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INO80ファミリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

INO80ファミリー(inositol requiring 80)はATP依存性クロマチンリモデリング因子のファミリーの1つであり、INO80複合体やSWR1複合体の構成因子が含まれる[1][2]

機能

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INO80ファミリーの主な機能の1つは、ヌクレオソームへの代替的ヒストンの組み込みと除去である[1]。ヒストンH2A.Z英語版が存在する場合、INO80ファミリーのリモデリング因子はこの代替的ヒストンの再配置、そして最終的には除去を触媒する[3]。H2A.Zは遺伝子の開始位置の最初のヌクレオソームに存在する[3]。INO80ファミリーのリモデリング因子は、相同組換え修復経路でH2A.Xにもリクルートされる[3]

この機能に加えて、INO80ファミリーは転写調節や遺伝的組換えにも関与している[4]。DNA損傷応答経路では、INO80ファミリーは修復組換え細胞周期の調節を補助する[4]。INO80ファミリーはチェックポイント因子のリクルートを活性化し、DNA鎖複製ストレスからの回復を補助する[4]。このファミリーによる代替的ヒストンの組み込みは、ゲノムの安定性、疾患の病因、幹細胞性に重要である[4]。INO80複合体は転写開始部位や終結部位のヌクレオソームが存在しない領域に結合していることが多い[2]。INO80はATP加水分解のエネルギーを利用してヌクレオソームが存在しない領域を形成したり、他のリモデリング因子と協働してヌクレオソームを均等に配置したりする因子である[3]

構造

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INO80ファミリーのATPアーゼは、長い挿入配列によって分割されたATPアーゼドメインを持つ[1][3]。ATPアーゼドメインの長い挿入部は、RuvB1英語版RuvB2英語版ヘリカーゼをリクルートする[2]。これらのヘリカーゼはゲノムの維持に寄与し、INO80ファミリーのクロマチンリモデリング複合体に特有である[4]。N末端ドメインはDNA損傷の同定やテロメアの安定性を補助する機能を果たす[4]。このファミリーの複合体にはArp4英語版-アクチン複合体も含まれ、遺伝子の安定性を補助している[2]。Arp5サブユニットはATPアーゼ機能、DNAへの結合、そしてヌクレオソームの移動に必要である[3]

出典

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  1. ^ a b c Clapier, Cedric R.; Iwasa, Janet; Cairns, Bradley R.; Peterson, Craig L. (July 2017). “Mechanisms of action and regulation of ATP-dependent chromatin-remodelling complexes” (英語). Nature Reviews Molecular Cell Biology 18 (7): 407–422. doi:10.1038/nrm.2017.26. ISSN 1471-0072. PMC 8127953. PMID 28512350. http://www.nature.com/articles/nrm.2017.26. 
  2. ^ a b c d Poli, Jérôme; Gasser, Susan M.; Papamichos-Chronakis, Manolis (2017-10-05). “The INO80 remodeller in transcription, replication and repair” (英語). Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences 372 (1731): 20160290. doi:10.1098/rstb.2016.0290. ISSN 0962-8436. PMC 5577468. PMID 28847827. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5577468/. 
  3. ^ a b c d e f Yen, Kuangyu; Vinayachandran, Vinesh; Pugh, B. Franklin (September 2013). “SWR-C and INO80 Chromatin Remodelers Recognize Nucleosome-free Regions Near +1 Nucleosomes” (英語). Cell 154 (6): 1246–1256. doi:10.1016/j.cell.2013.08.043. PMC 4090706. PMID 24034248. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4090706/. 
  4. ^ a b c d e f Morrison, Ashby J. (2017-10-05). “Genome maintenance functions of the INO80 chromatin remodeller” (英語). Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences 372 (1731): 20160289. doi:10.1098/rstb.2016.0289. ISSN 0962-8436. PMC 5577467. PMID 28847826. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5577467/.