OVER DRIVE (映画)
OVER DRIVE | |
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映画に登場したヤリスSCRS | |
監督 | 羽住英一郎 |
脚本 | 桑村さや香 |
製作 |
蔵本憲昭 石黒研三 鈴木聡 岸田一晃 古屋厚 |
製作総指揮 |
井口高志 上田太地 |
出演者 |
東出昌大 新田真剣佑 森川葵 北村匠海 町田啓太 要潤 吉田鋼太郎 |
音楽 | 佐藤直紀 |
主題歌 | WANIMA「Drive」 |
撮影 | 木村信也 |
編集 | 松尾浩 |
制作会社 | ROBOT |
製作会社 | 「OVER DRIVE」製作委員会 |
配給 | 東宝 |
公開 | 2018年6月1日 |
上映時間 | 104分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 4.6億円[1] |
『OVER DRIVE』(オーバードライブ)は、2018年6月1日公開の日本映画。モータースポーツのラリー競技をテーマにした作品。
キャッチコピーは「信じて駆けろ」「全てを懸けた兄弟の熱き想いが走り出す。」。
概要
[編集]邦画としては2008年の『SS エスエス』以来10年ぶりとなるラリー映画。従来のモータースポーツ映画に比べると、ドライバーの陰に隠れやすかったメカニックを主人公にし、両者の交流をメインに描いているのが大きな特徴である。監督は『海猿』や『暗殺教室』を手がけ、自身もモータースポーツ好きである羽住英一郎[2]。
自動車、自動車部品、タイヤ、時計、ラリー雑誌などラリーに関わっている実在の企業や現役ラリーストの多くが私物提供やラリー場面での演技指導などで協力しており、劇中にも実際の企業名が登場する。
一部は海外のラリー競技の映像提供も受けてはいるが、撮影自体は全て日本で行われている。ラリーカーの実際のドライブは、全日本ラリー選手権 (JRC) 王者の勝田範彦と奴田原文雄、同じくJRCドライバーの牟田周平と大橋逸夫が担当。またフリーメカニックとしてラリーチームを渡り歩く三枝豊和の監督・訓練のもと、実際にメカニック役たちがマシンの整備・取り付けを行った。全国で唯一、高等学校としてラリー競技に参加している豊国学園高等学校も、ロケ地から近いこともあり撮影に協力している。ラリー会場の雰囲気は海外ラリーやNASCARをイメージしている[3]。
本作の映画化は前述のように小学生時代からモータースポーツファンの羽住監督にとって念願だった。作風は「マニアックな内容では共感を得られない。セリフに専門用語を使わず、余計な説明も加えない。モータースポーツに関心がないカップルが見ても楽しめる青春映画に仕立てた」という[4]。リエゾン(公道の移動区間)のシーンが省かれているのもこれが理由である。
東出には撮影の2カ月前から車の構造を解説した分厚い資料を勉強させ、メカニックの仕事も体験させた。新田には「目に見えて鍛え上げられた肉体」を要求。羽住監督は「配役同様、2人とも仕事を完璧に仕上げてくれた。彼らに役者ばかだとほめてやりました」と語っていた[4]。
あらすじ
[編集]ラリー競技の最高峰、世界ラリー選手権 (WRC) を目指す若き天才ドライバー・檜山直純は、同じ『スピカレーシング』に所属するメカニックの兄・篤洋の助言を無視し、彼と衝突を繰り返す日々を過ごしていた。そんな中、直純の新しいマネジメント担当として遠藤ひかるがやって来る。そこでひかるを待っていたのは、檜山兄弟の確執の原因となった過去と、チーム全体を巻き込む危機だった。
キャスト
[編集]- 檜山篤洋:東出昌大(幼少期:小原唯和)
- 檜山直純:新田真剣佑(幼少期:財前魁斗)
- 遠藤ひかる:森川葵
- 新海彰:北村匠海
- 増田順平:町田啓太
- 香川久俊:要潤
- 都築一星:吉田鋼太郎
- 片岡 怜:佐藤貢三
- 原 良和:平山裕介
- 坂崎 豊:松本実
- 水野友也:長谷川ティティ
- 関竜太:川口覚
- 永瀬陽菜:清水ひまわり
世界観・設定
[編集]主人公たちが争っているのはWRCの登竜門とされる架空のラリーシリーズ、『SCRS』(SEIKOカップラリーシリーズ)である。前身は1980年から始まった全日本ラリードライバーズカップで、1998年にSCRSとなり、1999年に国際格式となった[注 1]。本作の舞台となっている2018年シリーズは、初の海外ラウンドであるマレーシア、インドを含めた日付つきカレンダーや、参戦チーム名とその英語表記まで設定されている。クラスは『SRC-1』(現実のグループR5相当)、『SRC-2』(グループR4相当)、『SRC-3』(グループR1A相当)の3つに分かれており、主人公たちはSRC-1で優勝を争っている。SRC-1は全13ラウンドが設定されているが、一部は設定地とは別の場所で撮影されている。
またスピカレーシングについても、設立やISO 9001取得の年月、ラリーでの成績、スタッフの入社や異動歴、資本金、主要業務で製作しているパーツ、組織図など至るところまで細かく設定されている。
登場車種
[編集]- トヨタ・ヤリス(日本名:ヴィッツ)[注 2][注 3]
- シトロエン・DS3レーシング[注 4]
- MINI・クロスオーバーJCW[注 5]
- 4代目 三菱・ミラージュ ハッチバック [注 6]
- 2代目GD型スバル・インプレッサWRX[注 7]
- トヨタ・ヴィッツGRMN ターボ [注 8]
- プジョー・208 R2 [注 9]
- 三菱・ランサーエボリューションX
- トヨタ・セリカ GT-FOUR
- フォード・フィエスタ 3ドア[注 10]
- シトロエン・C4クーペ[注 11]
- ドゥカティ・スーパースポーツ[注 12]
- プロトン・サトリアネオ
スタッフ
[編集]- 監督:羽住英一郎
- 脚本:桑村さや香
- 音楽:佐藤直紀
- 主題歌:WANIMA「Drive」
- 製作:吉崎圭一、市川南、
- 共同製作:加太孝明、角田真敏、髙橋誠、板東浩二、田中祐介
- エグゼクティブ・プロデューサー:井口高志、上田太地
- 企画:早川英、安藤親広
- プロデュース:蔵本憲昭、石黒研三
- プロデューサー:鈴木聡、岸田一晃、古屋厚
- 撮影:木村信也
- 照明:三善章誉
- 録音:小松崎永行
- 特機:実原康之
- VFXプロデューサー:赤羽智史
- 編集:松尾浩
- 美術:相馬直樹
- 美術デザイン:大西英文
- 装飾:小山大次郎
- 衣装:丸山佳奈
- ヘアメイク:望月志穂美
- ドローン:請川博一
- 音響効果:柴崎憲治
- 選曲:藤村義孝
- スクリプター:谷恵子
- キャスティング:緒方慶子
- 助監督:吉川祐太
- 制作担当:高瀬大樹
- 特別協賛:トヨタ自動車
- Special Thanks:豊田章男
- 配給:東宝
- 制作プロダクション:ROBOT
- 制作協力:東宝映画
- 製作:「OVER DRIVE」製作委員会(電通、東宝、ROBOT、講談社、KDDI、ひかりTV、GYAO)
主なロケ地
[編集]北九州フィルム・コミッションの協力の下、福岡県北九州市で長期ロケが組まれたほか、ラリーシリーズを再現するため全国各地で撮影が行われている。
- 篤洋と直純が峠の山道をマウンテンバイクで下っていく場面 - 稲取細野高原(静岡県東伊豆町)
- 第3戦・東海ラウンド - 宇部興産伊佐鉱山・伊佐セメント工場[5]、秋吉台カルストロード(以上山口県美祢市)、宇部興産宇部ケミカル工場(山口県宇部市)
- 第4戦・富士ラウンド - 秋吉台国定公園内の公道(山口県美祢市)
- 第5戦・お台場ラウンド - お台場(東京都港区)
- 第10戦・北陸ラウンド - 五箇山(富山県南砺市)
- 第13戦・北九州ラウンド
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 実際には全日本ラリー選手権とは別に、2017年に日本初の国際格式のラリーである日本スーパーラリーシリーズ (JSR) が誕生している。
- ^ 撮影に使用した車両は南アフリカのTOYOTA GAZOO Racing SAがスーパー2000規定で開発した四輪駆動のラリーカーで、同国内ラリー選手権で2度チャンピオンとなった車両でもある。2.0リッター自然吸気エンジンを搭載するが、劇中ではターボ車の設定である。タイヤは横浜ゴム製の「A052」と「A053」を装着して撮影。
- ^ 2018年6月8日~10日に群馬県嬬恋村を中心に開催されたモントレー2018では、実際に撮影に使用されたヤリスがクスコラリーチームの下『ヤリスSCRS』として参戦し、総合優勝を飾った。また併催の全日本ラリー選手権には、カースタントを担当した勝田範彦と奴田原文雄も出場した。
- ^ ベース車両となったDS3レーシングは、2010年に世界限定1000台(2011年に2000台を追加生産)で販売された限定車である。撮影車はワイドボディキット、大型カーボンリアウイングが追加されている。 車両の改造は大阪府 堺市のYMワークスが担当した。劇中では左ハンドルの設定だが、実際には右ハンドルの車両が使用された。内装は撮影時にはナニワヤ製フルバケットシートとOMP製ステアリング、内装部品の取り外し等が行われた。 撮影時のスタントドライバーとして奴田原文雄が走行を担当した。
- ^ 2016年に全日本ラリー選手権に実際に参戦していた車両で、外見の変更はほとんどされていない
- ^ 回想シーン(1995年)に登場。スパルコのフルバケットシート、ロールケージ、MOMO ステアリング、O・Z ホイール等が装着されている。撮影にあたり、実際に一般の車両が選出され、登場した。[1]
- ^ WRCレプリカ仕様。
- ^ 冒頭のサービスパークで登場。
- ^ 実際に全日本ラリー選手権に、クスコレーシングから参戦している車両。ヤリスの水没シーンに登場。
- ^ 日本には正規輸入されていなかった、1.0ターボを搭載したイギリス仕様の2015年式フィエスタ タイタニアム3ドアモデルのAT車をベースに、外見をフィエスタSTの物に換装し、リアウイングを装着、サスペンションをビルシュタイン製車高調節式サスペンションに変更。さらにコンピューター、吸排気系の改造によりノーマルから55馬力のパワーアップがされている。内装はノーマルのままになっている。 車両の改造はシトロエン同様、大阪府 堺市のYMワークスが担当した。
- ^ WRCレプリカ仕様。
- ^ 直純の愛車
出典
[編集]- ^ 『キネマ旬報』2019年3月下旬特別号 p.40
- ^ 羽住英一郎監督 "ラリーばか"が作った熱き男たちの物語 OVER DRIVE MEETS GAZOO
- ^ 『Rally plus特別編集「WRC入門講座」』三栄書房刊行 2018年6月21日[要ページ番号]
- ^ a b 「OVER DRIVE」羽住英一郎監督 大ファンが作った娯楽作品 産経ニュース(2018年6月8日)2018年10月14日閲覧
- ^ 『宇部興産伊佐鉱山が映画「OVER DRIVE-オーバードライブ-」にロケ協力』(プレスリリース)宇部興産、2018年6月1日 。2018年6月2日閲覧。
- ^ “映画『OVER DRIVE』明日から放映開始!”. 北九州フィルム・コミッション (2018年5月31日). 2018年6月2日閲覧。
関連項目
[編集]- ラリー
- 栄光への5000キロ - 日産自動車の協力の元撮影されたサファリラリーの映画
- 海へ 〜See you〜 - 三菱自動車協力の元撮影されたパリ-ダカール・ラリーの映画
外部リンク
[編集]- 映画『OVER DRIVE』公式サイト[リンク切れ]
- OVER DRIVE (@overdrive_movie) - X(旧Twitter)
- OVER DRIVE - YouTubeプレイリスト