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「城事件」東京地裁判決

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「城事件」とは、「城の定義」「解説図」「解説文」などを巡って著作権侵害が争われた裁判です。結果的には「城の定義そのものに著作権はないが、他の部分に著作権侵害が見られる」ということで一部認容の判決が言い渡されました。判決文自体はPD扱いなので、下に当該部分を抜き出しておきます。--tan90deg 2008年8月25日 (月) 11:58 (UTC)[返信]

本文

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東京地裁判決 平成6年4月25日 平成4年(ワ)17510号 損害賠償請求事件

理由

三 本件定義の著作物性
1 《証拠略》によれば、本件定義は、原告書籍の本文の最初の、「城とは何か 城の定義」と題する章で、日本の城の定義がなかったことを指摘し、城の基礎知識のはじめに必要なことは「城とは何か」を理解するための城の定義であろうと述べ、既刊の辞典、事典類における説明的な意味での「城」の定義や解釈を列挙した上で、城を発生論的に観察し、発達、推移の状態を広く世界に追った結果を城の定義として成文すると次のとおりであるとして、記載されているものであり、その後に、本件定義の個々の要素についての説明が加えられていることが認められ、《証拠略》によれば、原告は、長年の調査研究の成果として、本件城の定義と基礎理論を確立し、城の学術的な体系を理論化したものと自負していることが認められる。
2 右認定の事実及び本件定義自体によれば、本件定義は、原告が長年の調査研究によって到達した、城の学問的研究のための基礎としての城の概念の不可欠の特性を簡潔に言語で記述したものであり、原告の学問的思想そのものと認められる。そして、本件定義のような簡潔な学問的定義では、城の概念の不可欠の特性を表す文言は、思想に対応するものとして厳密に選択採用されており、原告の学問的思想と同じ思想に立つ限り同一又は類似の文言を採用して記述する外はなく、全く別の文言を採用すれば、別の学問的思想による定義になってしまうものと解される。また、本件定義の文の構造や特性を表す個々の文言自体から見た表現形式は、この種の学問的定義の文の構造や、先行する城の定義や説明に使用された文言と大差はないから、本件定義の表現形式に創作性は認められず、もし本件定義に創作性があるとすれば、何をもって城の概念の不可欠の特性として城の定義に採用するかという学問的思想そのものにあるものと認められる。
 ところで、著作権法が著作権の対象である著作物の意義について「思想又は感情を創作的に表現したものであって、・・・」と規定しているのは、思想又は感情そのものは著作物ではなく、その創作的な表現形式が著作物として著作権法による保護の対象であることを明らかにしたものと解するのが相当であるところ、右に判断したところによれば、本件定義は原告の学問的思想そのものであって、その表現形式に創作性は認められないのであるから、本件定義を著作物と認めることはできない。
 学問的思想としての本件定義は、それが新規なものであれば、学術研究の分野において、いわゆるプライオリティを有するものとして慣行に従って尊重されることがあるのは別として、これを著作権の対象となる著作物として著作権者に専有させることは著作権法の予定したところではない。(以下略)

コメント

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遅ればせながら判例のご教示ありがとうございます。--fromm 2008年11月19日 (水) 04:47 (UTC)[返信]