Wikipedia‐ノート:削除依頼/国勢調査
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「公共機関の作成したホームページの内容をウィキペディアに利用できるか」については、過去にも何度か議論がありました。私の知っている範囲でまとめ、今回の事例について当てはめると、以下のようになります。
- 著作権法第13条第1項から3項までに基づく部分、つまり、法令・告示・通達などのいわゆる公文書、裁判所の判決文等は、著作物性を有さないので自由に抜粋・引用・転載等を行うことができる。ただし、著作権侵害が問われた裁判の判決文などで、その文中に他の著作物が引用されているような場合、その被引用部分のみを抜き出して判決文の解説ではなく引用された著作物の解説に利用するような行為は疑わしい。今回の場合はこれら規定には当てはまりませんから、これを主張することは難しいように思います。
- 著作権法第32条第2項では、行政機関が
- 一般に周知させることを目的として作成し、
- その著作の名義の下に公表する
- 広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、
- 説明の材料として
- 新聞紙、雑誌その他の刊行物に
- 転載することができる。
- ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
- とされています。順番に見ていくことにします。
- (1)一般に周知させることを目的として作成されているか。ホームページは明らかに該当しますから、この条件はクリアされていると考えられます。
- (2)その著作の名義のもとに発表しているか。該当するページの上部には「総務省 統計局」の文字がありますから、このページは総務省統計局が発表しているもので、この部分が著作者の表示に当たると考えられます。この条件も問題ないでしょう。
- (3)著作物であるか。「広報資料、調査統計資料、報告書」という並べ方は、著作権法第2条第1項第1号と同様、例示と考えられ、「著作物」であるかどうかが主なポイントであると考えられます。該当するページの文章は明らかに著作物ですから、この条件も満たしていると言えます。
- (4)説明の材料として使用しているか。ウィキペディアにおいては、当然に説明の材料として使用することになります。一方、これがほかの所でGFDLに基づき改変されるとき、説明の材料として使用されなくなってしまったときに、ウィキペディア、あるいは当該部分を投稿した利用者が何らかの責任を負うか。ここは過去に議論をしたことが無く、余地がありそうです。
- (5)ウィキペディアは「刊行物」か。これも過去に話し合ったことはなかったかと思います。条文中には新聞紙、雑誌その他と言う例示がありますが、他の法令での使用法から類推すると、これらは「定期刊行物」で、一回だけ、と言うような発行の形態のものも刊行物と言ってよいようです。また、「独立行政法人国立印刷局に関する省令」では、いわゆる電磁的記録をも刊行物に含めるような解釈がありますから、これらからウィキペディアも刊行物である、と主張することは、全くの無理、と言うわけではなさそうです。ただし、前述の「独立行政法人~」は省令ですから、内閣法制局などの審査を経たものではなく、他の法令における「刊行物」にも電磁的記録が含まれると主張するための根拠としては弱いです。
- (6)「転載」とは何か。文言を素直に解釈すると、もとの文章を一字一句変わらず写し取るものを言いそうです。だとすると、自由な改変を認めているGFDLには適合しないことになります。
- (7)これを禁止する旨の表示があるか。当該ページそのものにはありませんが、そのページの「HOME」のリンクをたどった先にある当ホームページのご利用にあたってには、引用・転載の条件として出所の明示が求められています。引用については、著作権法第32条に言う「公正な慣行」として出所の明示を求める、と言う意味、転載については出所を明示する場合には転載を包括的に許可するもの、と解釈できそうです。前の(6)の条件がクリアーできたとしても、ウィキペディアに利用する際には要約欄等に出所を明示することが必要になりそうです。ただし、商用目的での複製についてはあらかじめ問い合わせるよう求められていますから、出所を明示したとしてもこれについてあらかじめの許可がない限り、GFDLでの利用はできないように思われます。
- 以上をあわせると、今回削除依頼にでている内容は、第13条に基づく利用には当たらず、第32条第2項に基づく利用でも、(1)(2)(3)の条件は満たすが、(4)(5)の条件を満たしているかについては疑問があり、(6)(7)については現状では満たしていないので同項に基づく適法な利用とも言い難いと結論できるのではないかと思います。なお、過去の議論の経緯については私の記憶に基づいて書いていますので、これについて、どこで行われたのかとか、誤認があるとかの指摘があると大変助かります。もちろん、私が書いた解釈そのものへのご意見もいただけたらと思います。―sketch(話/履) 2005年9月25日 (日) 05:12 (UTC)