AK-130
AK-130 (両用砲) | |
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種類 | 艦砲 |
原開発国 | ロシア |
運用史 | |
配備期間 | 就役中 |
配備先 |
ロシア ウクライナ 中国 |
諸元 | |
重量 | 35,000 kg |
要員数 | 砲塔内は無人 |
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砲弾 | 27.0 kg |
口径 | 130 mm口径 /70口径長 |
銃砲身 | 連装 |
仰角 |
-15°/+85° 俯仰速度:25 /s |
旋回角 |
360° 旋回速度: 25 /s |
発射速度 | 最大90発 /分 |
初速 | 950 m /s |
最大射程 | 29,500 m |
AK-130 130mm連装速射砲とは、旧ソ連で開発され、1980年より配備が開始された艦砲システム。
開発
[編集]1135型(クリヴァク型フリゲート)の主砲を目的に、POアーセナルによって1967年より開発が始まり、当初は単装のA-217として計画され、傘下の設計局ではZIF-92(後にZIF-94-1)と呼ばれていた。しかし1969年10月の技術案完成とともに作られた試作砲では、単装では60発/分という要求性能を達成できないことが判明し、かつ砲塔重量が10tほど過大であったため、クリヴァク型への搭載は諦め、キーロフ級に搭載する連装砲に設計変更された。連装型はメーカー呼称でA-218/ZIF-94と呼ばれており、砲身をはじめとして多くの部分がA-217から引き継がれるかたちで開発された。
試作砲の試験は1976年から始まった。1980年にはAK-130を初めて装備したソヴレメンヌイ級駆逐艦が就役したが、このときAK-130は未だ試験中であり、キーロフ級ミサイル巡洋艦1番艦「キーロフ」の竣工には間に合わなかった。結局、ソヴレメンヌイ級駆逐艦の就役から5年も経った1985年11月にようやくAK-130として制式化された。
構造
[編集]本砲システムは、130 mm口径・70口径長の砲を2門、自動化された砲塔に配した艦載用両用砲システムである。大口径の艦載両用砲システムという点では、アメリカ製のMk.42 5インチ単装速射砲、イタリア製のオート・メラーラ 127 mm単装速射砲(127/54コンパット)と比せられるべきものであるが、これらよりも大口径・長砲身であるために高初速・長射程であり、また、連装であるために発射速度にも優れている。砲塔は完全に自動化されており、180発の即応弾を有する。砲塔内には3つの装填ドラムがあり、それぞれF-44調整破片弾、ZS-44対空弾、ZS-44R対空弾を装填することで、3種類の砲弾を即時に交換できるようになっている。ドラムから砲への装填機構は、A-217では複雑で重量増加の原因となっていたが、AK-130では改設計により大幅な軽量化に成功している。820発の砲弾を格納する弾庫から砲塔への給弾は、最大2発の砲弾を揚弾出来る揚弾機で行ない、揚弾機から直接砲へ装填することも可能である。
多くの場合、アメチスト設計局が設計したMP-184射撃指揮装置と連接されて、射撃指揮を受ける。MP-184はデュアル・バンド・レーダーと低光量TV、レーザー測距儀などを搭載し、有効距離は砲の最大射程をしのぐ75 km (41 nm)、総重量は8 tに至る。
なお、本砲システムでは、砲弾の装填から発射まで完全に自動化されているため、しばしば自動連装砲とも表記される。また、高発射速度を実現するために砲身は水冷式とされているが、これらの特質は、アメリカのMk.42やイタリアの127/54コンパット砲と同様である。
搭載艦船
[編集]- キーロフ級ミサイル巡洋艦:後部×1基(2 - 4番艦のみ)
- スラヴァ級ミサイル巡洋艦:前甲板×1基
- ウダロイII級駆逐艦:前甲板×1基
- ソヴレメンヌイ級駆逐艦:前甲板と後部にそれぞれ1基ずつ、計2基を搭載
派生型
[編集]- A-222 130mm自走沿岸砲:AK-130の単装砲身型であるZIF-94-1を搭載した自走砲
参考文献
[編集]- 梅野 和夫『世界の艦載兵器 砲熕兵器篇』光人社、2007年、141-144頁頁。ISBN 978-4769813590。
- 野木 恵一『世界の艦船 別冊 艦載兵器ハンドブック 改訂第2版』、海人社、2002年1月、85頁、共通雑誌コード 1105604011205。
- アンドレイ・V・ポルトフ「ソ連/ロシア巡洋艦建造史《第17回》」『世界の艦船』第710集 2009年8月号 海人社 110 - 115頁
- Vladimir Yakubov and Leo Fischer (2008年11月19日). “Russia / USSR - 130 mm/70 (5.1") AK-130” (英語). 2010年5月3日閲覧。