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だから君が好き

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Coz I Luv Youから転送)
スレイド (バンド) > だから君が好き
「だから君が好き」
スレイドシングル
B面 ライフ・イズ・ナチュラル
リリース
規格
ジャンル ソフトロック[1]
時間
レーベル ポリドール
作詞・作曲
プロデュース チャス・チャンドラー
チャート最高順位
後述を参照
スレイド シングル 年表
  • だから君が好き
  • (1971年)
スレイデスト 収録曲
恋のバック・ホーム
(B-1)
だから君が好き
(B-2)
ワイルド・ウィンズ・アー・ブローイング
(B-3)
テンプレートを表示

だから君が好き」(だからきみがすき、原題 : Coz I Luv You)は、スレイドの楽曲である。1971年にB面に「ライフ・イズ・ナチュラル」を収録したシングル盤として発売され、全英シングルチャートでバンド初の首位を獲得[2]。本作を皮切り、多くのヒット作を発表した。

オリジナル・アルバムには未収録となっており、翌年にイギリス以外の国で発売された同名のコンピレーション・アルバムに収録され、イギリスでは1973年に発売のコンピレーション・アルバム『スレイデスト』でアルバム初収録となった。

なお、原題が「Coz I Luv You」とスペルを間違っているが[注釈 1]、これは意図的なもの[3]

背景

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スレイドは、ボビー・マーチャンのカバー曲「Get Down Get With It[注釈 2]」を1971年5月に発売し、商業的な成功を収めた。同時期にライブ・パフォーマンスに対する評価が上がり、イギリスやヨーロッパでのブレイクに繋がり、全英シングルチャートでは最高位16位を獲得した[4]

本作は、ベーシストのジム・リー英語版が演奏するヴァイオリンが特徴となっている。チャス・チャンドラーは、「ゲット・ダウン」に続くシングル曲としてオリジナルの楽曲をバンドに提言し、それを受けたノディ・ホルダーとリーによって書かれた。ある晩にリーは、ヴァイオリンを携えてホルダーの家を訪れ、ジョン・ダマー・ブルーズ・バンド英語版の「Nine by Nine」を聞いた後に本作のアイデアを想い浮かべ[5]、ホルダーに対してジャンゴ・ラインハルトステファン・グラッペリの「Hot Club」に影響を受けた楽曲を書くことを提案[6]。翌日、バンドはチャンドラーの前で本作を演奏し、「君たちが書いた初のヒット・レコードだと思う。それどころか、君たちが書いた曲でもNo.1だ」と告げた[7]

すぐにバーンズにあるオリンピック・スタジオを手配し、2日をかけてレコーディングが行われた。前述のように本作を気に入ったチャンドラーだが、「ゲット・ダウン」に比べてポップすぎることと、サウンドが弱いと感じていた。また、当初のタイトルは「Because I Love You」と正しいスペルであったが、バンドのイメージやサウンドと合致しないと言うことから、ホルダーがブラック・カントリー方言を取り入れることを提案し、現行の誤ったスペルのタイトルに変更された[7][8]

1980年の『サウンズ』誌のインタビューで、リーは本作について「それらの古い曲は好きではなかった。『だから君が好き』はアルバムのための使い捨ての曲で、僕らにとって甘ったるいと思った。それが2週連続で1位を獲るものだから『なんてこった』と思ったよ」と語っている[9][10]

リリース

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本作は、イギリス、アイルランド、ヨーロッパ全土、スカンディナヴィア、ユーゴスラビア、イスラエル、カナダ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、ブラジル、日本などの国で7インチシングルとして発売された[11]。B面には「ライフ・イズ・ナチュラル」が収録され、1972年にイギリス以外で発売されたコンピレーション・アルバム『Coz I Love You』や2007年に発売されたコンピレーション・アルバム『B-Sides』に収録された。その後1977年と1987年にドイツで、1983年にベルギーで再発売され、1993年にはドイツでCDシングルとして再発売された。

本作は、1998年に公開の映画『ベルベット・ゴールドマイン』やフォード・トランジットの販促で使用され、後に2004年に公開の映画『El lobo』や2006年にBBCで放送されたドラマ『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ英語版』にも使用された。

プロモーション

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本作のミュージック・ビデオは制作されていない。

イギリスでは、BBCの音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』、ベルギーでは『Popshop』、ドイツでは『Disco』や『Beat Club』で披露され、1973年にはオランダの音楽番組『Popgala』で披露された。

シングル盤収録曲

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7インチシングル
#タイトル作詞・作曲時間
1.「だから君が好き」(Coz I Luv You)
2.「ライフ・イズ・ナチュラル」(My Life Is Natural)ノディ・ホルダー
合計時間:
7インチシングル(イスラエル盤)
#タイトル作詞・作曲時間
1.「だから君が好き」(Coz I Luv You)
  • ノディ・ホルダー
  • ジム・リー
2.ゲット・ダウン(Get Down And Get With It)ボビー・マーチャン
合計時間:
7インチシングル(USプロモーション盤)
全作詞・作曲: ノディ・ホルダー、ジム・リー。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「だから君が好き」(Coz I Luv You)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
2.「だから君が好き」(Coz I Luv You)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
合計時間:
7インチシングル(ドイツ盤[注釈 3]
全作詞・作曲: ノディ・ホルダー、ジム・リー。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「だから君が好き」(Coz I Luv You)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
2.クレイジー・ママ(Mama Weer All Crazee Now)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
合計時間:
7インチシングル(ベルギー盤[注釈 4]
全作詞・作曲: ノディ・ホルダー、ジム・リー。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「だから君が好き」(Coz I Luv You)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
2.グッバイ・ジェーン(Gudbuy T'jane)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
合計時間:
CDシングル(1993年ドイツ再発盤)
全作詞・作曲: ノディ・ホルダー、ジム・リー。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「だから君が好き」(Coz I Luv You)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
2.グッバイ・ジェーン(Gudbuy T'jane)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
3.「アイ・ドン・マインド」(I Don't Mind)ノディ・ホルダー、ジム・リーノディ・ホルダー、ジム・リー
合計時間:

クレジット

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チャート成績

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チャート成績 (1971年) 最高位
オーストラリア (ARIA)[12] 9
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[13] 5
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[14] 7
オランダ (Single Top 100)[15] 2
フランス (SNEP)[16] 21
ドイツ (GfK Entertainment charts)[17] 9
アイルランド (IRMA)[18]
1
UK シングルス (OCC)[19] 1

カバー・バージョン

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本作は、多数のアーティストによってカバー・バージョンが発表されている。

  • アラン・キャディー・オーケストラ&シンガーズ() - 1971年に発売のアルバム『Six Top Hits』に収録。
  • ヴァンダイク・ブラウン - 1973年に発売のコンピレーション・アルバム『Million Copy Hit Songs Made Famous by Slade, T. Rex, Sweet』に収録[20]
  • イアン・エドモンソン - 1991年にスレイド結成25周年を記念し、「Go Crazy」名義でカバー。
  • ワンダー・スタッフ - 1992年にコンピレーション・アルバム『Ruby Trax-The NME's Roaring Forty』に収録[21]
  • ジム・リー英語版 - 1994年に2バージョン録音し、それぞれ「The X Specials」、「Jimbo features Bull」名義でシングルとしてリリース[22]
  • ノディ・ホルダー - 2000年にITVで放送されたドラマ『The Grimleys』のためにカバー・バージョンを録音し、2008年にWhild John Music LtdよりMP3形式で配信限定発売された[23]
  • ベーゼオンケルツ英語版 - 2002年に発売のシングル『Keine Amnestie für MTV』のB面に収録[24]
  • ジェイムズ・ブラント - 2006年に自身のライブで披露。
  • エヴィデンス - 2007年に発売の『The Weatherman LP』に、本作をサンプリングした「Things You Do」を収録[25]
  • ヴァイス・スクワッド英語版 - 2015年に発売のシングル『Run Run Rudolph』に収録。
  • カマイアニー・ジスト - 2015年にウクライナで発売のアルバム『70/80』に収録。

脚注

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注釈

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  1. ^ 正しいスペルは「Cuz(Becauseの短縮形) I Luv You」。なお、「Luv」は愛を意味するスラング
  2. ^ スレイドによるカバー・バージョンには、「ゲット・ダウン」という邦題が付けられている。
  3. ^ 「Golden Greats」シリーズの一つとして再発売された作品。
  4. ^ 「Golden Oldies」シリーズの一つとして再発売された作品。

出典

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  1. ^ Tinelli, Paul. Sladest - Slade | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年6月22日閲覧。
  2. ^ Schaffner, Nicholas (1982). The British Invasion: From the First Wave to the New Wave. McGraw-Hill. p. 304. ISBN 0-0705-5089-1 
  3. ^ Du Noyer, Paul (2003). The Illustrated Encyclopaedia of Music (1st ed.). Fulham, London: Flame Tree Publishing. p. 84-85. ISBN 978-1-904041-96-2 
  4. ^ Charlesworth, Chris (1984). Slade, Feel the Noize!: an illustrated biography. London: Omnibus Press. p. 31. ISBN 0-7119-0538-X 
  5. ^ Charlesworth, Chris (1984). Slade, Feel the Noize!: an illustrated biography. London: Omnibus Press. p. 32. ISBN 0-7119-0538-X 
  6. ^ Powell, Don; Falkenberg, Lise Lyng (2013). Look Wot I Dun: Don Powell of Slade. Omnibus Press. p. 109. ISBN 1-7830-5040-3 
  7. ^ a b Verrico, Lisa; Holder, Noddy (2000). Who's Crazze Now?: My Autobiography. Ebury Press. p. 97. ISBN 0-0918-7503-X 
  8. ^ Powell, Don; Falkenberg, Lise Lyng (2013). Look Wot I Dun: Don Powell of Slade. Omnibus Press. p. 110. ISBN 1-7830-5040-3 
  9. ^ Related Links”. Timesup.dsl.pipex.com (2005年10月29日). 2012年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月24日閲覧。
  10. ^ Sounds Magazine – 15 November 1980 – Back From The Dead - Steve Keaton meets Noddy Holder and Jim Lea of Slade
  11. ^ ALL Discography @ www.collectadisc.co.uk”. Collectadisc.co.uk. 2020年6月24日閲覧。
  12. ^ Go-Set Australian charts ~ 1971”. Poparchives.com.au. 2014年2月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月23日閲覧。
  13. ^ "Ultratop.be – slade – Coz I Luv You" (in French). Ultratop 50. 2020年9月12日閲覧。
  14. ^ "Ultratop.be – slade – Coz I Luv You" (in Dutch). Ultratop 50. 2020年9月12日閲覧。
  15. ^ "Dutchcharts.nl – slade – Coz I Luv You" (in Dutch). Single Top 100. 2020年9月12日閲覧。
  16. ^ InfoDisc : Tout les Titres par Artiste”. Infodisc.fr. 2013年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月23日閲覧。
  17. ^ "Offiziellecharts.de – slade – Coz I Luv You". GfK Entertainment Charts. 2020年9月12日閲覧。
  18. ^ The Irish Charts - Search Results - Coz I Luv You”. Irish Singles Chart. 2022年3月27日閲覧。
  19. ^ "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年9月12日閲覧。
  20. ^ Medium: Million Copy Hit Songs Made Famous by Slade, T. Rex, Sweet - Vandyke Brown, Unicorn Express and Indigo Blue (1973)”. Second Hand Songs (21 February 2011). 2012年3月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月24日閲覧。
  21. ^ Medium: Ruby Trax - The NME's Roaring Forty - (1992)”. Second Hand Songs. 2012年3月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月24日閲覧。
  22. ^ ALL Discography @ www.collectadisc.co.uk”. Collectadisc.co.uk. 2020年6月24日閲覧。
  23. ^ Coz I Luv You - Single by Noddy Holder on Apple Music”. Apple Music. Apple. 2020年6月24日閲覧。
  24. ^ Henkelmann, Carsten. “Böhse Onkelz: Keine Amnestie Für MTV - Single-CD, 2002, Digipak”. 2020年6月24日閲覧。
  25. ^ Slade Music Sampled by Others”. WhoSampled. 2012年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月24日閲覧。

外部リンク

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