F-34 76mm戦車砲
F-34 76mm戦車砲(ロシア語:76-мм танковая пушка Ф-34)は、第二次世界大戦中のソビエト連邦で使用された戦車砲である。T-34中戦車とKV-1重戦車で使用された。F-34をベースにKV-1の砲塔に適合するよう改良を加えたモデルとして、ZiS-5(ロシア語:ЗИС-5)が作られた。
概要
[編集]F-34は、L-11やF-32といった76.2mm戦車砲の後継として開発された。設計はゴーリキーの第92工場に設置されたヴァシリー・グラービン率いる設計局によって行われた。F-34は従来の76.2mm砲と比べて長砲身化しており、砲口初速と装甲貫通力が向上していた。
独ソ戦開戦当初に配備されていたT-34 1940年型は依然としてL-11を搭載していたが、間もなく武装をF-34に換装した1941年型が登場した。一方でT-34がF-34を装備するようになった後もKV-1は旧式のF-32を装備し続け、一時的に中戦車より重戦車のほうが弱武装という事態になったが、1941年後半に導入されたKV-1 1941年型でF-34に切り替えられた。このF-34は、間もなくKV-1専用に改修されたZiS-5戦車砲(基本性能はF-34に準ずる)に取って代わられた。
F-34とZiS-5は、戦車部隊の中核をなすT-34とKV-1両戦車の主武装として大戦中期までの赤軍を支えたが、1942年末-1943年にかけてナチス・ドイツが投入し始めたティーガー重戦車やパンター中戦車に対抗するには対戦車能力が不足していた。新しいT-34の武装としては、長砲身高初速のZiS-2 57mm対戦車砲や、52-K 85mm高射砲を改造したD-5TまたはZiS-S-53 85mm戦車砲が比較され、結果として砲身の寿命や榴弾の威力に勝る後者が選ばれた。KV-1重戦車の後継となったIS-1重戦車もD-5Tを使用していたが、後継で主要生産型のIS-2では、より威力の高いD-25T 122mm戦車砲に交換された。
搭載車両
[編集]貫通力
[編集]砲弾 | 100m | 500m | 1,000m | 1,500m |
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BR-350A | 80mm | 70mm | 63mm | 58mm |
BR-350B | 86mm | 75mm | 68mm | 62mm |
BR-350P(高速徹甲弾) | 102mm | 92mm | - | - |
参考文献
[編集]- “Specification and Armor Penetration Values for the Soviet Main Guns”. The Russian Battlefield. 2009年4月1日閲覧。(リンク切れ)
- 川畑英毅, 青木伸也 (2001年2月10日). “T-34形式・年型解説”. T-34 maniacs. 2009年4月1日閲覧。
- 川畑英毅 (2008年6月). “KV重戦車の開発とバリエーション、年式呼称について”. KV maniacs. 2009年4月1日閲覧。(リンク切れ)