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サネカズラ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Kadsuraから転送)
サネカズラ属
1. サネカズラの果実
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
: アウストロバイレヤ目 Austrobaileyales
: マツブサ科 Schisandraceae
: サネカズラ属 Kadsura
学名
Kadsura Kaempf. ex Juss. (1810)[1]
タイプ種
サネカズラ
Kadsura japonica (L.) Dunal. (1817)[2]
シノニム
下位分類

サネカズラ属 (サネカズラぞく、学名: Kadsura) は被子植物マツブサ科分類されるの1つである。常緑性のつる性木本であり、精油を含む。 単性花であり雌雄同株または雌雄異株、らせん状に配置した多数の花被片雄しべ雌しべ (心皮) をもつ。果実は赤熟または黄熟する液果であり、球状の集合果になる (図1)。17種ほどが知られ、東アジアから東南アジアに分布している。日本には、サネカズラリュウキュウサネカズラの2種が自生している。

学名の Kadsura は、日本語の「葛 (かずら)」に由来する[3]。サネカズラ属の植物はさまざまな生理活性物質を含み、いくつかのは中国で古くから民間薬として用いられている[4]

特徴

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常緑性つる性木本 (藤本) である[5][6] (下図2a)。葉柄をもち、葉身は楕円形から卵形、倒卵形、革質から洋紙質、基部はくさび形から切形、亜心形、先端は鋭形から鋭突形、葉縁には全縁または鋸歯がある[5][6] (下図2)。

2b. サネカズラの葉と果実
2c. サネカズラの植物画

は単性、雌雄同株または雌雄異株[5][6]。花は葉腋生 (鱗片を含む) または茎生花であり、花柄の先に単生する (まれに2–4個)[5][6] (上図2c)。花被片は7–24枚、離生し、らせん状につき、外側のものは小さい[5][6]雄しべは13–80個、らせん状につき、基部で合着または半球状に密に合着し、花糸は肉質で短く、は側生し小型、葯隔は横に広がる[5][6]花粉は放射状の6溝粒[5][6]心皮は17-約300個、離生、1-5(-11)個の胚珠を含み、球形の花托上にらせん状につく[5][6]。個々の果実は球形の液果、赤色または黄色に熟し、これが集まって球形から卵形の集合果となる[5][6] (上図2b)。各果実は1-5(-11)個の種子を含み、種子の表面は平滑[5]

分布

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日本から中国南部、東南アジアセイロン島温帯域から熱帯域に分布している[5][6]

系統と分類

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サネカズラ属 (Kadsura) はマツブサ科に属し、特にマツブサ属 (Schisandra) に近縁である。ただし分子系統学的研究からは、サネカズラ属が単系統群ではなく、マツブサ属に分類されている一部の種 (S. plena, S. propinqua) が、系統的にサネカズラ属の中に含まれることが示されている[7] (下図3)。

マツブサ科

シキミ属

マツブサ属の多く (チョウセンゴミシマツブサなど)

Kadsura ananosma

Kadsura coccinea

Schisandra plena

Schisandra propinqua

Kadsura scandens

Kadsura philippinensis

サネカズラ (Kadsura japonica)

Kadsura longipedunculata

Kadsura heteroclita

Kadsura renchangiana

3. マツブサ科 (特にサネカズラ属) の系統仮説 (一部の種のみ)[7][8]

サネカズラ属には、およそ17種が知られている[1] (下表1)。日本にはサネカズラリュウキュウサネカズラが自生している[9]

表1. サネカズラ属の分類体系の一例[1][10]

脚注

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注釈

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  1. ^ Kadsura coccinea のシノニムともされる[1]

出典

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  1. ^ a b c d e f Kadsura”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年8月11日閲覧。
  2. ^ Kadsura Juss.”. Tropicos.org.. Missouri Botanical Garden. 2021年8月11日閲覧。
  3. ^ サネカズラ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%82%B5%E3%83%8D%E3%82%AB%E3%82%BA%E3%83%A9コトバンクより2021年8月11日閲覧 
  4. ^ Liu, J., Qi, Y., Lai, H., Zhang, J., Jia, X., Liu, H., ... & Xiao, P. (2014). “Genus Kadsura, a good source with considerable characteristic chemical constituents and potential bioactivities”. Phytomedicine 21 (8-9): 1092-1097. doi:10.1016/j.phymed.2014.01.015. 
  5. ^ a b c d e f g h i j k Flora of China Editorial Committee (2010年). “Kadsura”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年8月11日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j 大橋広好 (2015). “サネカズラ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 49–50. ISBN 978-4582535310 
  7. ^ a b Fan, J. H., Thien, L. B. & Luo, Y. B. (2011). “Pollination systems, biogeography, and divergence times of three allopatric species of Schisandra in North America, China, and Japan”. Journal of Systematics and Evolution 49 (4): 330-338. doi:10.1111/j.1759-6831.2011.00125.x. 
  8. ^ Zhang, J., Chen, M., Dong, X., Lin, R., Fan, J. & Chen, Z. (2015). “Evaluation of four commonly used DNA barcoding loci for Chinese medicinal plants of the family Schisandraceae”. PloS One 10 (5): e0125574. doi:10.1371/journal.pone.0125574. 
  9. ^ 100年前に台湾で報告されるも既知種とされていた植物を日本で再発見 ― 別種であることを証明し、和名「リュウキュウサネカズラ」と命名 ―』(プレスリリース)神戸大学、2017年6月30日https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2017_06_30_01.html2021年8月11日閲覧 
  10. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “BG Plants 和名−学名インデックス(YList)”. 2021年8月11日閲覧。
  11. ^ Phillip Parker King (1791-1856; 探検家) もしくは ジョージ・キング (植物学者) (1840-1909; 植物学者)

外部リンク

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  • Flora of China Editorial Committee (2010年). “Kadsura”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年8月11日閲覧。 (英語)
  • Kadsura”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年8月11日閲覧。 (英語)
  • GBIF Secretariat (2021年). “Kadsura”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年8月11日閲覧。