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セブアノ語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Sebugoから転送)
セブ語
セブアノ語
Sebwano/Sugboanon
話される国 フィリピンの旗 フィリピン
地域 ヴィサヤ諸島中部、ミンダナオ島北部、西部
話者数 第一言語話者: 1800万人
第二言語話者: 1000万人(推定)
言語系統
表記体系 ラテン文字 (Abakada)
公的地位
公用語 フィリピンの地方言語
統制機関 Visayan Academy of Arts and Letters
言語コード
ISO 639-1 なし
ISO 639-2 ceb
ISO 639-3 ceb
セブアノ語が使用されている地域
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セブアノ語(セブアノご、セブアノ語:Sinugboanon: Cebuano language)は、オーストロネシア語族、ヘスペロネシア語派、中央フィリピン諸語、中部フィリピン語群、南ビサヤ小語群に属する言語である[1]フィリピンセブ州ボホール州ネグロス・オリエンタル州レイテ州西部、さらにミンダナオ島西北部などで広く話されており、他にもごくわずかにサマール島に話者が存在する。これらの地域ではタガログ語フィリピン語)よりもセブアノ語を母語とする人が多い。語順はVSO型である。フィリピンの言語は総じてスペイン語からの借用語が多いが、セブアノ語はタガログ語以上にスペイン語からの借用語が多い[注 1]

言語名別称

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セブアノ語はセブ語ヴィサヤ語ビサヤ語とも呼ばれる。「セブアノ」とは地名のセブにスペイン語の-anoをつけたものである。言語グループとしてのヴィサヤ諸語英語版と区別する必要がある。

  • Sugbuhanon
  • Sugbuanon
  • ヴィサヤ語 (Visayan)
  • ビサヤ語 (Bisayan)
  • Binisaya
  • Sebuano
  • Bisaya
  • Cebuan

方言

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文字

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母音文字3つ、子音文字14つの合計17文字からなる。スペイン植民地化以前の16世紀まではインド系の音節文字を使用していた。[2]

音韻

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子音14個、半母音2個、母音3個がある。

子音

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p, t, k, b, d, g, m, n, ng [ŋ], s, h, ʔ, r, l

声門閉鎖音/ʔ/は、他の子音の後の位置に現れる場合のみ、ハイフンで表す。[2]

半母音

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w, y[j]

母音

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a, i, o(※語末で口を広くして発音されるoはuと書かれる)[注 2]

文法

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形態論

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接辞には接頭辞、接尾辞、接周辞、接中辞がある。[3]

pani- 語基の持つ意味の派生を示す hapon「午後」> panihapon「夕飯」
-on 語基の持つ性質をのあることを示す hangin > hanginon「風のある」
ka...an 複数性、集合性、抽象性などを示す tawo > katawhan「人々」
-in- 言語名に用いられる Tinagalog「タガログ語」

統語論

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基本語順はVSO型である。

文は拡大可能な述部と話題の2要素から成る。文には非動詞文と動詞文の2種類に分けられ、非動詞文はさらに、等位文、存在文、場所文、記述文、疑問文、所有文に分けることができる。動詞文は動詞の後に話題格標識の小辞がつく名詞句、すなわち、行為者または動作者、目的または目標、受益者または、間接目的、場所、道具が起こりうる。話題として選ばれた句の機能は動詞に現れる接辞で明示される。[4]

疑似動詞構造

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gusto「好む」, kinahanglan「必要な」, mahimo「可能な」は未然法の動詞に足して助動詞的な機能を果たす。[5]なお、これらの語は意味的に中心となる動詞に先行する。

  • Gusto ako muadto sa Cebu ugma.(好む-私-行く-[標識]-セブ-明日)
    「私は明日セブへ行きたい」
  • Kinahanglang muadto ako sa merkado.(必要な[+連辞]-行く-私-[標識]-市場)
    「私は市場へ行かなければならない」
  • Mahimo bang mubasa ako ug libro?(可能-[疑問小辞+連辞]-読む-私-[標識]-本)
    「私にその本が読めるか」

法と相

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法と相は動詞に接辞としてつけられる。[6]

  • 法:既然、未然、無然

既然:すでに始まっている行為を示す

未然:まだ始まっていない行為を示す

無然:命令や要求を示す

  • 相:非使役相、使役相

非使役相:

 中立:瞬間的に終了する行為を示す

 進行:一定時間の継続的行為を示す

 適能:能力や可能性を表す

 配分:行為者や行為の数の概念を表す

使役相:中立使役相、進行使役相、適能使役相

態度小辞

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態度小辞という小辞によって様々な意味を表す。[7]

  • kaha <可能性>

Mahimo kaha kin?(可能性-[態度小辞]-これ)

「これは可能ですか」

  • kono <伝聞>

Maayo kono sila.(良い-[態度小辞]-彼(女)ら)

「彼(女)らは良いそうだ」

  • gayud~gyud <確実性>

Mao gyud na sila.(正しい-[態度小辞]-すでに-彼(女)ら)

「彼(女)らだ、間違いなく」

  • unta <仮の願望>

Gusto unta ko mupalit ug pagkaon.(望む-[態度小辞]-私-買う-[標識]-食べ物)

「私は食べ物が買いたい」

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※"´"はアクセントの位置を表す

  • 1 usá
  • 2 duhá
  • 3 tulú
  • 4 upát
  • 5 limá
  • 6 unúm
  • 7 pitú
  • 8 walú
  • 9 siyám
  • 10 napúlu
  • 11 napúlu'g usá(10と1の意味のnapúlu ug usáの縮まった形)
  • 12 napúlu'g duhá
  • 20 kawha-an
  • 21 kawha-a'g usá

...

  • 30 katlo-an
  • 31 katlo-a'g usá

...

  • 40 kap-atan/kap'atan
  • 41 kap-ata'g usá/kap'ata'g usá

...

  • 50 kalimaan/kalim'an
  • 51 kalimaa'g usá/kalim'a'g usá

...

  • 60 kaunuman/kan'uman
  • 61 kaunuma'g usá/kan'uma'g usá

...

  • 70 kapitu-an
  • 71 kapitu-a'g usá

...

  • 80 kawalo-an
  • 81 kawalo-a'g usá

...

  • 90 kasiyaman
  • 91 kasiyama'g usá

...

  • 100 usá ka gatos
  • 101 usá ka gatos ug usá

...

  • 1,000 usá ka libo
  • 1,000,000 usa ka libo ka libo/ usa ka milyon

参考文献

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  • 亀井孝,河野六郎,千野栄一編著『言語学大辞典』三省堂,1988, p.443-457

関連項目

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外部リンク

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脚注

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注釈

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  1. ^ 例えばタガログ語では「日曜日」を Linggo と言うが、セブアノ語では Domingo(または Dominggo)と言う。また「章」のことをタガログ語では kabanata と言うが、セブアノ語では kapitulo (元のスペイン語では capitulo 。英語の chapter に相当する)と言う。
  2. ^ ただし外来語に由来するuはそのままuと発音される(例:Jesus Kristoは「へスース クリスト」)。

出典

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  1. ^ 亀井孝,河野六郎,千野栄一編著『言語学大辞典』三省堂,1988, p.443参照
  2. ^ a b 亀井孝,河野六郎,千野栄一編著『言語学大辞典』三省堂,1988, p.444参照
  3. ^ 亀井孝,河野六郎,千野栄一編著『言語学大辞典』三省堂,1988, p.444-445参照
  4. ^ 亀井孝,河野六郎,千野栄一編著『言語学大辞典』三省堂,1988, p.452-454参照
  5. ^ 亀井孝,河野六郎,千野栄一編著『言語学大辞典』三省堂,1988, p.455参照
  6. ^ 亀井孝,河野六郎,千野栄一編著『言語学大辞典』三省堂,1988, p.454参照
  7. ^ 亀井孝,河野六郎,千野栄一編著『言語学大辞典』三省堂,1988, p.451-452参照
  8. ^ 柴田, 直治 (2016年9月7日). “それでもとまらぬドゥテルテの暴言 世界は今後も目が離せない”. ハフポスト日本版. 2018年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月1日閲覧。