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KIC 9832227

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
KIC 9832227
KIC 9832227(中央赤丸内)
KIC 9832227(中央赤丸内)
星座 はくちょう座
見かけの等級 (mv) 12.369[1]
12.27 - 12.46(変光)[2]
変光星型 おおぐま座W型変光星[1]
分類 接触連星
三重連星
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  19h 29m 15.9505454822s[1]
赤緯 (Dec, δ) +46° 37′ 19.856657851″[1]
赤方偏移 -0.000146[1]
視線速度 (Rv) -43.91 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -9.806 ミリ秒/[1]
赤緯: -5.784 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 1.6804 ± 0.0278ミリ秒[1]
(誤差1.7%)
距離 1940 ± 30 光年[注 1]
(595 ± 10 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 3.5[注 2]
軌道要素と性質
元期:MJD 55688.49913 ± 0.00002[3]
軌道の種類 周回軌道
軌道長半径 (a) 2.992 ± 0.015 R[3]
公転周期 (P) 0.45796151 [3]
軌道傾斜角 (i) 53.19 ± 0.10°[3]
次回近点通過 2022.2 ± 0.6 年[3]
物理的性質
半径 1.581 ± 0.009 / 0.830 ± 0.005 R[3]
質量 1.395 ± 0.011 / 0.318 ± 0.005 M[3]
表面重力 4.19 ± 0.01 / 4.10 ± 0.01 (log g)[3]
自転速度 149.7 ± 0.8 / 84.7 ± 0.5 km/s[3]
スペクトル分類 G5[1][2]
光度 2.609 ± 0.055 / 0.789 ± 0.017 L[3]
表面温度 5,800 ± 59 / 5,920 ± 63 K[3]
色指数 (B-V) 0.03[3]
他のカタログでの名称
ASAS J192916+4637.3[1]
GSC 03543-01211[2]
2MASS J19291594+4637198[1]
Template (ノート 解説) ■Project

KIC 9832227はくちょう座の方向にある接触連星[4]地球からは約1,940光年離れている。また、ほぼ11時間周期で変光する食変光星でもある[4]

特徴

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2017年、KIC 9832227の2つの恒星が2022.2±0.6年に恒星合体英語版を起こして、約1ヶ月に渡って見かけの等級が2等級にもなる高輝度赤色新星を起こすことが予測された[3][5]。2つの恒星が合体することにより、より高温で規模が大きな、新たな主系列星が形成されるとされている。

KIC 9832227の変光周期は2013年以来、短くなっていることが知られており、これからも周期が徐々に短くなっていき、最終的に2つの恒星が合体するという予測がなされた。これは、2008年さそり座V1309星系で発生した新星と同じプロセスで、大量のエネルギーを放出し、後にRomuald Tylenda率いる研究チームによって、この新星が恒星の合体により生じたものであることが判明した。しかし、Tylendaの研究チームの天文学者は、新星が発生する時期を求めるのに十分な正確性を持っていない可能性があるモデルに基づいているため、KIC 9832227の予測の信頼性を疑問視している[6]。このような恒星合体を引き起こす物理的な仕組みはまだ解明されておらず、KIC 9832227の研究において大きな焦点となっている。

2018年9月、元の予測がデータセットの1つである、12時間の相殺されるタイミングに基づいていることが示された。これは、公転周期が実際には2008年頃までに増加していることを示している。周期が変動する原因はまだ分かっていないが、予測された時期に連星系が合体する可能性は低いとされている[7][8][9]

これとは別に、2つの恒星の周囲を590±8日で公転している3番目の恒星の存在が確認されており、少なくとも太陽の0.11倍の質量を持つとされている[3]

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m Result for KIC 9832227”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2018年7月11日閲覧。
  2. ^ a b c ASAS J192916+4637.3”. The International Variable Star Index. American Association of Variable Star Observers. 2018年7月11日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n Molnar, Lawrence A. et al. (2017). “Prediction of a Red Nova Outburst in KIC 9832227”. The Astrophysical Journal 840 (1): 1. arXiv:1704.05502. Bibcode2017ApJ...840....1M. doi:10.3847/1538-4357/aa6ba7. ISSN 1538-4357. https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aa6ba7/meta. 
  4. ^ a b Kinemuchi, Karen (2 October 2013). "To Pulsate or to Eclipse? Status of KIC 9832227 Variable Star". arXiv:1310.0544v1 [astro-ph.SR]。
  5. ^ Two stars will merge in 2022 and explode into red fury”. Astronomy Magazine. 2018年7月11日閲覧。
  6. ^ Paired Stars in Cygnus En Route to Merger”. Sky and Telescope (2017年1月6日). 2018年7月11日閲覧。
  7. ^ Socia, Quentin J et al. (2018). “KIC 9832227: Using Vulcan Data to Negate the 2022 Red Nova Merger Prediction”. The Astrophysical Journal 864 (2): L32. arXiv:1809.02771. Bibcode2018ApJ...864L..32S. doi:10.3847/2041-8213/aadc0d. ISSN 2041-8213. 
  8. ^ Kucinski, Matt (7 September 2018). "Team of researchers challenge bold astronomical prediction". calvin.edu (Press release). 2018年9月16日閲覧
  9. ^ Supplementary material to Calvin College press release "Team of researchers challenge bold astronomical prediction", September 7, 2018”. calvin.edu (2018年9月7日). 2018年9月16日閲覧。