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Wikipedia:秀逸な記事の選考/男の娘 20220613

賛成/条件付賛成/保留/反対 3/0/0/0 この項目は選考基準の「賛成票が3票以上」かつ「賛成票が全体票数の3/4以上」を満たしています。2022年9月10日 (土) 09:33 (UTC)(2022年9月10日 (土) 18:33 (JST))までに異論が無ければ、この項目は秀逸な記事となります。

  • (推薦)自薦です。2021年11月に良質な記事に選出されたもので、その後加筆と見直しをおこなってきました。私は主題について直接的にはあまり詳しくないのですが、成り立ちなど表層の面に関しては、集めた全ての資料が相互に補完し合っており、対立するところがありません。批評の面でも全ての資料が一点を指し示しており、全角度からその点に集中させるように構成しました。というわけで資料に書いてあるように書いております。先月ドイツで発行された書籍も確認しており、充分秀逸といえる記事になったと思いますので推薦します。なお概説的な資料は、2015年の佐伯順子・同志社大学教授「“男性差別”社会の癒やし:女装男子の歴史と現在」(NAID 40021144976)がありますが、その論稿を含む形で『ユリイカ』(ISBN 978-4791702947)の特集が組まれているため、最新の概説にはなっていません。--たけとう会話2022年6月13日 (月) 10:53 (UTC)[返信]
  • 出典として使用されている文献のうちアクセスできた下記の文献について、およそ100箇所ほど出典内容と記事記述との整合を確認しました。
    • 三橋順子 『女装と日本人』講談社〈講談社現代新書〉、2008年
    • 堀あきこ 『欲望のコード:マンガにみるセクシュアリティの男女差』臨川書店〈ビジュアル文化シリーズ〉、2009年
    • 一柳廣孝、久米依子 『ライトノベル・スタディーズ』青弓社、2013年
    • 斎藤環 『おたく神経サナトリウム』二見書房、2015年
    • 川本直 『「男の娘」たち』河出書房新社、2014年
    • 暮沢剛巳 『キャラクター文化入門』NTT出版、2010年
突合せ結果はおおよそ問題ないようですが、下記の点が引っかかりました。
  1. 暮沢 2010, p. 186.による「日本における女装文化の歴史は古く、トランスジェンダーなどの女装者ももともと存在していた[188]。」
    • 細かいようですが、ここは出典の記述に忠実に「日本における女装文化の歴史は古く、もともと多くの女装愛好者が存在していた。」ぐらいの書き方に留めるべきでは。トランスジェンダーという語は暮沢 2010, p. 186.には登場しておらず、トランスジェンダーという語のデリケートさを考えると安易にこの語でパラフレーズしない方が良いと思います。
  2. 川本 2014, p. 140.とKinsella 2020, pp. 46–47.による「川本(Kinsella)は、両誌(わぁい!)の三次元への配慮が、二次元と三次元のクロスオーバーを加速させたと分析している[174][238]。」
    • まず、「両誌」と書きながらカッコ書きでは(わぁい!)となっているのは単純な誤記のように思います。
    • 川本 2014, p. 140.の記述を文字通り読むと、「二次元と三次元をクロスオーバーさせた」の主語は、付録にニーソックスやブルマを付けた『おと☆娘』と述べているように思います。
    • 「川本(Kinsella)は…」のようにKinsellaの名がカッコ書きになっている理由がよくわかりません。
  3. 川本 2014, p. 135.による「コスプレ女装のクオリティは「男の娘」ブームの到来で大きく向上した[223]。 」
    • これも微妙なところですが、p. 135.あるいは次のページまで含めても「大きく向上した」とは書けないように思います。確かに暗に示されるニュアンスはそんな感じなんですが。川本 2014のこの辺りの箇所を元にするなら、「コスプレ女装のクオリティは「男の娘」ブームの到来で大きく変わった(川本 2014, pp. 135-136.)。」ぐらいの記述に留めるべきでは。
  4. 上記とは別の話ですが、図9のキャプションについて、できるならば対照的に「成年 女装/男の娘」「非成年 女装/男の娘」と書いた方が分かりやすいと思います。
--Yapparina会話2022年6月29日 (水) 14:12 (UTC)[返信]
返信 丁寧にご確認いただきありがとうございます。
  1. ご指摘のとおりですので、ご提案の表現に修正しました。
  2. ご指摘の一文を、とりあえずコメントアウトしております。
    • 再度資料を読み返したところ、確かに文字どおりの主語を読み間違えておりました。ただ実際には『わぁい!』もそういったものを付録につけており、主語を資料どおり『おと☆娘』に狭めてしまうと、記事の読者に対し『わぁい!』だけは影響を与えなかったかのような印象を与えてしまうかもしれないと思いますので、単純に主語を変えるという対応は避けたいと思います。
    • 「単純な誤記のように思います。」「Kinsellaの名がカッコ書きになっている理由がよくわかりません。」というご指摘のところは、(Kinsella 2020, pp. 46-47.)が『わぁい!』(と『オトコノコ倶楽部』)に関してニュアンス的には(川本 2014)と同じようなことを言っており、ふたつを「川本(Kinsella)は、両誌(わぁい!)の……」という表現でまとめていました。ただ、3点目の「ニュアンス」というご指摘も踏まえ、主語の問題を抜きにしてもあまりよくなかったと思いました。
    • 上の主語の問題とあわせて、「川本は『おと☆娘』が二次元と三次元のクロスオーバーを加速させたと分析しており(川本 2014, p. 140.)、Kinsellaは二次元から三次元へと移行していく動きが『わぁい!』などに見られたと報告している(Kinsella 2020, pp. 46-47.)。」のような表現が思い浮かびます。
  3. ご提案の表現に修正しました。脚注のページ番号を打ち間違えており、失礼いたしました。
  4. ご提案の表現に修正しました。
--たけとう会話2022年6月30日 (木) 08:33 (UTC)[返信]
コメント 第2点目に関し、コメントアウトしていたところを大体上のように修正しました(ついでに少し組み替えました)。Kinsella氏の論文のうち以下の部分を出典としています。
Otoko no ko fun Club (Otoko no ko [kurabu]), launched in 2009 by Sanwa, was [...]. In April 2010, another new magazine titled Wow! (Waai!) was launched by publisher [Ichijinsha], and it continued until 2014. [...] In these otoko no ko magazines can be seen the mixing of two-dimensional characters and three-dimensional models and actors of those characters, along with the general movement from characters to living model. — Kinsella 2020, pp. 46-47.
--たけとう会話2022年6月30日 (木) 13:02 (UTC)[返信]
ご対応ありがとうございます。今度は、ウェブ上でフリーアクセスできる論文の出典2つ
  • 三橋順子「「男の娘(おとこのこ)」なるもの:その今と昔・性別認識を考える」『日本文化研究』第10号、駒沢女子大学日本文化研究所、2013年3月、 61-83頁
  • 石井由香理「トランスジェンダーとクロスドレッサーの性の商業化と現状について」『人文学報』第513巻第1号、首都大学東京人文科学研究科、2017年3月17日、 11-34頁
と、ウェブページの出典全てを確認しました。三橋 2013はインターネットアーカイブされている方で確認しています。
全ての脚注において突合せにおおむね問題ありませんでしたが、「図7:成人自殺者の男女比率」について。厚生労働省 2016, p. 19.によると、成人自殺者の男女比率は69.3%対30.7%で、総自殺者の男女比率が69.4%対30.6%です。記事では、キャプションが成人自殺者男女比率と示しているのに対して、数値は出典の総自殺者男女比率を示しているようです。--Yapparina会話2022年7月2日 (土) 05:05 (UTC)[返信]
「成人自殺者の男女比率」のご指摘、ありがとうございました。グラフの数値をキャプションに合わせ、69.3%対30.7%に修正しました。--たけとう会話2022年7月3日 (日) 00:00 (UTC)[返信]
(賛成):たびたび修正ありがとうございます。わたしとしては記事に変更を求めるほどの懸念点はなくなりましたので賛成します。--Yapparina会話2022年7月3日 (日) 00:44 (UTC)[返信]
条件付賛成:一部の語句に、手を入れさせてもらいました。
  • 文化・歴史的背景節での「1950年代には美輪明宏に端を発したゲイ・ブームが到来する[296]」。「ゲイブーム」との言い回しは適切なのでしょうか。「ゲイボーイブーム」なら聞いたような気がしますが。また美輪明宏では、「1971年までの芸名は丸山明宏」とありますので、「1950年代には丸山(美輪)明宏に端を発した…」と記すべきです。同じく「表3:約10年周期の流行」も、「1960年代 丸山(美輪)明宏」として下さい。
  • 社会的背景節にて「21世紀の最初の20年間、日本では若い人口の約40 - 50%(Kinsella)が…」とありますが、(Kinsella)は書き間違いでしょうか。
  • 「これがブリジットのブレイクへと接続して[97][69]「男の娘」の最大の源流となったことは既に述べた」。「既に述べた」との表現は、WP:NORWP:OWNを問われかねませんので、「…最大の源流となったことは、#ブリジット(ギルティギア)を参照のこと」と纏めてください。
  • 二次元のキャラクター節での「…といった注意も払われていることには留意されたい」。「留意されたい」は、典型的なWP:NOR表現です。「…と語る」と纏めてしまえば良いんじゃないでしょうか。
  • あと、図表についてですが、Wikipedia:アクセシビリティ#色にて、「色が重要な情報を伝達する唯一の方法にならないようにしてください[6]。」とあります。ですので、折れ線グラフの場合は、数値を表すポイントを、〇だけでなく、△□×などを併用して、見分けられるようにしましょう。棒グラフなら、上部なりに2008S/2009Sを加筆してください。図9ですと、縦・横・十字・斜め線などを駆使して下さると助かります。図10ですと、折れ線グラフと棒グラフの併用ではいかがでしょうか。なお、図表については、Wikipedia:秀逸な記事#秀逸な記事の目安には記載されていない事項ですので、選考での必須条件ではないことを付けくわえておきます。
ここまでと致します。--Falcated会話2022年8月19日 (金) 08:23 (UTC)[返信]
返信 どうもありがとうございます。
  • 1点目
    • 芸名はご指摘のとおりですので、修正しました。
    • 「ゲイ・ブーム」の呼称についてですが、資料(三橋『女装と日本人』)は
      一九五七年、丸山明宏(一九七一年に「美輪」と改姓)が中性的ファッションで歌う「メケメケ」が大ヒットとなり、丸山は「シスターボーイ」と称され、一躍マスコミの寵児となります。この「シスターボーイ・ブーム」に導かれる形で、週刊誌などがゲイバーやゲイボーイを積極的に報道して「ゲイ・ブーム」ともいうべき現象が起こり、東京都内のゲイバーは急増して「ゲイバー世界」が成立しました。 — 191頁
      と書いています。特に定まった言い方はないのかもしれません。今のままにするか、もしくは三橋氏の言い方であることを明確に「「ゲイ・ブーム」(三橋 2008, p. 191)」という書き方でいかがでしょうか。
  • 2点目「約40 - 50%(Kinsella)」の意図はKinsella 2019, pp. 453–454で「in Japan in the first two decades of the twenty first century」「approximately forty to fifty per cent of the younger demographic」と書かれているのですが、Kinsella氏個人によるあまり厳密でない計算のように読めたので、その旨断ったものです。そして(おそらくFalcatedさんが目を通されたあと)現在「約40 - 50%(Kinsella 2019, pp. 453–454)」にしているのですが、現版のその表現か、もしくは「Kinsellaによれば日本では若い人口の約40 - 50%が」などでいかがでしょうか。
  • 3点目「既に述べた」はご提案のとおり修正しました。
  • 4点目「留意されたい」は、「登場年代も判断の材料となっている」にしてみましたがいかがでしょうか。
  • 5点目、図表についてですが、ご提案のように○△□を使うようにしました。グラフは{{Graph:Chart}}で描いているのですが、棒グラフは棒の上にラベルを表示できなかったので現版(凡例に「左・右」)のようにしてみました。ところで「図10ですと、折れ線グラフと棒グラフの併用」ですが、ここは「図9」のことでしょうか?いちおう図9のこととして、色の問題を抜きにすると棒グラフがいいかなと思うのですが、{{Graph:Chart}}が棒グラフと折れ線グラフの同時表示に対応していないので、折れ線単独にしてみました。
--たけとう会話) 2022年8月20日 (土) 11:05 (UTC) --たけとう会話2022年8月20日 (土) 23:17 (UTC)[返信]
賛成 :お返事が遅れ、申し訳ございません。全て解決されましたので、賛成致します。有難うございました。--Falcated会話2022年8月29日 (月) 14:10 (UTC)[返信]
  • コメント サブカルチャー関連ではあまり見たことがない大作でしたが、男の娘ブームの時期と私が漫画、アニメ等に触れていた時期が重なることもあり、楽しく読ませて頂きました。まさかゆびさミルクティーの名前まで出てくるとは……。また最近も話題になったブリジットが一つの項になっていて、影響力の大きさを感じました。
    1点ご質問です。男の娘と関連するジャンルとしてショタ百合との関連は触れられていますが、男の娘の逆ジャンルと言える男装の女性(ジャンル名でいえば「男装の麗人」でしょうか?)についての言及が、文化・歴史的背景の節でジャンヌ・ダルクと白拍子、リボンの騎士が出てくる程度でほとんど無いように思いました。男の娘と男装の女性をジャンルとして比較・研究するような論評は無かったのでしょうか。--totti会話2022年8月31日 (水) 09:32 (UTC)[返信]
返信 記事内容へのコメントをどうもありがとうございます。ブリジットの一件はひやりともしましたが、案外この記事はもちこたえました。さて、ご指摘にある「男装の麗人」というキーワードは私が収集した文献にもたしかに何度か出てきます。
ペアとしての男装・女装に対する各資料の考え方は、おおよそ、
女性の男装
①「「政治的パワーを行使できる能力を身につけ」「社会的パワー」の獲得を意味する」(久米 2013, p. 70)
男性の女装
②「せっかくの所与の「社会的パワー」「ポジション」を捨て、優位の座から劣位の位置への下降を意味する」(久米 2013, p. 71)
であり、女性の男装は理解しやすかったが、③男性の女装は動機が理解しがたかった(久米 2013, p. 71)(三橋・永山はマゾヒズムなどで理解できるとしている)。それがやがて、④「男性の生きづらさ」の増大と「かわいい」文化の発展により、男性の女装は劣位から優位への上昇を意味する行為に変わっていった一方(三橋 2013, pp. 78–79)、⑤幾原邦彦監督がウテナの男装を「なんちゃって男装」と呼んだように、女性の生きづらさは減っていった(久米 2013, pp. 70–71)——というものです。
現版では、②③④に相当することは書いていますが、①⑤に相当することは書いていません。①⑤に関し、#百合のウテナのところに脱線せずに書けそうですが、イメージされているのはこのような説明でしょうか。
なお、まとまった評論としては、例えば佐伯順子『「女装と男装」の文化史』(2009年)などが存在していますが、本項でまとまった説明をするための資料として利用するのは難しいと考えています。「男の娘」と女装は必ずしも一致しないとされているところ、この本はあくまで女装と男装の比較でして、明示的に「男の娘」を扱っておらず、『ユリイカ』から説明を伸ばすのも難しいためです。(#文化・歴史的背景は、主に三橋順子氏が『ユリイカ』および「「男の娘」なるもの」で「男の娘」の歴史として述べたものを「女装」に関する資料で補足しており、それ以外のことは書いていません。)念のため、この佐伯(2009)をもう一度読み直してみたいと思います。--たけとう会話) 2022年9月2日 (金) 08:05 (UTC) 修正 --たけとう会話2022年9月2日 (金) 09:51 (UTC)[返信]
コメント 上記①⑤について、special:diff/91271977としてみました。--たけとう会話2022年9月2日 (金) 10:42 (UTC)[返信]
賛成 たけとうさん、ご回答・ご対応ありがとうございました。
>イメージされているのはこのような説明でしょうか。
そうですね。上でたけとうさんにご説明いただいたような内容がまさに欲しかったです。可能であれば「男の娘は究極のギャップ萌えだ→ではなぜ男装の女性より男の娘の方がよりギャップがあるのか→女性の男装には『社会的パワーの獲得』という意味があり受け入れやすかったが、時代の変遷とともにそれも薄れた。」というまとまった論が出典にあればよかったのですが、女装と男装が比較されている文献はあっても女装≠男の娘なので使いにくい、というたけとうさんのお話も尤もだと思います。ブームが去った後の2016年以降の研究も含め(それこそブリジットのようなLGBTと絡めた論が増えてきそうです)、今後新たな研究が世に出ることを期待しましょう。賛成と致します。--totti会話2022年9月3日 (土) 09:33 (UTC)[返信]
返信 まずは賛成票をどうもありがとうございます。
>というまとまった論が出典にあればよかったのですが
はい、私の集めた資料にはありませんでした。「男の娘は究極のギャップ萌えだ→メカニズムの説明」というのはありましたが、そこから女性の男装と魅力を比較する方向へもっていく人はいなかったかと。
また、佐伯『「女装と男装」の文化史』(佐伯氏の主張はおおむね、洋の東西・作品のジャンルを問わず、男性の女装は弱者を装うことを目指すものであり、女性の男装は社会的な力を獲得することを目指すものである、というものです)を読み返したところ、巻末付近に以下のように書いてありました。
「肉食系女子」「草食系男子」という用語がメディアをにぎわせている昨今、“男=強者、女=弱者”という図式自体が、過去と同じような意味であてはまらなくなっている。むしろ“女=強者、男=弱者”という実感をもつ若者も少なくないので、旧来のステレオタイプが通用していた時代の異性装の物語が、過去のジェンダー状況を伝える歴史的資料ではあり得ても、今後の社会で意味をなさなくなる可能性は大きい。過去とは逆に、男性が強そうに見せるために女装〔……〕することもありえる。いや、すでにそういう時代が到来している気配もあり〔……〕。 — 259頁
というわけで、この本(あるいは同様趣旨の他の論稿)の内容をなんとかして使うというのも、「男の娘」以前と以後で比較の状況が大きく変わっているという点で結局適当でなさそうです。tottiさんもおっしゃるように、私もこの点では新たな研究が出るのを待つしかないと思います。--たけとう会話2022年9月3日 (土) 12:59 (UTC)[返信]

選出条件を満たし1週間経過したので選考通過となります。--Yapparina会話2022年9月10日 (土) 10:43 (UTC)[返信]