openCanvas
開発元 | 株式会社PGN |
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初版 | 2000年 |
最新版 |
ver.7.0.25
/ 2019年10月15日 |
対応OS | Microsoft Windows(RT非対応) |
対応言語 | 日本語 / 英語 / 韓国語 / 中国語 |
種別 | ペイントソフト |
ライセンス | プロプライエタリ |
公式サイト | http://www.portalgraphics.net/oc/ |
openCanvas(オープンキャンバス)は、株式会社PGNによって開発されているWindows専用グラフィックソフトウェア(ペイントソフト)。
1万円を切る低価格帯に属しながら、豊かなブラシ機能を搭載した本格的なイラスト製作ソフトであり、また2000年のリリース当初より、現代の動画共有機能に相当する「イベントファイル機能」を搭載、現代のSNSに相当するイラスト投稿コミュニティの「portalgraphics」(ポタグラ)が付随サービスとして存在していたこともあって、ゼロ年代における主要なイラスト製作ツールの一つとなった。
FireAlpacaと同じ開発チームが開発しており、ソフトウェア販売プラットホームのSteamでバンドル販売もなされている。
概要および特徴
[編集]充実したフィルター機能、レイヤー機能、パース機能、テキスト機能ツールを搭載し細やかな調整を行えるほか、長けたペンタブレット感知機能を持ち、様々な表現を実用することが可能なペイントツールである。openCanvas 4からはブラシ機能、新ペン先機能が搭載され、更なる細かい調整が可能となった。openCanvas 3以前のペン機能も、「旧ペン機能」として使用可能である。
個人開発のグラフィックソフトとして2000年代前半までネットで無料頒布されていた「わんぱくペイント」の後継として、2000年7月に公開された[1]。ver 1は無料(フリーウェア)だったが、ver 2より有料(シェアウェア)となった。
openCanvasのネット公開に先立って、漫画制作に特化されたOEM版であるComicWorksがデリーター社より市販されていた。同じ開発者が開発していた漫画制作ソフトのComicWorksや、ComicWorksの展開終了後に展開された漫画制作ソフトのコミラボおよびmdiappがモノクロの漫画原稿の制作を前提としているのに対して、openCanvasはフルカラーのイラスト製作を前提としているのが特徴であった。また、デリーター社より販売されていた漫画制作ソフトのComicWorks、およびイラスト製作ソフトのCGillustが、画材大手であるデリーターの持つ販路を使い、画材店や文房具店などで販売されていたのに対し、本ソフトは開発メーカー自らが販売し、ネットでのダウンロード販売を前提としていたのが特徴であった。
openCanvas 3およびopenCanvas 4では「Plus」版が存在し、「レイヤのグループ化」機能や、Adobe Photoshopの標準画像フォーマットであるPSDファイルの読み込み・保存などに対応した。PSDファイルに対応したことにより、openCanvasとは別のソフトで加工したり、あるいはその逆の工程を行うことも可能となった。openCanvas 5以降のバージョンではPlus版は通常版に統合された。
イラスト投稿コミュニティサービス「portalgraphics」(ポタグラ)
[編集]「portalgraphics」(ポタグラ)は2000年7月20日に開始された、おそらく日本国内では初となる本格的なイラスト投稿コミュニティサービスであったと考えられている[2]。個人サイトを緩く連結する「ウェブリング」が主流であった2000年代前半から、pixivなどの本格的なイラストSNSが主流となる2010年代前半までの時代において、「ポタグラ」は絵師の主要な交流サイトの一つとなった。
「portalgraphics」は、2000年の開設当初はシェアウェアの頒布を主な目的としたこじんまりとしたサイトだったが、当時からユーザーが製作したイラストの投稿を受け付けており、無料なのにキャンバスの回転表示機能(イラストを描く際に好きな角度に画像を動かして描ける)を搭載するなど、当時の無料イラストソフトとしては珍しい本格的なイラストソフトということもあって、イベントの日などには何十枚もの絵が投稿される人気サイトとなった。コミュニティは、当初は単にネット掲示板(BBS)が併設されているだけだったが、ユーザー数の拡大に伴い、2003年12月に本格的なユーザーコミュニティの「PGN User Community」をオープン。イラストコンテストなどのイベントや、イラスト製作などのハウツー情報も充実していた。
openCanvasを所有していなくてもユーザーコミュニティ自体を利用することは可能で、イラスト投稿にあたって、openCanvasを直接または間接的に利用していることが必要となる[3]。
openCanvasはver 1より描画手順を保存できるイベントファイル機能を持っており、これをopenCanvasで開くことにより描画手順を確認することができる。また同社が運営している「ポタグラ」にイベントファイルを投稿することで他のユーザーと描画手順を動画で共有する事ができる。デリーター社から市販されていたOEM版のCGillustでも同じ機能を持っており、ポタグラにイベントファイル、イラストの投稿も可能となっていた。当時は動画共有サービスの無い時代であるから、イベントファイル機能は「神絵師」の描き方を参照する重要な機能であった。
ポタグラは2009年8月28日にリニューアルオープン。投稿イラストに付随した単なる掲示板機能ではなく、投稿されたイラストに対する評価、メッセージ、友人登録(マイポタ)、ユーザー検索などの機能を搭載した、本格的なSNSとなった。しかし時代の流れには勝てず、2016年7月27日にサービスが終了した。ポタグラのサービス終了同日にopenCanvas 6.1.00がリリース。イベントファイルの再生途中をGIFアニメ形式で書き出す機能が追加された[4]。
歴史
[編集]- 2000年7月20日
- 無償のペイントツールとして、画像投稿サイト「portalgraphics」と同時に公開された。
- 2001年6月29日
- openCanvas 2をリリース。このバージョン以降、有償となる。レイヤー機能とイベント再生機能の強化と選択範囲、アンドゥ・リドゥ、印刷の機能が追加された[5]。
- 2001年10月31日
- フリーウェアとして提供していたopenCanvas 1.1(バージョン1系)が諸事情により公開終了。
- 2003年8月6日
- openCanvas 3がリリース。同時に全ての機能が使えるopenCanvas 3 Plusが新たに加わり販売された。
- 2004年12月8日
- openCanvas 4、openCanvas 4 Plusがリリース[6]。2005年8月5日にはopenCanvas 4、openCanvas 4 Plus(両バージョン4.06)の英語版をリリース。
- 2006年9月26日
- openCanvas 4.5、openCanvas 4.5 Plusがリリース。openCanvas 4(Plus含む)から4.5へのバージョンアップは無償で行われた。2011年12月31日でサポート終了となった[7]。2007年5月18日、openCanvas 4.5、openCanvas 4.5 Plus(両バージョン4.5.09e)の英語版をリリース。
- 2010年12月22日
- openCanvas 5がリリース。イラストレーター、藤ちょこによるメインビジュアルを採用。2011年4月4日にはopenCanvas 5(バージョン5.05)の英語版もリリース。
- 2012年6月8日
- openCanvas 5.5がリリース。openCanvas 5から5.5へのバージョンアップは無償で行われ、同年7月2日にはopenCanvas 5.5の英語版がリリース。2015年7月1日にサポートが終了[7]。
- 2014年1月22日
- 初となるopenCanvas 5.5 Steam Editionをリリース[8]。
- 2014年7月3日
- openCanvas 6がリリース。同年6月26日、openCanvas 6の英語版をリリース。64ビット版が加わり、TabletPC APIの筆圧に対応、レイヤーマスク機能、ブラシエンジンが新しくなる。
- 2014年7月31日
- 既にサポートが終了しているopenCanvas 2からopenCanvas 4.5(Plus含む)のダウンロードが終了[7]。
- 2014年9月5日
- 初となるopenCanvas 6 パッケージ版が発売[9]。
- 2014年9月17日
- openCanvas 6 Steam Editionがリリース。手続きが必要となるが、openCanvas 5.5 Steam Editionを所有しているユーザーには無償でアップグレードできるとアナウンスされた[10]。
- 2017年9月21日
- openCanvas 7 Steam Editionがリリース[11]。
- 2018年5月17日
- openCanvas 7 パッケージ版・ダウンロード版がリリース[12]。
エディションとOEM
[編集]OEM
[編集]- COMIC ART CG illust(略称:CGillust)
- 発売元はデリーター株式会社(DELETER. INC.)。OEMであることをオフィシャルサイトのユーザーサポートページにて明記している。機能差はないが、CGillustバージョン3からイベントファイルの拡張子が異なる[13]。
Plus
[編集]バージョン3と4にはPlus版が存在していた。Plus版は全ての機能が使え、ノーマル版は機能が制限(トーン、PSDファイルの読み込み・保存の機能など)されている。
2009年8月10日にopenCanvas 4.5 ノーマル版の販売終了以降のopenCanvasではこれらを分けること無く全ての機能が使えている。
Steam
[編集]openCanvas 5.5からはValve Corporationが運営するSteamストアでも販売され、Steam Editionと表記されたが機能差はない。日本語、英語に加えて、韓国語、中国語にも対応している。
LITE
[編集]openCanvas 6 LITEは2014年11月に期間限定で無償配布されていたエディション。ベースはopenCanvas 6 32bitをいくつか機能制限したもので、使用期限は無く試用版とは異なる。初回の起動時のみ表示されるアンケートに答える仕様となっていたり、製品へのアップグレード版を購入することができる。アップデータの公開は終了している[14]。最終版は Ver.1.2.10。
ガイドブック
[編集]- 『openCanvas イラストメイキングガイド』(晋遊舎、2014年11月17日発売)ISBN 978-4-8018-0106-6
関連項目
[編集]- CGillust - openCanvasのOEM版
- コミラボ - 漫画制作に特化した姉妹製品(mdiappのOEM版)
- mdiapp - openCanvasの開発者が個人で販売する漫画制作ソフト。
- FireAlpaca - openCanvasと同じ開発元のフリーペイントツール。
- ComicWorks - openCanvasを基に開発された漫画制作ソフト。NEO版以降ではインターフェイスをmdiapp+と同じになる。
- XPPen - 同社のペンタブレット製品にopenCanvasが選択式でバンドルされている。
脚注
[編集]- ^ “StudioWP”. 2002年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月3日閲覧。
- ^ PGN Community has closed.
- ^ “ポタグラ FAQ”. 2016年6月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月3日閲覧。
- ^ 但し保護されたイベントファイルを除く。
- ^ 窓の杜 - 【NEWS】ホワイトボード共有ペイントソフト「openCanvas」がv2.0にバージョンアップ
- ^ 窓の杜 - 【NEWS】“ブラシ”と“ペン先”を細かく設定できるペイントソフト「openCanvas4」
- ^ a b c ペイントソフト openCanvas サポート
- ^ “ニュース - 全てのニュース”. Steam, portalgraphics. (2015年7月24日) 2018年8月21日閲覧。
- ^ 描画手順の再生と任意位置で追記可能な「イベント機能」を搭載『openCanvas6』9月 5日(金)発売
- ^ “ニュース - 全てのニュース”. Steam, portalgraphics. (2018年5月22日) 2018年8月21日閲覧。
- ^ Steam:openCanvas 7
- ^ “直感的な操作ができる、多機能ペイントソフト イラスト初心者から上級者まで幅広く対応できるWindows専用のペイントソフト 最新版『openCanvas 7』 ~2018年5月17日(木)発売~”. ドリームニュース. (2018年5月10日) 2018年8月21日閲覧。
- ^ “ユーザーサポート(DELETER)”. 2016年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月21日閲覧。
- ^ 「openCanvas LITE」アップデーター