MCDプロジェクト
MCDプロジェクトとは、民博コスチュームデータベース (MCD) を構築し運用していくための組織である。
概要
[編集]1984年度から1995年度まで国立民族学博物館(略称:民博)の大丸研究室では、当時の大阪樟蔭女子大学衣料情報室と協力して、服装関連分野のデータベース化の研究と構築に取り組んできた。この期間の活動を基盤として、現在もデータベースの構築は継続されている。MCDプロジェクトはその過程で生まれてきたものであり、その出発点は、1988・1989年度の国立民族学博物館共同研究会「服装の比較文化論的基礎研究-関連シソーラスの評価」とみなすことができる。その後、1995年度まで継続的に行われた共同研究会「服装データベース構築のための基礎的理論」および「服装データベース構築のためのドキュメンテーション手法」を通して、現在のプロジェクトが形成されてきた。本プロジェクトでは、衣文化についてのデータベース化にかかることがら、すなわちデータの分析から、構築、サービスに至るまでの研究を行ってきている。メンバーは、服装学・情報学・文化人類学等の専門家で構成され、各共同研究会では必要に応じて入れ替わっている。
成果
[編集]MCDプロジェクトの成果は、現<服装・ 身装文化資料デジタルアーカイブ>として、国立民族学博物館のウェブサイトから公開された。ここでいう「身装」とは、身体および身体を装うための“モノ”とそれに関連する“コトガラ”のすべてを含んだ概念を表すために導入された言葉であり、着装している人間を中心として、その人々をとりまく文化的環境までをも含む概念である。
また、MCDでは、データ分析に「服装専門分類表」および「身装概念コード表」(シソーラス)などの独自の体系を用いていることに特徴がある。「服装専門分類表」 は、生産から消費への流れを表す面と、衣服、あるいは関連品それ自体を表す面の2つの面からなるファセット分類である。「身装概念コード表」は、服装専門分類表に基づき、優先語を選ばす同類語をコード化した体系表示である[1]。
MCDを構成する4つのサブデータベースとそのデータ件数(2017年2月時点)は、以下のとおりである。データベースは現在も更新されており、毎年、10,000件程度のデータが追加されている。
衣服・アクセサリーデータベース
[編集]国立民族学博物館が所蔵する衣服標本資料とアクセサリー標本資料の詳細分析情報、および関連するフィールド写真を収録している。画像を含めた総データ件数は、約230,000件。
身装文献データベース
[編集]身装文化に関する雑誌記事、図書の索引情報で、
- 服装関連日本語雑誌記事(カレント)
- 服装関連日本語雑誌記事(戦前編)
- 服装関連外国語雑誌記事
- 服装関連日本語図書
- 服装関連外国語民族誌
から構成されている。約170,000件。
近代日本の身装電子年表データベース
[編集]洋装がまだ日常に定着していなかった1868年(明治元年)から1945年(昭和20年)の日本を対象とした身装関連の電子年表で、当時の新聞記事と身装関連雑誌をもとにしている。「事件」と「現況」、「各年の画像」、「回顧」で構成されている。画像を含めた総データ件数は、約11,000件。
身装画像データベース
[編集]和装と洋装が拮抗したダイナミックな期間である1868年(明治元年)から1945年(昭和20年)までの日本を対象とした身装関連の画像データベース。文化変容の様子を、当時の新聞小説挿絵、写真、図書中の図版、ポスターなどを通して窺うことができる。データ件数は、約5,000件。
MCDプロジェクトの構成員
[編集]- 代表
- 高橋晴子 (国立民族学博物館 外来研究員 )
- メンバー(五十音順)
脚注
[編集]- ^ 高橋晴子, 「民博コスチュームデータベース[MCD]の現状および今後の展望」『情報管理』 1992年 35巻 8号 p.665-674, , doi:10.1241/johokanri.35.665, NAID 130000075018
参考文献
[編集]外部リンク
[編集]- 服装・身装文化デジタルアーカイブ
- 服装・身装文化デジタルアーカイブ(2019) 国立民族学博物館