AN/APQ-153
F-5Eに搭載されるAN/APQ-153 | |
種別 | パルス・レーダー |
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目的 | 火器管制 |
開発・運用史 | |
開発国 | アメリカ合衆国 |
就役年 | 1970年代 |
送信機 | |
周波数 | X (I)バンド(9.3±0.15GHz) |
パルス幅 | 0.4±0.04マイクロ秒 |
パルス繰返数 | 2500±50Hz |
送信尖頭電力 | 60-80kW |
アンテナ | |
形式 | パラボラアンテナ |
直径・寸法 | 30×40cm |
アンテナ利得 | 28 dB |
ビーム幅 | 横3度、縦7度 |
方位角 | +/-45度 |
仰俯角 | +/-45度 |
探知性能 | |
探知距離 |
37 km (RCS 5 m2; 探知) 18.5 km (RCS 5 m2; 捕捉) |
その他諸元 | |
重量 | 50kg(110lb) |
AN/APQ-153は、アメリカ合衆国のエマソン・エレクトリック社が開発したパルス・レーダー。主として戦闘機の火器管制レーダーとして使用される。
概要
[編集]従来アメリカは、ノースロップ社のN-156Fを発展途上国向けの海外供与戦闘機として位置付け、F-5A/B フリーダム・ファイターとして西側諸国の各国に提供してきた。しかし、当時の有力な仮想敵機であったソビエト連邦のMiG-21戦闘機が火器管制レーダー(サプフィル-21)を搭載して全天候型への発展を遂げると、レーダーを搭載しないF-5A/Bでは対抗が困難となった。このことからアメリカ空軍では、より優れた海外供与戦闘機を求めるIFA(International Fighter Aircraft)計画に着手しており、これに応募するため、同社ではF-5シリーズへの火器管制レーダーの搭載を模索していた。
これに応じて開発されたことから、本機はF-5戦闘機の小さな機首に収容できることを最優先とされており、比較的簡素なものであるが、十分にまとまったシステムとして完成された。空対空戦闘においては赤外線ホーミング(IRH)誘導のサイドワインダー空対空ミサイルの火器管制を行なえる程度であり、セミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)誘導のミサイルを誘導することはできず、ルックダウン・シュートダウン能力やグラウンド・マッピング能力も備えていない。
ノースロップ社は、従来のF-5A/Bをもとに全面的な改良を加えた機体としてF-5-21を開発しており、本機はそのアビオニクスの中核として搭載された。F-5-21は1972年8月11日に初飛行し、F-5E/F タイガーIIとして米軍の制式番号・ペットネームを付与された。
AN/APQ-153を元にして、下記のような様々な派生型が開発されている。
- AN/APQ-157 - 複座型のF-5F用として、AN/APQ-153を元に後席での操作に対応したモデル。2つの列線交換ユニット(LRU)を含んでいる。
- AN/APQ-159 - AN/APQ-153の全面的な改良型。アンテナをプレーナアレイアンテナに変更し、探知距離は倍増したほか、MTBFも125時間(最終発達型では150時間)に延長された。順次にAPQ-159-1から-7までのサブタイプが開発されたほか、のちにパルスドップラー処理に対応したAN/APG-69に発展した。
- AN/APQ-167 - AN/APQ-157の更新用。
参考文献
[編集]- Martin Streetly, ed (2005). Jane's Radar and Electronic Warfare Systems 17th Edition. Janes Information Group. p. 253. ISBN 978-0710627049
- EMERSON Electronics and Space Division (1974年10月). “Non-Cooperative Rendezvous Radar Systen” (PDF) (英語). 2012年6月1日閲覧。
- 立花正照「第六章 レーダーの戦い」『ジェット戦闘機入門―航空テクノロジーの秘密』光人社NF文庫、1999年、200-271頁。ISBN 9784769822387。