MANDARA
作者 | 谷謙二 |
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初版 | 1993年 |
最新版 |
MANDARA 10
/ 2018年3月1日 |
対応OS | Windows 7/8/8.1/10 |
対応言語 | 日本語 |
種別 | GISソフトウェア |
公式サイト |
ktgis |
MANDARA(マンダラ[1])は、主題図を作成できるGISソフトウェアである[2]。地理学者の谷謙二により開発された[2]。
特徴
[編集]地域分析において有用なGISソフトウェアであり[3]、特に地図の作図において優れている[2]。さらに付属のデータ(統計データ・地図データ)を利用すれば地図作成をより簡単に行える[2]うえ、付属データのみでも日本の都道府県別人口分布図などの主題図も作成できる[4]。この他、各機関の提供データや、独自データなどの地図化も行える[2]。例えば、国勢調査の小地域統計の地図化が可能である[5]。
費用の心配なく容易に利用できるGISソフトウェアであり[6]、MANDARAによる地図の描画について、伊藤智章は「表計算ソフトでグラフを描く感覚」と説明している[7]。
日本では、大学で広く用いられているほか、行政やビジネスの現場での利用者も多い[8]。また、インターネット上で無料でソフトウェアをダウンロードできる点、Microsoft Excel形式のデータを少し修正することで主題図を作成できる点から、高等学校の地理の授業でも利用しやすい[9]。MANDARAを利用した主題図の作成により統計データを可視化できるため、授業の場で地域差や地域性などを理解させるときにも使える[10]。
ただし、MANDARAはWindowsでしか使用できない[5]。
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都道府県別人口増加率(2020年)
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長野県の人口増加率と人口総数(2020)
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埼玉県から東京都への通勤・通学人数(2015年)
経緯
[編集]MANDARAが開発されたのは、谷が名古屋大学の学部生だったときである[11]。1991年度に金沢市で行われた野外実習に関連して作成した、金沢市の人口分布変化を示すプログラムの経験をもとに、1992年末頃[注釈 1]から、日本全国に対応したプログラムとして、ソフトの開発を試み[11]、1993年の春に初版が完成した[13]。なお、谷は卒業論文でもMANDARAを使用して分布図を作成している[14]。
なお、当時は地理情報システム(GIS)が普及しはじめた時期であり[14]、大学の地理学教室であってもどこでもGISを扱えるわけではなかった[15]。
大学院の修士1年でMS-DOS版の作成が完了し[11]、雑誌『地理』[注釈 2]でも取りあげられた[12]。1995年に名古屋大学で実施された日本地理学会秋季学術大会でも発表が行われた[12]。
Windows 95の発売後には、Windows版への移行も行われた[16]。2000年からはインターネット上での公開が開始され[16]、2006年1月時点で既に7万件以上のダウンロードが行われていた[1]。また、2004年に地理情報システム学会の学会賞(ソフトウェア部門)を受賞した[17]。
解説書
[編集]- 谷 謙二 2011. 『フリーGISソフトMANDARAパーフェクトマスター』古今書院.[18]
- 後藤真太郎・谷 謙二・酒井聡一・坪井塑太郎・加藤一郎 2013. 『MANDARAとEXCELによる市民のためのGIS講座第3版―地図化すると見えてくる―』古今書院.[18]
- 谷 謙二 2018. 『フリーGISソフトMANDARA10パーフェクトマスター』古今書院.[6]
- 谷 謙二 2022. 『フリーGISソフトMANDARA10入門 増補版』古今書院.[19]
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 当時、谷は学部3年生であった[12]。
- ^ 谷 謙二 1994. 主題図作成・分析支援ソフト「MANDARA」. 地理 39(10): 128-129.
出典
[編集]- ^ a b 谷 2006, p. 40.
- ^ a b c d e 野間ほか 2017, p. 157.
- ^ 村山 2013, p. 13.
- ^ 野間ほか 2017, p. 165.
- ^ a b 中川 2010, p. 9.
- ^ a b 石﨑 2019, p. 272.
- ^ 伊藤 2008, p. 119.
- ^ Murayama 2013, p. 78.
- ^ 香川 2017, p. 43.
- ^ 大西 2017, p. 52.
- ^ a b c 谷 2006, p. 42.
- ^ a b c 谷 2018, p. 12.
- ^ “地理情報分析支援システム MANDARA 更新履歴”. 2019年11月24日閲覧。
- ^ a b 谷 2007, p. 99.
- ^ 香川 2017, p. 40.
- ^ a b 谷 2018, p. 42.
- ^ “受賞一覧|学会賞|GISA 地理情報システム学会”. 2019年11月22日閲覧。
- ^ a b 村山・駒木 2013, p. 14.
- ^ “フリーGISソフトMANDARA10入門 増補版 - 古今書院 Since1922 地理学とともに歩む”. 古今書院. 2022年1月24日閲覧。
参考文献
[編集]- 石﨑研二「学界展望 数理・計量・地理情報」『人文地理』第71巻第3号、2019年、271-273頁、doi:10.4200/jjhg.71.03_245。
- 伊藤智章「連載:いとちり式 地理の授業にGIS 第4回 空飛ぶアスパラガス ―MANDARAを使った農業の授業」『地理』第53巻第12号、古今書院、2008年、115-120頁。
- 大西宏治 著「地域統計データの可視化」、地理情報システム学会 教育委員会 編『地理空間情報を活かす 授業のためのGIS教材』古今書院、2017年、52-59頁。ISBN 978-4-7722-5305-5。
- 香川雄一 著「身近な地域の学習におけるGISの利用」、地理情報システム学会 教育委員会 編『地理空間情報を活かす 授業のためのGIS教材』古今書院、2017年、40-45頁。ISBN 978-4-7722-5305-5。
- 谷謙二「人気ソフト「MANDARA」開発者 谷 謙二先生に聞く 「MANDARA」オモテ話&ウラ話」『地理』第51巻第1号、古今書院、2006年、40-43頁。
- 谷謙二 著「地域調査のデータ処理」、梶田真・仁平尊明・加藤政洋 編『地域調査ことはじめ』ナカニシヤ出版、2007年、95-104頁。ISBN 978-4-7795-0132-6。
- 谷謙二『フリーGISソフト MANDARA10 パーフェクトマスター』古今書院、2018年。ISBN 978-4-7722-8119-5。
- 中川聡史「国勢調査小地域統計とGISソフトMANDARAをつかってみよう」『統計』第7号、2010年、9-15頁。
- 野間晴雄、香川貴志、土平博、山田周二、河角龍典、小原丈明『ジオ・パルNEO 地理学・地域調査便利帖』(第2版)海青社、2017年。ISBN 978-4-86099-315-3。
- 村山祐司 著「地域分析の方法をいかに入手するか」、村山祐司・駒木伸比古 編『新版 地域分析』古今書院、2013年、1-15頁。ISBN 978-4-7722-5272-0。
- Murayama, Y. (2013). “Development of GIS Studies in Japan”. Geographical review of Japan series B 86 (1): 75-81. doi:10.4157/geogrevjapanb.86.75.