GAZ-67
GAZ-67 | |
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GAZ-67B | |
種類 | 軍用車両 |
原開発国 | ソビエト連邦 |
運用史 | |
配備期間 | 1943年 - |
開発史 | |
開発者 | ゴーリキー自動車工場 |
開発期間 | 1943年 |
製造業者 | ゴーリキー自動車工場 |
製造期間 | 1943年 - 1953年 |
製造数 |
3,137両(GAZ-67) 92,843両(GAZ-67B)[1] |
諸元 (GAZ-67) | |
重量 | 1,320kg[1] |
全長 | 3,340mm[1] |
全幅 | 1,700mm[1] |
全高 | 1.700mm[1] |
要員数 | 4名[1] |
| |
エンジン |
GAZ 3.3L 4気筒液冷ガソリン[1] 54hp[1] |
行動距離 | 140km[1] |
速度 | 90km/h[1] |
GAZ-67(ロシア語: ГАЗ-67)は、1943年にソビエト連邦のゴーリキー自動車工場(現GAZ)で開発された4×4輪駆動の小型軍用車両である。
第二次世界大戦中にアメリカで大量生産されたジープに形態が類似することから、"ソ連版ジープ"などと呼称されることもある。
概要
[編集]GAZ-67は、同時期にアメリカで開発されていたジープ(バンタムBRC-40)を参考に開発され、1941年-1942年にかけて646両が生産されたGAZ-64の改良型に相当する車種で、1943年9月に生産がスタートした。GAZ-64からの変更点としては、エンジン出力が50hpから54hpに強化されたこと、前後輪のホイールベースが若干広くなっていることなどが挙げられる[2][3]。開発にあたっては、エンジンやギアボックスをGAZ-MMから、ラジエーターをGAZ-AAAから流用するなどして開発期間短縮・部品共通化が図られている[4]。GAZ-67は1943年中に718両[4]、1944年に2,419両の計3,137両が生産された。1944年1月からは改良型のGAZ-67Bの生産が開始された。なお、エンジン出力の50hpから54hpへの強化や、ホイールベースの拡大を、GAZ-64から67への変更時ではなく、GAZ-67から67Bへの改良に伴うものであると記述する資料[1][5]も見られる。
GAZ-67と67Bの外見上の相違点として、フロントのラジエーターグリルガード部の構造が変わっていることが挙げられる。具体的には、初期のタイプのラジエーターグリルガード部分が10本の金属棒を並べて溶接した構造であるのに対し、後期タイプではアメリカ製ジープのような、1枚の金属板をプレスして7個の長穴を打ち抜いた構造になっている。なお、ラジエーターグリルの構造変更はGAZ-67から67Bへの改良に伴うものであるとする資料[4]と、大戦中の生産型と戦後型の違いであるとする資料[5][6]が存在し、明確ではない。
GAZ-67Bはヨーロッパにおいて戦闘の終結した1945年5月9日時点までに1,714両が生産され、67と合わせた総生産数は計4,851両[4]となった。当時のソ連では工業生産のリソースの多くを戦車等戦闘車輌の生産に振り当てていたこともあって、大戦中の生産数は5,000両未満[4][2]と決して多くなく、これに対しレンドリースで供与されたアメリカ製ジープの供給数量は50,000両以上であり、機械的信頼性の高さもあって、大半の部隊がこれを使用した[4]。
GAZ-67Bの生産は大戦終了後も継続し、生産数としては、むしろ大戦後の方がずっと多く、1953年までに計92,843両[1]が生産された。なお、大戦直後の1946年に後継車種のGAZ-69の開発がスタートし、1953年から量産が開始されたことにより、GAZ-67Bの生産は終了している。
GAZ-67/67Bは開発国ソ連の他、中国・北朝鮮・ポーランド[2]などに輸出されて運用されている。
また、GAZ-67のシャーシに装甲車体を載せた小型装輪装甲車としてBA-64Bが生産されている。なお、BA-64の初期タイプにはGAZ-64のシャーシが使用されている。
形式・派生型
[編集]- GAZ-67
- 1943年-1944年にかけて生産。生産数3,137両。
- GAZ-67B
- 1944年1月-1953年まで生産された、主生産型となった後期型。大戦中に1,714両、計92,843両が生産された。主な変更点は、ラジエーターグリル部の生産簡易化など。
- GAZ-67/M8
- GAZ-67の車体後部に4基のM-8ロケット弾発射機を搭載した車両。コーカサスの山岳地帯で運用された[7]。
- BA-64B
- シャーシを流用した装輪装甲車。初期型はGAZ-64のシャーシを用いて製造され、改良型のGAZ-64BはGAZ-67Bの車台をベースとしている。1946年までに5,209両が製造された(初期型も含めたBA-64全体の生産数は約9,000両)。
画像
[編集]-
棒状のラジエーターグリルガードを持つ初期型GAZ-67あるいは大戦中生産型
-
プレス型のラジエーターグリルガードとなった戦後型GAZ-67B
模型
[編集]模型メーカーの田宮模型から1973年に1/35スケールで発売されたGAZ-67Bのキットは、当時、鉄のカーテンの向こうより得られる資料の少なさからか、戦中型モデルであるとして後期タイプ(戦後型)のプレス型ラジエーターグリルを誤って再現してしまっている。一方、ソビエト連邦の崩壊後の2007年に同社から1/48スケールで発売されたGAZ-67Bのキットは、元共産圏から得られる資料も豊富となり、ラジエーターグリルが棒溶接タイプの初期型(戦中型)を正確に再現している。
2013年に中国の模型ブランド"トランペッター"から発売されたGAZ-67Bのキットは、パッケージに描かれたイラストは初期型溶接グリルであるが、中身のパーツは後期型プレスグリルとなっている[5]。
登場作品
[編集]漫画・アニメ
[編集]- 『ウクライナ混成旅団』
- 単行本「幻の豹 The Panther in Ukraina 1950」または「独立戦車隊」収録作品。キリバエフ中尉の移動用に使用される。
- 『ココロ図書館』
- 第11話にて敵戦車隊指揮官が使用。
ゲーム
[編集]- 『コール オブ デューティ:ユナイテッド オフェンシブ』
- マルチプレイでのみ、ソ連軍の車両として使用可能。車載機銃として、SG-43重機関銃を搭載している。
脚注・出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l militaryfactory.com GAZ-67 - 4x4 Military Utility Vehicle - History, Specs and Pictures
- ^ a b c 田宮模型, 1/48ミリタリーミニチュアシリーズ, 32542, ソビエト・フィールドカー GAZ-67B, 組立説明書, 実車解説
- ^ ロシア語版ru:ГАЗ-67БではGAZ-64からGAZ-67への変更に伴うものであると記述されている
- ^ a b c d e f Engines of the Red Army in WW2 - GAZ-67
- ^ a b c M's PLUS ソビエト GAZ-67B 4輪駆動車 (トランペッター 1/35 AFVシリーズ No.02346 )解説
- ^ ロシア語版ru:ГАЗ-67Бでは1948年に変更されたと記述されている
- ^ http://zebrano-model.com/ Z72024 - GAZ-67-M8 KATYUSHA
関連項目
[編集]- GAZ
- ジープ
- GAZ-64 - GAZ-67の前身に相当するGAZ製小型軍用車両。
- GAZ-69 - GAZ-67Bの後継に相当するGAZ製小型軍用車両。1953年-1972年。
- UAZ-469 - GAZ-69の後継に相当するUAZ製小型軍用車両。1972年-現在。