Parler
ロゴマーク | |
en:File:Andy Biggs' Parler feed.png | |
URL |
parler |
---|---|
タイプ | ソーシャル・ネットワーキング・サービス |
設立 | 2018年 |
本社所在地 | アメリカ合衆国 ネバダ州ヘンダーソン |
設立者 | レベッカ・マーサー |
業種 | インターネット |
従業員数 | 30人 |
開始 | 2018年9月 |
現在の状態 | 運営中 |
Parler(パーラー、[pɑːrlər]、PAR-ler)は、2018年8月に開設された、非主流を自称するミニブログ、およびソーシャル・ネットワーキング・サービスである。アメリカ合衆国のネバダ州ヘンダーソンに拠点を置く。
Parlerは、TwitterやFacebookなどの主流のソーシャルネットワークに代わる、言論の自由と偏見のない選択肢として自らを売り出している[1][2][3]。
2021年の米国議会議事堂の襲撃の調整に使用されたという告発を受けた後、テック企業がサービスを拒否したり、アプリを上場廃止にしたりしている[4]。 AppleとGoogleはParlerのモバイルアプリをそれぞれのアプリストアから削除し、Amazon Web Servicesがホスティングサービスを停止[5][6]。その結果、Parlerは2021年1月10日に完全にオフラインになった。同年2月15日、サービス再開[7]。
2022年10月17日、運営会社はラップ歌手のカニエ・ウェストが本サービスを買収することで合意したと発表した[8]。
方針
[編集]公式サイトに基づく情報によれば、運営方針について以下のように主張している。
- 時勢に流されたシャドウバン(shadow-banning)は行わない。
- 人種、性別、年齢、性的嗜好、宗教、政治、食の選択に関わらず、全てのユーザーは平等に扱われる。
- あらゆる宗教の信者も、あるいは非信者も、市民的に語ることを歓迎される。
- コンテンツに対してバイアスのかかった取捨選択を行う方針は、ユーザーの怒りを呼び起こし、コミュニティのガイドラインに影響を与えてしまう。中立な視点を持ち、あらゆる非暴力的な意見に耳を傾ける人々を支援する。
仕様と特徴
[編集]2020年11月29日時点
- ユーザーの投稿が新着順に時系列で表示される。
- 投稿はテキスト、URL、静止画像、GIF画像に対応している。動画はURLリンクとして貼ることができる。
- 1つの投稿の文字数制限は1000文字。
- 投稿を削除することはできるが、投稿後に編集することはできない。
- 絵文字入力をサポートするボタンがある。
- 投稿に対してコメントを入力できる。
- 「Echo」で自身もしくは他ユーザーの投稿を引用再投稿できる。その際、自身のコメントをつけることもできる。
- 「Vote(投票)」機能があり、高評価もしくは低評価できる。低評価はコメントに対してのみ可能である。
- それぞれの投稿の閲覧数が表示される。
- 本人認証機能があり、認証されたユーザーはユーザーアイコンの右下に赤バッジ(red badge)が表示される。
- 本人認証には運転免許証か旅券の提示が必要。ただし運転免許証はアメリカ合衆国のもの(en:Driver's licenses in the United States)にしか対応していない。
- 赤バッジ(red badge)はそのユーザーが実際の人物であり(つまり、BOTなどのプログラムではない)、固有のアカウントであることを示す。
- 言語設定を日本語にすると、項目や説明などにおいて一部に誤った翻訳が表示される。
評価
[編集]- Parlerは「表現の自由」を掲げており、主に保守主義者の間で人気がある[9]と言われている。
- ParlerはTwitterに代わるSNSとして説明されており、主流のSNSのファクトチェックを嫌がる人々の間で利用されていると言われている[10]。
- Enrique Dansはフォーブス上で、Parlerは利用規約がTwitterやFacebookよりも厳しく、ヘイトスピーチが多いとし、エコーチェンバーとなっているとした[11]。
アプリストアでの配信停止とホスティング停止
[編集]2021年1月8日、GoogleはGoogle PlayからParlerの削除を行った[12]。またAppleはApp Store上にあるParlerの公式アプリに対し、24時間の猶予を与え、問題のあるコンテンツを削除することを求め、削除しない場合は公式アプリをApp Storeから削除するとした[13][14]。Googleは「暴動の扇動」が存在することを、Appleは2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件に関連してこれらの措置を行ったとしている[12]。
ParlerのCEOであるJohn Matzeはこの措置に対して「既に存在する暴力の扇動に対するParlerのルールが、Appleの基準を満たしていると考えている」と述べた。またParlerを不当に標的としている政治的なグループが存在するとし、「彼らは言論の自由と彼らの反対派を押さえつけたいのだ。」と述べた[12]。BBCに対しては「政治的動機のある企業や言論の自由を嫌う権威主義者に、屈することはない。」と述べた[15]。
ロイターはこれらの報道の中で、保守的なSNSユーザーはTwitterやFacebookが政治的主張を取り締まることを理由とし、彼らがParlerの他にもGabやTelegramにおいてコミュニケーションをとっているとした。Parlerに資金を提供したことのあるロバート・マーサーは、GoogleやAppleの行為に対し、「ParlerがParlerのユーザーコンテンツに責任を持つ必要があるならば、AppleはiPhoneで行われた全ての違法行為について責任を負わなければならない。」「Twitter、Facebook、そしてApple自身に適用されない規約がParlerに対して適用される。」と述べた[13]。
また、Amazonは10日、Amazon Web ServicesからParlerを除外することを発表した[16][17]。理由として暴力的なコンテンツが急増し、これらすべては違反に当たると判断したことがあげられている。この措置に対しParlerの創業者でCEOであるJohn Matzeは声明で「インターネットにおける、言論の自由の完全な排除の試みである」と批判した[18]。また、Parlerがサービスを再建するまでの間、最大で1週間サービスが使用不可能になることも発表した[19][20]。
1月18日、ParlerはロシアのDDoS-Guardとパートナーシップを締結し部分的に復活した[21][22]。
2021年2月15日、Parlerはティーパーティー・パトリオッツのMark Meckleが暫定CEOに就任し、サイトの復活を発表した[23]。新しいサーバー提供者はスカイシルク・クラウド・サービシーズである[24][25]。
脚注
[編集]- ^ Parker, Bryan C. (December 1, 2020). "I tried Parler, the social media app where hate speech thrives". Houston Chronicle.
- ^ "Parler: Where the Mainstream Mingles with the Extreme". Anti-Defamation League. November 12, 2020
- ^ Saul, Isaac (July 18, 2019). "This Twitter Alternative Was Supposed To Be Nicer, But Bigots Love It Already". The Forward
- ^ Staff, Reuters「アップルとアマゾン、右派の集まるSNS「パーラー」を削除」『Reuters』2021年1月11日。2021年1月13日閲覧。
- ^ Schechner, Sam. “トランプ支持者に人気のSNS「パーラー」、ネットから姿消す”. WSJ Japan. 2021年1月13日閲覧。
- ^ “米アップル、SNSアプリ「パーラー」をストアから排除”. CNN.co.jp. 2021年1月13日閲覧。
- ^ “米右派SNS「Parler」、1カ月ぶり復旧 議事堂占拠で断絶”. 日本経済新聞. (February 16, 2021) February 18, 2021閲覧。
- ^ “右派SNS「パーラー」買収へ 米ラップ歌手K・ウェストさん”. 時事通信 (2022年10月18日). 2022年10月18日閲覧。
- ^ Harwell, Drew; Lerman, Rachel. "Conservatives grumbling about censorship say they're flocking to Parler. They told us so on Twitter". Washington Post (アメリカ英語). ISSN 0190-8286. 2020年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月28日閲覧。
- ^ Conklin, Audrey (11 July 2020). "How Twitter's fact check works". FOXBusiness (アメリカ英語). 2020年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月28日閲覧。
- ^ Dans, Enrique (2020-12-31). 遠藤宗生. ed. “トランプ支持者が集まる「言論の自由SNS」の虚構”. Forbes JAPAN. オリジナルの2021-01-09時点におけるアーカイブ。 2021年1月10日閲覧。.
- ^ a b c Horwitz, Jeff; Higgins, Tim (8 January 2021). "Google Pulls Parler as Apple Threatens the Same in Wake of Capitol Riot". ウォール・ストリート・ジャーナル. ISSN 0099-9660. 2021年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月10日閲覧。
- ^ a b Culliford, Elizabeth; Nellis, Stephen (9 January 2021). Adler, Leslie; Osterman, Cynthia; Wallis, Daniel (eds.). "Google suspends Parler social networking app from Play Store; Apple gives 24-hour warning". ロイター. 2021年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月10日閲覧。
- ^ “モデレーションフリーのSNSアプリ「Parler」がApp Store上から削除される危機、その理由とは?”. GIGAZINE. (2021年1月9日). オリジナルの2021年1月9日時点におけるアーカイブ。 2021年1月10日閲覧。
- ^ "Google suspends 'free speech' app Parler". BBC. 9 January 2021. 2021年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月10日閲覧。
- ^ Paczkowski, John; Mac, Ryan (9 January 2021). "Amazon Is Booting Parler Off Of Its Web Hosting Service". BuzzFeed. 2021年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月11日閲覧。
- ^ Bonifacic, Igor (10 January 2021). "Amazon is cutting off Parler's servers". Engadget. 2021年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月11日閲覧。
- ^ Kan, Janita (9 January 2021). "Amazon to Remove Parler From Its Web Hosting Service". 新唐人電視台. 2021年1月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月10日閲覧。
- ^ Dignan, Larry (10 January 2021). "AWS cuts off Parler, CEO aims to rebuild infrastructure". ZDNet. 2021年1月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月11日閲覧。
- ^ Shieber, Jonathan; Crichton, Danny (2021年1月11日). “AWSが愛国者の拠点となったソーシャルメディアParlerに対し日本時間1月11日午後のサービス停止を通告”. TechCrunch. オリジナルの2021年1月11日時点におけるアーカイブ。 2021年1月11日閲覧。
- ^ Menn, Joseph; Li, Kenneth; Culliford, Elizabeth (19 January 2021). "Parler partially reappears with support from Russian technology firm". Reuters. 2021年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月5日閲覧。
- ^ Mehrotra, Kartikay (22 January 2021). "Parler's New Partner Has Ties to the Russian Government". Bloomberg. 2021年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月5日閲覧。
- ^ Orecchio-Egresitz, Haven (2021年2月16日). “極右に人気のSNS「パーラー」が復活…ティーパーティー団体創設者を暫定CEOに”. www.businessinsider.jp. 2021年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月16日閲覧。
- ^ Thorbecke, Catherine (16 February 2021). "Parler, social media platform popular among conservatives, reemerges online". ABC NEWS. 2021年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月18日閲覧。
- ^ Lerman, Rachel (15 February 2021). "Parler is back online, more than a month after tangle with Amazon knocked it offline". Washington Post. 2021年2月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月5日閲覧。