is taking on Trump”. The Washington Post July 13, 2020閲覧。
- ^ Wamsley, Laurel (December 14, 2017). “New York Times Names A.G. Sulzberger, 37, Its Next Publisher”. NPR December 23, 2017閲覧。
- ^ Sulzberger, A. G. (January 1, 2018). “A Note from Our New Publisher”. The New York Times July 13, 2020閲覧。
- ^ “NYT publisher A.G. Sulzberger says an independent press is an 'American ideal'”. CNN. (October 23, 2018) July 13, 2020閲覧。
- ^ “Knight Media Forum 2020 — A.G. Sulzberger”. The New York Times Company. (February 26, 2020) July 13, 2020閲覧。
外部リンク
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