DMS-10
DMS-10(ディ・エム・エス・テン)はノーザンテレコム(Northern Telecom、カナダ オンタリオ州)製の電気通信事業用デジタル交換機である。
概要
[編集]1974年(昭和49年)に、ベル・ノーザン研究所の完全デジタルPBXのSL1が完成した[1]。これが、米国農務省に、農村電化の推奨交換機に指定された。
1976年(昭和51年)に、ノーザンテレコムに改名し、電気通信事業仕様のデジタル交換機「Digital World」のリリース予定を発表した。制御装置を二重化しBORSCHT回路をSL1-PBXから流用したものであり、このラインアップにDMS-10が含まれていた。
日本での導入
[編集]1986年(昭和61年)に、分社化前の旧NTTが中容量ディジタル交換機DMS-10を購入する契約を締結。1987年(昭和62年)4月にノーザンテレコム(現 ノーテルネットワークス (Nortel Networks))から中容量局用ディジタル交換機(最大約1万端子)を購入した。1989年(平成元年)に、地方のデジタル化促進・遠隔集約保守による合理化のため本格導入を始めた。
電電ファミリーと呼ばれる国内メーカー以外から初めて採用された唯一の海外メーカー製の電気通信事業用デジタル交換機である。貿易摩擦により海外からの政治圧力で導入された。
D60・D70とソフトウェアの互換性がなく、新サービス導入に費用が掛かる原因となり、保守運用費用が高くなっていたため、2003年(平成15年)から撤去を開始し、NTT東日本は2005年(平成17年)、NTT西日本も2008年(平成20年)に撤去を完了した。後継機種として、NTT新ノードシステム (NS-8000) のRSBM (Remote Subscriber Module : 遠隔加入者収容モジュール)での光収容が導入された。
歴史
[編集]- 1974年(昭和49年) - ベル・ノーザン研究所の完全デジタルPBXのSL1が完成[1]。
- 1976年(昭和51年) - ノーザンテレコムが「Digital World」のリリース予定を発表。
- 1980年(昭和55年) - NTT調達取決め策定[2]。
- 同年「Digital World」の交換機DMS-10からDMS-100、及びDMS-200/300迄全てが、稼働中又は出荷準備完了となる。
- 1985年(昭和60年) - 政府登録旅館のホテル花巻へ外資系企業として初めてノーザンテレコムが日本国内に大型のデジタル化PBXを納入。
- これが契機となり翌年NTTとの契約となる。
- 1986年(昭和61年) - NTTとノーザンテレコム間で購入契約を締結。約2億5千万ドル。
- 1987年(昭和62年) - 東京近郊の沼南地域(千葉県の沼南町(現 柏市))に1号機納入。
- 1988年(昭和63年) - 商用第1号機サービス開始。
- 1993年(平成5年)2月 - 購入契約2年半延長。新たに契約した総額は約2億7千万ドル(340億円)。今までの契約分を合わせると約5億ドル(760億円)。273ユニット稼動中[3]。
- 1998年(平成10年)9月 - NTT調達取決めを改善し延長[2]。
- 1999年(平成11年)7月 - NTT再編に伴いNTT調達取決めが失効、簡素化された措置の2年実施で決着[2]。
- 2001年(平成13年)6月 - NTT調達取決めに関する簡素化された措置終了、取決めの完全失効確認[2]。
- 2003年(平成15年) - 新ノードシステムへの更改をNTTが発表。
- 2005年(平成17年) - NTT東日本が更改を完了。
- 2008年(平成20年) - NTT西日本が沖縄を最後に更改を完了[4]。
脚注
[編集]- ^ a b 無線を使った通信や電話やインターネットの発展 電話網の形成は中継交換機によるデジタル化
- ^ a b c d 外務省 日米経済関係年表
- ^ from NTT東日本 Vol. 44: 1993年2月1日号 「ディジタル交換機 総額340億円を新たに発注 ~海外調達としては最大級~」
- ^ 桑原守二「ノーテル破綻のニュースを聞いて」『電波新聞』2009年1月23日、3面
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- NTTジャーナル 2004年2月 新ADMシステムの開発 DMS-10からRSBM( Remote Subscriber Module:遠隔加入者収容モジュール)への更改情報 (PDF)
- 沖電気 社史 DMS-10の導入に関しての情報 p.362下から10行目参照。 (PDF)