Portal:医学と医療/特集項目/7
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インフルエンザウイルスは、ヒトに感染して、伝染病であるインフルエンザを起こすウイルス。分類上は「エンベロープを持つ、マイナス鎖の一本鎖RNAウイルス」として分類されるオルトミクソウイルス科に属する、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルスの3属を指す。ただし一般に「インフルエンザウイルス」と呼ぶ場合は、特にA型、B型のものを指し、その中でもさらにヒトに感染するものを意味する場合が多い。
本来はカモなどの水鳥を自然宿主として、その腸内に感染する弱毒性のウイルスであったものが、突然変異によってヒトの呼吸器への感染性を獲得したと考えられている。中でも1918年に世界的な流行を起こしたスペインかぜでは4000-5000万人の死者を出した。その後、1957年アジアかぜと1968年香港かぜに大きな変異を起こして世界的大流行が発生、また1977年にはスペインかぜと同じA型H1N1亜型のソ連かぜが流行を起こした。その後も新型インフルエンザウイルスが出現することが予測されており、世界的規模で警戒しつづけられている。一部のインフルエンザウイルスは家禽類(ニワトリなど)に感染、法定伝染病の高病原性鳥インフルエンザを起こし、畜産業に被害を与える。インフルエンザウイルスに対する治療薬やワクチンも開発されているが、変異のしやすさやひとたび流行したときの被害の大きさから、医学上継続的に注視されているウイルスの一つである。