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核兵器廃絶国際キャンペーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ICANから転送)
核兵器廃絶国際キャンペーン
International Campaign to Abolish Nuclear Weapons
シンボルマーク[1]
略称 ICAN(アイキャン[1][2]
前身 IPPNW[1][3]
設立 2007年[4]
設立者 ティルマン・ラフ[5]
種類 国際NGO[2][6]
目的 核兵器の非合法化と廃絶[2]
本部 スイスの旗 スイス ジュネーヴ州
ジュネーヴ
150 Route de Ferney[7]
座標 北緯46度13分48秒 東経6度7分43秒 / 北緯46.23000度 東経6.12861度 / 46.23000; 6.12861座標: 北緯46度13分48秒 東経6度7分43秒 / 北緯46.23000度 東経6.12861度 / 46.23000; 6.12861
貢献地域 世界の旗 世界反核運動[注 1]
事務局長 メリッサ・パーク英語版
関連組織 #提携する組織を参照
ウェブサイト http://www.icanw.org/
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ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:2017年
受賞部門:ノーベル平和賞
受賞理由:核兵器の使用による、人類への壊滅的な結果に注目を集めさせ、その廃絶のための条約締結を達成した画期的な努力に対して

核兵器廃絶国際キャンペーン(かくへいきはいぜつこくさいキャンペーン、: International Campaign to Abolish Nuclear Weapons、略: ICAN アイキャン, アイカン)は、各国政府に対して、核兵器禁止条約の交渉開始・支持のロビー活動を行う目的で設立された国際的な運動(キャンペーン)の連合体である[10][11]。赤のピースマーク弾頭(加害の主体を成す部分)がへし折られたミサイルのイメージがシンボルになっている。

沿革

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ICANの人道的誓約 (Humanitarian Pledge) に対する各国の姿勢
  誓約に賛同し承認
  誓約の支持を表明
  不支持(核保有国*
  不支持(核保有国以外)
  核保有国との同盟を理由に不支持
*五大国に加え、NPT非批准の核保有国(インドパキスタン北朝鮮)、核保有国とみなされているイスラエルを含む

2005年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で成果が得られず、反核運動家の間に危機感が広がる中、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のオーストラリアの会員が、地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)の主導で1997年対人地雷全面禁止条約が成立したことに着目し、2006年9月のIPPNW世界大会で核兵器禁止の条約づくりを提案した[5]。同大会に出席した広島市長の秋葉忠利が協力を表明し、秋葉が会長を務める平和首長会議が最初の賛同団体になった[5]

条約づくりの取り組みの拠点として2007年4月メルボルンに事務所が開設され、ICANが発足し[5]、核兵器禁止条約の採択などに貢献した。その後、2017年ノーベル平和賞を受賞した。2021年現在、106か国から607団体が加盟している。[12]

ノーベル平和賞

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2017年にノーベル平和賞を受賞した。同年12月10日オスロでの授賞式では、事務局長のベアトリス・フィンと、組織の一員で広島市出身の被爆者でもあるサーロー節子が、演説を行った[13]

長年にわたって核兵器の廃絶を訴えていた被爆者らなどが受賞を祝福した[14]一方で、エコノミスト誌のように、実効性の面から受賞の妥当性に疑問を抱く声もある[15]

事務局長の来日

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2017年12月6日長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)は、事務局長のフィンが翌月に長崎を訪問すると発表[16]2018年1月12日-18日フィンが来日し、RECNA主催のシンポジウムでの基調講演[17]長崎原爆資料館での長崎市長田上富久との会談[18]広島平和記念資料館訪問、被爆者との会談[19]、与野党の国会議員との討論集会出席[20]などをおこなった。首相である安倍晋三との会談を希望していたが、日程の都合がつかず実現しなかった。このときの経過についてICAN側は、ピースボートのウェブサイトにて詳細に報告している[21]

  • 2017年12月14日 - 政府は首相の東欧歴訪を1月12日から1月18日までの日程で調整中と報道[22][23]
  • 2018年1月15日 - ICAN側は2017年12月下旬より二度にわたり、1月16日から1月18日までの期間におけるフィンと首相の会談を要請したが、1月14日までに外務省経由で日程の都合を理由に面会できないとの回答があったと発表[24]

これに対しフィンは、「日本政府は(核保有国と非保有国の)橋渡し役を担いたいと言っているので話し合いたかった。大変失望している。次の機会に期待したい」と述べた[25]が、首相が欧州歴訪から帰国したのは17日の夕方であり[22]、18日は午前から日豪首脳会談の関連行事が控えており、与党内には「面会を断られる姿を演出するために要請してきたのでは…」との声もあった。 また、フィンは来日中の広島市における講演で、核兵器禁止条約に参加しない日本政府を「(核廃絶を求める)合理的な国際社会から足を踏み外した」として批判した。唯一の戦争被爆国である日本が条約に反対していることに「広島、長崎以外で同じ過ちが繰り返されていいと思っているのではないか」と指摘し、「被爆地と日本政府の隔たりは大きく、埋める必要がある」と訴えた[26]。16日に東京都日本記者クラブで会見を行い、「日本は国際社会の仲間外れになり得る」と核兵器禁止条約に日本が参加していないことを批判した。

会談の要請を受けなかった安倍首相については、「条約に署名したからといって、同盟国との関係が崩れることはない」と条約批准の必要性を訴えた。また、日本が条約に参加するための問題点を検証する委員会の設置を提案し、国民を含めた幅広い議論を呼び掛けた[27] [28]

提携する組織

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以下の組織などを国際的な提携組織としている[30]

また、日本からの加盟団体は、ピースボートのほか、ピース・マスク・プロジェクト、ヒューマンライツ・ナウ、核戦争防止国際医師会議日本支部、核戦争に反対する医師の会、パルシステム、プロジェクト・ナウ[注 2][30]、ワールド・フレンドシップ・センター、カクワカ広島、ANT-Hiroshima、丸木美術館、Know Nukes Tokyoなどである。このほか、日本に拠点をもつ国際組織としては、平和首長会議と創価学会インタナショナルが加盟している。

脚注

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  1. ^ 国連における核兵器禁止条約の成立への貢献[8][9]
  2. ^ : Project Now
出典
  1. ^ a b c 日本大百科全書(ニッポニカ) コトバンク. 2018年10月13日閲覧。
  2. ^ a b c 知恵蔵mini コトバンク. 2018年10月13日閲覧。
  3. ^ デジタル大辞泉 - ICAN(アイキャン) コトバンク. 2018年10月13日閲覧。
  4. ^ Campaign overview”. International Campaign to Abolish Nuclear Weapons. 2017年10月7日閲覧。(英語)
  5. ^ a b c d “ICAN創設者「核禁止の後押しに」 平和賞に至る道程”. 朝日新聞. (2017年10月6日). http://www.asahi.com/articles/ASKB666GFKB6UHBI03P.html 2017年12月18日閲覧。 
  6. ^ 朝日新聞掲載「キーワード」 コトバンク. 2018年10月13日閲覧。
  7. ^ Contact ICAN”. International Campaign to Abolish Nuclear Weapons. 2017年10月7日閲覧。(英語)
  8. ^ ノーベル平和賞授賞式 核兵器の終わりの始まりに-禁止条約 すべての国で-ICAN事務局長とサーローさん演説 しんぶん赤旗. (2017年12月12日) 2018年10月13日閲覧。
  9. ^ 「核兵器はなくせる」 ICAN国際運営委員の川崎さんが新著 神奈川新聞ニュース (2018年9月19日, 17:51) 2018年10月13日閲覧。
  10. ^ Campaign overview - ICAN公式サイト
  11. ^ 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の概要 - 核兵器廃絶日本NGO連絡会
  12. ^ Partner Organizations” (英語). ICAN. 2021年9月22日閲覧。
  13. ^ International Campaign to Abolish Nuclear Weapons (ICAN) - Nobel Lecture
  14. ^ AFP- 時事通信社, ロイター, 共同通信社, AP通信. “Anti-nuclear campaign ICAN awarded Nobel Peace Prize”. 2017年10月23日閲覧。
  15. ^ エコノミスト (2017年10月6日). “This year's Nobel peace prize rewards a nice but pointless idea”. https://www.economist.com/news/international/21730075-banning-nuclear-weapons-will-not-do-much-advance-cause-peace-years-nobel 
  16. ^ ICAN フィン事務局長、来年1月長崎へ”. 『毎日新聞』 (2018年1月12日). 2018年1月30日閲覧。
  17. ^ “被爆者尽力で核禁止条約生まれた ICANフィンさん、長崎で感謝の講演”. 東京新聞. (2018年1月14日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011402000102.html 2018年1月14日閲覧。 
  18. ^ ノーベル平和賞 ICAN事務局長が長崎訪問”. 『毎日新聞』 (2018年1月12日). 2018年1月30日閲覧。
  19. ^ WEB特集 ノーベル平和賞 ICAN事務局長が見た「核と日本」”. 日本放送協会 (2018年1月22日). 2018年1月30日閲覧。
  20. ^ 核兵器禁止条約 国会で議論を ICANのフィン事務局長、国会議員と討論集会 /広島”. 『毎日新聞』 (2018年1月23日). 2018年1月30日閲覧。
  21. ^ ICANと安倍首相の面会の要請について”. 国際交流NGOピースボート. 2021年9月22日閲覧。
  22. ^ a b 17日午後に帰国。“首相が濃茶を堪能 表千家の「初釜式」でつかの間の息抜き”. 産経新聞. (2018年1月17日). https://www.sankei.com/article/20180117-WUUOCCTGPFNKTEMF4Q2ZTIYPLU/ 2018年1月18日閲覧。 
  23. ^ “安倍首相、来月欧州6カ国歴訪へ”. 共同通信. (2017年12月14日). https://web.archive.org/web/20180117131324/https://this.kiji.is/314004187762082913 2017年12月14日閲覧。 
  24. ^ “ICAN japanese(ICAN日本語版公式Twitterアカウント)”. (2018年1月14日). https://twitter.com/nuclearban_jp/status/952665273106132992 2018年1月14日閲覧。 
  25. ^ “核兵器廃絶へ「希望・活力が武器」 ICAN 事務局長、広島で若者に”. 朝日新聞. (2018年1月16日). https://digital.asahi.com/articles/DA3S13314775.html?rm=150 2018年1月16日閲覧。 
  26. ^ “ICAN事務局長が広島で講演”. 共同通信. (2018年1月15日). https://jp.reuters.com/article/idJP2018011501001959?il=0 2018年1月15日閲覧。 
  27. ^ “ICANの事務局長 核兵器禁止条約めぐり「日本は国際社会の仲間外れになる」”. ANN. (2018年1月17日). https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000118832.html 2018年1月17日閲覧。 
  28. ^ “ノーベル平和賞のICAN事務局長の来日、安倍政権批判目的だった?主要運営団体は「ピースボート」”. (2018年1月22日). https://www.sankei.com/article/20180122-XJDFQY4Z7RKAVC4SVVZFYHEUHU/2/ 2018年1月26日閲覧。 
  29. ^ SOKAnet (2018年1月18日). “ICANの事務局長が総本部を訪問”. 創価学会. 2021年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月30日閲覧。
  30. ^ a b Partner organizations”. International Campaign to Abolish Nuclear Weapons. 2017年10月23日閲覧。(英語)

関連項目

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外部リンク

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