Wikipedia‐ノート:削除依頼/即時削除が却下された、屋外美術を被写体とする写真の利用方針に違反する画像

ページのコンテンツが他言語でサポートされていません。

この削除依頼が長期未解決になっているので見てみました。関連する情報が多く、よい判断ができているか不安が残るのですが、どちらかと言えば削除が適当ではないかと考えた理由を少し細かく書きます。

  • Wikipedia:屋外美術を被写体とする写真の利用方針は現段階では草案で、それもあって今回の削除依頼対象の画像は即時削除はされなかった、と理解しました。
  • そもそも、どうしてこの方針の条件4に違反している場合、削除するのが合理的なのかを考えてみたのですが、この方針の上位にあるウィキメディア財団の決議(ライセンシング方針についての決議)wmf:Resolution:Licensing_policy(日本語参考訳)の3と4にある内容が根拠になっていると思いました。どの記事でも使われないのに画像だけがアップロードされている状態というのは、特に4に反しているということになるでしょう。
  • どうしてそういう内容の決議がされたかを更に自分なりに推測してみると、ウィキペディアはフリーな百科事典を作成するプロジェクトなので、フリーではない(合法ではあっても、商業利用も含めて自由に誰でもが利用できるというわけではない)コンテンツは歓迎しない、というウィキペディアの理念があるように思います。それに加えて、米国のフェアユースにも著作物の利用目的や利用する分量を考慮要素とするという規定内容が含まれていて、単に公表・共有するだけの目的で百科事典に使われるわけではないのに許諾を得ていない画像等が投稿されるとか、逆に百科事典として必要な度合いを超えて多くの画像等が記事に表示されるのは法的に安全ではないかも、という配慮もあるかも知れません。(一見してわかりやすい形ではありませんがWikipedia‐ノート:削除依頼/画像:立川国際中等教育学校校章.JPG#MiyaさんのコメントについてでZCUさんが述べている内容もほぼ合致するようです。)あるいは、更に踏み込んで解釈してみると、次のような形でフェアユースの弁護がしやすい、という類の考えがもしかしたらあるかも知れません。「ウィキペディアという非営利の百科事典の記事中で述べている内容の補足などの(原作品を鑑賞・消費させることとは異なる)目的で量も謙抑的に限定されているのであれば、利用の目的としてはTransformativeかつ非営利になるし、原作品の市場価値に悪影響を与えることもまずない。」フェアユースの考慮要素の中でも一番重要なのはTransformative Use であるかどうか(利用の目的と性質の一部)や原作品の潜在市場や価値への影響があるかだという説があるようです(前者はNathaniel (2011)の実証分析Campbell v Acuff-Rose(1994)最高裁判決、後者はHarper& Row v Nation Enterprises(1985), Stewart v Abend (1990)の最高裁判決でNimmerの説を参照する形で述べられているもの。)そこで、目的を限定し、目的にふさわしい量に限定した利用をする、というようなことができれば、そういった説に照らしてもフェアユースとして弁護しやすいものになりそう、ということを思いました。
  • 以上を総合すると、やや大げさではありますが、今回依頼対象になっている画像については、ウィキペディア日本語版で当面使われていないし、フリーな画像でもないということで、ウィキペディアのミッションに照らしても、関係者にとっての法的なリスク抑制を考えても、削除する方がよいということになるのかなと思いました。
  • 日本語版の過去の関連しそうな議論を見たところでは、この決議で財団が示した方針に反するものは削除、という風に解釈されていることが多いようなので、その点からも削除が適当なのかなと思いました。
  • やや補足的な点ですが、個別の画像について気が付いた点があるので記します。画像を存続させることはできないか、根拠や存続させる場合の留意点を考えたり調べたりしたものです。
    • 車体に描かれた「雪ミク」の画像については、初音ミクのメディア展開#北海道/札幌市関連のコラボレーションに4点の表示があるので、有効活用がやや難しそうに思いました。(初音ミクの中で紹介する、ということは考えられますが、英語版ではそれに類する利用が望ましくないとされているようなのが気になりました。気を付けないとen:Wikipedia:Non-free_content#Images_2の8, 9などに近い形になりやすそうです。もっとも、この方針が米国のフェアユースについての解釈に立脚しているのか、他の英語圏の国を意識しているのかまではわかりませんが。)
      • なお、念のため、初音ミクはある程度は利用できるように許諾ピアプロ・キャラクター・ライセンスつきで提供されているので、車体に描かれた「雪ミク」はどうなのかも見てみましたが、やや懸念材料があるように思いました。(ピアプロのライセンスでは初音ミクは他のキャラクターと並んで列挙されているが、雪ミクが初音ミクの一種として包含されているのか、ライセンス対象外なのかがわからない、また、そのままの複製は許諾されていないところ、ラッピング車両の撮影が許諾されることになるかどうかがわからない。関連が深い部分はそれぞれ1条1.(2)の当社キャラクター、3条2.(2)の利用条件の部分)。
    • 神戸ルミナリエの画像については、より気になる点がありました。
      1. ひとつは、特に神戸ルミナリエの記事には同様に屋外美術を被写体とする画像が複数あることもあり、ウィキペディア日本語版での活用がやや難しそう(上記方針に合致させにくそう)に思いました。
      2. 上記方針に照らすと著作者・著作権者の表記がないことも問題ではあります。それが著作権法48条(出所明示)への違反にならないかも気になりました。(画像の撮影・投稿当時はどうだったかはわかりませんが、これを書いている時点では、神戸ルミナリエサイト内の2010年の模様を伝えるページを見ると著作権表示があります。)
      3. 神戸ルミナリエは毎年異なる作品を展示しているようであり、かつ、それはウィキペディアの記事によると2007年度以降は12日間しか開催されないようです。ということは、これは上記方針で想定している被写体(屋外に恒常的に設置されている美術の著作物の原作品)に該当しなさそうです。この方針は屋外に恒常的に設置されている美術の原作品であれば日本の著作権法の規定に照らして、ウィキペディアに掲載しても大丈夫な場合がある、という前提で作られている方針なので、それにあてはまらない、というのは結構深刻な問題かも知れません。参考になる判例に、バスの車体に描かれた絵がこの意味で恒常的かどうかを争点の一つにしたもの[1][2]がありますが、そこでは「特定のイベントのために,ごく短期間のみ」運行されるバスであればその車体に描かれた絵が「恒常的」に屋外に設置されているとは言えないと示唆するくだりがあります。この写真は、まさにそういう短期間イベントの作品になっている可能性がありそうです。
      4. 仮に屋外に恒常的に設置された美術の原作品ではないとしても「引用」にあたる場合などであれば著作権侵害とはならない可能性があると思いますが、その場合もやはり著作者の記載がないことや、どの記事でも利用されていないことが問題だと思います。
      5. Wikipedia:削除依頼/ルミナリエ関連画像で2005年に(議論の内容から推察するに)おそらくは類似の画像について削除の議論があった際には、主催者側がサイト上で肖像権を主張しているらしいことが指摘されていましたが、今回一応確認した限りではそのような記載は見当たりませんでした。(存在していないとまでは断言できませんが。)
      6. ちなみに、そもそも被写体が著作物ではないとか、著作物ではあっても創作的な表現にあたるディテールが何も撮影されていないので写真が侵害になっていない、という可能性も一応思いついたのですが、この点については、あまり具体的な判断材料がありませんでした。著作物(思想や感情の創作的な表現)でないということはなさそう、遠距離からの撮影でもそういう撮影や鑑賞を想定して創られているから創作的表現も写っている、と言えそうにも思いました。

以上です。長くなってすみませんでした。Tomos会話2017年5月7日 (日) 19:36 (UTC)[返信]