EA-37B (航空機)
EA-37B コンパスコール
- 用途:電子戦機
- 製造者:
- ガルフストリーム・エアロスペース (機体)
- L3ハリス・テクノロジーズ (システム統合)
- BAEシステムズ (ミッションシステム)
- 運用者: アメリカ合衆国(アメリカ空軍)
- 初飛行:2021年10月
- 運用開始:2024年8月23日
- 運用状況:試験運用中
- 原型機:ガルフストリーム G550
EA-37Bは、ガルフストリーム G550をベースにした電子戦機。2023年11月、EC-130Hの退役とともに、そのコンパスコール(Compass Call)という愛称を引き継ぎ[1]、また正式名称もEC-37BからEA-37Bへ変更された[2]。
設計
[編集]外見上は、同じくG550をベースにしたG550 CAEWとよく似ており、実質的に、そのミッションシステム(Prime Mission Equipment: PME)を早期警戒レーダー(EL/W-2085)から電子攻撃用装備に変更した機体といえる[1]。機体形状が同じであるため風洞試験などはやり直す必要はないが、重量配分などは変わってくるため、型式承認のための追加試験は必要となっている[1]。
装備
[編集]本機は、アメリカ合衆国国防総省が有する唯一のフルスペクトラム対応スタンドオフ・ジャマーとして、敵防空網制圧において重要な役割を担っている[3]。
EA-37Bの最初の5機(2017年度から2020年度の発注)は、EC-130Hの装備を基に機体にあわせて再配置したPMEを搭載しており、「コンパスコール・リホスト」と称される[1]。コンパスコール・システムの形態管理の面では、EC-130Hのものと同じくベースライン3と称されており[注 1]、レイセオンのALQ-173(V)ブリンク(点滅)ジャマー、ALQ-179ハイバンドRFジャマー、ALQ-198ローバンドRFジャマーなどが移植される[1]。
一方、2023年度に発注された6号機は、新開発のベースライン4と呼ばれるPMEを搭載し、1-5号機にもバックフィットされることになっている[1]。これはBAEシステムズにより、SABER(Small Adaptive Bank of Electronic Recources: 電子リソース小型適応バンク)技術を導入して開発されており、オープンアーキテクチャ化されたソフトウェア無線を中核とすることで、新たな脅威に対しても、ハードウェアの交換なしにソフトウェアの更新によって対応できるオープンシステムとされている[1][3]。
諸元・性能
[編集]諸元
- 乗員: 13名(フライト・クルー4名+ミッションクルー9名)
- 全長: 29.4 m
- 全高: 7.9 m
- 翼幅: 28.5 m
- 空虚重量: 48,300 lb (21,900 kg)
- 最大離陸重量: 91,000 lb (41,000 kg)
- 動力: ロールス・ロイス BR700 C4-11 ターボファン、48,300 lbf (21,900 kgf) × 2
性能
- 最大速度: マッハ0.82
- 航続距離: 4,410 nmi (8,170 km)
- 実用上昇限度: 45,000 ft (14,000 m)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- 石川潤一「世界の最新電子戦機事情」『航空ファン』第73巻、第11号、文林堂、50-58頁、2024年11月。CRID 1520020444394028288。
- AirforceTechnology (2024-06-13), EC-37B Compass Call Electronic Warfare Aircraft, US, Verdict Media Ltd
- Cenciotti, David (2024-08-28), “Air Combat Command Welcomes First EA-37B Compass Call”, The Aviationist