EMD NW2形ディーゼル機関車
EMD NW2 | |
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基本情報 | |
製造所 | GM-EMD |
製造年 | 1939年2月 - 1949年12月 |
製造数 | 1,145両 |
主要諸元 | |
軸配置 | B-B |
軌間 | 1,435 mm |
動力伝達方式 | 電気式 |
機関 | EMD 567型(V型12気筒) |
出力 | 750 kW (1,000馬力) |
EMD NW2は、1939年2月から1949年12月の間にアメリカのGM-EMDが製造した電気式ディーゼル機関車である。
概要
[編集]ウィントン製エンジンを搭載していたNW1形ディーゼル機関車の改良型として、エンジンをEMD自社製の567型としたものである。形式名のNは900馬力(Nine hundred)を、Wは溶接台枠(Welded flame)を意味する。本形式は1000馬力(750kW)であるが、NW1の改良型であるために形式名を踏襲している。
製造期間は長きに渡り、製造両数は合計1145両に達した。うち1121両がアメリカ国内で、24両がカナダに輸出された。大半の車両はイリノイ州ラグランジュ工場で製造され、1948年末からはEMDの第三の工場、オハイオ州クリーブランド工場にて製造された。
途中、1942年から1945年までの3年間は製造が中断されている。それは 1942年に戦時生産本部(War Production Board、WPB)の命により、EMDは入換用ディーゼル機関車の製造を停止させられ、本線用ディーゼル機関車のみの製造を命じられたためである。終戦後、その指令が解除されると製造が再開され、1949年まで製造が続けられた。
なお同時期、他メーカーはEMDとは逆に入換用ディーゼル機関車と本線用蒸気機関車との製造を命じられており、結果として、戦後急速に進んだアメリカの鉄道におけるディーゼル化において、EMDが躍進することとなった。
本形式の発展型として、カウ・カーフ方式(2両1組で使用され、その片方の車両にのみ運転台がある)のTRが3組、TR2が36組、TR3が2組製造された。TR3は3両1組であり、子機の側にさらにもう1両、子機が連結される形態であり、ハード(Herds、群れ)と呼ばれた。TRは第二次世界大戦前、TR2とTR3は戦後の製造であった。
外観
[編集]運転台が車端に寄った、エンド・キャブと呼ばれる形状をしている。
外観の特徴として、フード(ボンネット)の中央付近に二つの煙突が設置されている。ウィントン製エンジン搭載車と異なり、フード側面上部のルーバーはない。また、デッキ上の砂箱はない。
新製時の所有者
[編集]NW2
[編集]TR
[編集]鉄道 | 両数 | ロードナンバー | 備考 |
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イリノイ・セントラル鉄道 | 3組 |
9203AB–9205AB |
TR2
[編集]鉄道 | 両数 | ロードナンバー | 備考 |
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エレクトロ・モーティブ・ディビジョンn (デモ車) | 1組 |
912AB |
→シカゴ・バーリントン・アンド・クインシー鉄道の9400AB |
シカゴ・ベルト鉄道 | 2 組s |
500AB, 501AB |
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シカゴ・バーリントン・アンド・クインシー鉄道 | 13組 |
9401AB–9413AB |
カーフ・ユニットはのちに運転台付きに改造 |
シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道 | 2 組 |
2000AB, 2001AB |
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シカゴ・グレート・ウェスタン鉄道 | 9 組 |
58AB–66AB |
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イリノイ・セントラル鉄道 | 3 組 |
9206AB–9208AB |
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ミルウォーキー鉄道 | 1 組 |
2000AB |
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サザン鉄道 | 5 組 |
2400AB–2404AB |
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合計 | 36組 |
TR3
[編集]鉄道 | 両数 | ロードナンバー | 備考 |
---|---|---|---|
チェサピーク・アンド・オハイオ鉄道 | 2 組s |
6500ABC, 6501ABC
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現存車
[編集]今日でも多くの車両が存在している(#は社番を示す)。
- ミッドランド鉄道 - 主として業務用列車に使用されている。個人が所有する。出自はシカゴ・バーリントン・アンド・クインシー鉄道の#9227。
- エルジン・ジョリエット・アンド・イースタン鉄道 - ジョリエットの操車場でカウ・カーフユニットが使用されている。
- インディアン・ハーバー・ベルト鉄道 - かつて約80両を使用していた。現在は2両が使用されている。
- レイク・スペリオル・ターミナル・アンド・トランスファー鉄道 - #101がレストアされ、ミネソタ交通博物館で保存されている。
- シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道 - 1986年に#1003とTR2Bの#1103をカウ・カーフのセットとしてブーン・アンド・シーニック・バレー鉄道に寄贈した。#1003はグランド・トランク・ウェスタン鉄道の#7914で、#1103はシカゴ・グレート・ウェスタン鉄道の#65Bであった。#1003のみ運用され、#1103はレストアされていない。
- ウェスタン・パシフィック鉄道 - ユニオン・パシフィック鉄道の#1001であった#608が、カリフォルニア州ポートラのウェスタン・パシフィック鉄道博物館で保存されており、ラン・ア・ロコモティブ・プログラムという操縦体験イベントに使用される。
- レディング鉄道 - レディング鉄道技術・歴史学会が#103を所有し、ペンシルベニア州ハンバーグのレディング鉄道博物館で動態保存されている。
- ユニオン・パシフィック鉄道 - #1011と#1043がユタ州ヒバー・シティのヒバー・バレー鉄道で動態保存されている。
- ミルウォーキー鉄道 - #1649がイリノイ州モンティセロのモンティセロ鉄道博物館で動態保存されている。
参考文献
[編集]- Pinkepank, Jerry A. (1973). The Second Diesel Spotter's Guide, pp.EMD-36, 37. Kalmbach Books. Library of Congress Catalog Card No. 66-22894.
- Solomon, Brian (2000). The American Diesel Locomotive, p.53. MBI Publishing Company. ISBN 0-7603-0666-4.
- Kristopans, Andre EMD Switcher Serial Number webpage
- Kristopans, Andre EMD Export page