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東急9000系電車

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東急9000系電車
東横線・みなとみらい線用9000系9003F
(2005年12月21日 / 東横線多摩川駅
基本情報
製造所 東急車輛製造
主要諸元
編成 8両(東横線・みなとみらい線)
5両(大井町線)
軌間 1,067
電気方式 直流1,500V(架空電車線方式
最高運転速度 110
設計最高速度 120
起動加速度 3.1
減速度(常用) 3.5
減速度(非常) 4.5
編成定員 8両編成 1,124(座席428)人
5両編成 692(座席263)人
車両定員 先頭車130人(座席49)
中間車144(座席56または53)人
車両重量 24.3 - 33.8t
編成重量 235.7t(8両)
全長 20,000
全幅 2,800
全高 4,050
台車 ボルスタレス台車 TS-1004・TS-1005形
主電動機 かご形三相誘導電動機 170kW×4
駆動方式 中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比 85:14=6.07
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御 1C4M制御
制動装置 ATC連動回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
保安装置 東急形ATCATS
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東急9000系電車(とうきゅう9000けいでんしゃ)は、1986年昭和61年)3月9日に営業運転を開始した東京急行電鉄(東急)の通勤形電車である。

概要

9000系は、21世紀を目指し、より良い居住性と乗り心地、運転操作性の向上、省エネルギー化、保守性の改善を基本理念に設計された。

東急では、1983年(昭和58年)から旧6000系の一部にVVVFインバータ制御装置を搭載して試運転を実施し、翌1984年(昭和59年)には1500V区間でVVVFインバータ制御装置を搭載した車両では日本初の営業運転での実用試験を行った。また、この時に東急車輛製造製の試作ボルスタレス台車を装架して試験を実施した。本系列は、この結果を踏まえて設計・製造された。

量産先行車にあたる9001Fは1985年度(昭和60年度)にあたる1986年(昭和61年)2月から3月にかけて落成した。量産は1年度置いた1987年度(昭和62年度)より開始され、1990年度(平成2年度)にあたる1991年(平成3年)3月に落成する9015Fまで15編成、計117両が東急車輛製造で製造された。

東横線・みなとみらい線用はMT比が4M4Tの8両編成、大井町線用は3M2Tの5両編成である。

本系列は東横線へ投入させたため、同路線で運用していた8500系田園都市線・旧新玉川線へ転属させて同路線の増発用に充当した。また、後に8090系の一部編成を組み換えて新製制御電動車(8590系〈デハ8590形・8690形〉)に組み込む中間車30両を残して大井町線へ5両化の上で転配させるとともに同線で運用されていた初代7000系7200系目蒲線および池上線に転配させ、両線で運用されていた初代3000系初代5000系を置き換えるという大規模な車両の転配が行われた。

概説

外観

本系列は軽量ステンレス鋼製の20m級4扉車体で、将来の営団(現・東京メトロ)南北線都営三田線への乗り入れに使用することを視野に入れていたため(後述)、地下線乗り入れを考慮した前面貫通構造である。車体は外観はすべてダルフィニッシュと呼ばれる艶消し仕上げのステンレス材を使用している。正面・側面には東急のコーポレートカラーである赤帯をスコッチカルテープにより巻く。

前面は従来車と同様の切り妻スタイルであるが、非常用貫通扉を助士席側にオフセットさせ、運転士側のスペースと視野の拡大を図っている。当初より車内に非常脱出用のはしごが設けられている。これは大井町線用の9007Fを除き2004年(平成16年)2月1日みなとみらい線開業を前に大型のものへ交換された。前面のステップは大型化され、非常用はしごはここに引っ掛けて使用する。前照灯は角形であり、本形式より尾灯はLED化された。

行先表示器は字幕式であるが、大井町線で運用されている一部編成はLED式である。前面は左から種別表示・行先表示・運行表示である。また、急行標識灯が設置されており、急行特急列車での運用時には点灯していたが、2002年(平成14年)4月から使用が停止された。側面は種別・行先表示一体形の表示器である。オリジナルは「各停表示なし・ローマ字表記なし」であるが、3次車の9008Fからは前面行先表示のみローマ字入り[1]とされ、その後に初期車でもローマ字入りへの交換を行った[2]東横線みなとみらい線用は横浜 - 桜木町間の廃止とみなとみらい線開業時[3]に前面・側面の種別と行先表示をオリジナルと大きく異なる方向幕[4]に交換された。その後大井町線用の9007Fも2008年(平成20年)7月下旬に前面種別表示幕と側面方向幕が交換され、8090系などと同様に同線での種別表示に対応した[5]

9001Fは試作車の意味合いもあり、車側灯の周りが出っ張っていることなど、細部に違いが見られる。9008F以降は幕板と腰板をプレス構造に変更したため、側面の見付けが初期車と多少異なる。

東横線・みなとみらい線用の編成と、一時期に大井町線に転属していた9001Fは前面に補助排障器(スカート)を装着する。同路線用の9007Fはスカートが装着されていないが、パンタグラフをシングルアーム式に変更している。当初、東横線・みなとみらい線所属の本系列におけるスカート設置は限られた編成のみ施工される予定であり、公式ホームページ上にもそのように掲載されていたが、結局同路線に所属する全編成に対して施工された。2001年(平成13年)頃には全編成に転落防止幌が設置された。

大井町線用の9007F
(2008年3月28日 / 等々力 - 尾山台)
(赤帯時代の9007Fの写真はこちらを参照

2007年(平成19年)2月 - 7月に全編成[6]に車外スピーカーを設置した[7]。なお、落成当初からスピーカー設置準備工事がなされていたが、後付けのため、乗降促進放送を流すことはできない。2008年1月に車外スピーカーの付いていない8000系が東横線から退役し、本系列へのスピーカー設置により、東横線内を走行する車両は車外スピーカー設置率が100パーセントとなり、以後同線ではこのスピーカーを利用した車掌による乗降促進放送などを頻繁に行うようになっている。

冷房装置分散式で、当初は能力10,000kcal/hのもの(東芝製)を各車4台搭載していた。キセはFRP製である。

なお、2001年夏頃に9002Fと9012Fの2・4号車において試験的に大容量(12,500kcal/hを1両4台)のものに交換した。キセはステンレス製である。比較の意味もあり、前者は三菱電機製、後者は東芝製のものをそれぞれ搭載した。その後、この結果を踏まえて2004年より東芝製の大容量タイプへの交換が実施されたが、電源である静止形インバータ (SIV) の給電能力の関係から1編成32台ある冷房装置のうち14台のみとなっている。

2008年現在では9007F・9008F・9010F・9013F以外の編成に施工されている。9002Fの1 - 4号車は同年現在も試験時の装置が搭載されており、うち9302号車は一時的に3種類すべての冷房装置が設置されていた。このタイプへの交換は8500系の第37・42編成にも実施されている。

内装

内装は8090系と同様の「ソリッドパターン」と呼ばれる模様の入ったベージュ色の化粧板を使用し、床材はキーストンプレートの塗り床(茶色)である。座席配置はドア間が7人掛け座席、車端部は3人掛け座席と東急の鉄道線[8]で運行する自社保有車両では珍しく、千鳥配置でクロスシートを設置している[9]

ロングシート部は、乗客1人分の幅を440mmに拡大して7人掛けの座席を3人掛けをオレンジ色・4人掛けを茶色に色分けするとともに、座席端に袖仕切りを設け、座席の中間に新たに仕切りを設置して着席定員を守りやすくしている。優先席(旧・シルバーシート)は時期によって異なったがその後は青色とものとした。当初のつり革は丸形であり、新たに枕木方向にも増設した。また、優先席部は後年オレンジ色で三角形のものと交換された。

2000年 - 2002年にかけて交通バリアフリー法に対応し、東横線・みなとみらい線用は2号車と7号車、大井町線用は4号車の車端部の3人掛け座席を撤去の上、車椅子スペースを新設した。この際に壁面埋め込み式ヒーターの新設と消火器を収納キセに収めるようにした。

側窓はサッシュレス構造を採用し、厚さ5mmの強化ガラスを使用し、遮光カーテン付としている。また、固定式の妻面窓がある。貫通路は800mmとし、各車両の渋谷側には貫通扉を設けた。

天井は平天井構造で、冷房装置の吹き出し・リターン口1台と補助送風機2台が交互に配置されている。9001Fの補助送風機は東芝製のスイープファンが採用されたが、9002F以降は三菱電機製のラインデリアとされた。これは先頭車に7台、中間車に8台設置している。

メンテナンスがほぼ不要なかご形三相誘導電動機を採用したことや、電動機の結線をワンタッチコネクタ化したことから、床面の主電動機点検蓋は省略された。東急では初代7000系以来である。

乗務員室

9000系の運転台

乗務員室は乗務員の運転操作性向上を主眼に設計され、線路方向に1375mm確保された。室内はアイボリーの配色、運転台は茶色の配色であり、8500系に準じているが、貫通扉が車掌台側に寄ったため配置に余裕がある。計器盤には左から圧力計・ブレーキ指示計、故障表示灯、速度計(中央)・保安表示灯・種別表示の順に並んでいる。表示灯はすべてLED化された。主幹制御器デッドマン装置付のT字形ワンハンドル式である。[10]

また、クハ9100形のみ前面ガラスの日除けには遮光パネルに代わって初めてロールカーテンを採用した。後の量産車からは両先頭車に設置されたほか、その後の形式車や在来車にも採用された。後に貫通扉部にも設置された。

運転台上部には故障時のガイダンス処置を表示するモニタディスプレイが設置された。また、本系列より制御装置故障時に運転台から遠隔操作により開放する「制御開放スイッチ」を搭載した。

車掌用のマイクは乗務員室扉周りに各1個(両側で2個)、運転台の右に1台(これは送受話器形で、乗務員室間連絡用と車内放送用)の計3個が設置されている。

東急では初めてウインドウオッシャ付きの電動式ワイパーを採用した。また、警笛は空気笛に加えて電子ホーン(電気笛)を採用した。

運転室と客室の仕切り部は前面窓と同じ配置で、仕切り窓が3枚並んでおり、このうち左側2枚の窓には遮光幕が設置されているが、右端の窓にはない。なお、遮光幕はロールカーテン式ではなくアルミ製の下降式遮光板であり、窓下から引き上げて使用する。

また、後年に全編成の車掌スイッチを機械式から5050系横浜高速鉄道Y500系タイプと同様である間接制御式(リレー式)に交換した。

車内案内機器など

9007F以外の全車両にはドア上部にLED車内案内表示器を右側-左側と左右交互の片側に配置し、ドアチャイムを各ドアの上部にそれぞれ後付けで設置している。案内表示器は3000系などと同じく2段式である。このうち、先行して設置された9014F・9015Fでは案内表示器・ドアチャイム用スピーカーのカバーの色がベージュであったが、その後設置された編成ではアイボリーになっている。

なお、9001Fでは先頭車両のクハ9001・9101の車端部(貫通扉上部)に日本の鉄道車両としては初となるLED式案内表示器が搭載された。赤とオレンジの2色表示で「次は○○(駅名)」と表示され、ドットはクハ9001が四角、クハ9101が丸形であったが、ともに2000年8月6日ダイヤ改正で多摩川園駅が多摩川駅に改称され、さらに同駅に急行が停車することになったため対応できなくなり、装置の使用を中止した。その後、この車端部LED表示器は冷房装置などの機器を更新する際に撤去し、他の車両と同様に広告掲示スペースとされた。

また、東急の車両で初の音声合成式自動放送装置を搭載し、以後東急の車両における標準装備品となった。2003年に自動放送の放送内容と声の主が変更され、同時に英語放送も追加された[11]

制御装置など

東急で初めて量産車としてVVVFインバータ制御とかご形三相誘導電動機を採用した。日本国内における直流1,500V用車両では前述の初代6000系および近畿日本鉄道1250系(現・1420系)3200系新京成電鉄8800形に続く5例目となる。

GTOサイリスタ素子による日立製作所製制御装置(1次車:VF-HR-107形・2次車以降は改良形:VF-HR-112形)を各電動車に搭載し、1台の制御器で4台の電動機を制御する(1C4M方式)。またVVVFインバータ制御の特性を活用して定速運転機能を付加した。GTOサイリスタ素子の冷却にはフロン沸騰冷却方式が用いられている。

制動装置は回生ブレーキ付きの電気指令式ブレーキである。回生ブレーキの動作範囲は停止直前 (5km/h) までと広い。そのため、起動時のみならず減速時も非同期領域の磁励音を主電動機および制御装置から発する。また、遅れ込め制御を併用する。

冷房装置などサービス機器の電源である静止形インバータは、東芝製の容量120kVA、出力電圧440V、GTO素子を使用している。空気圧縮機 (CP) は交流起動のレシプロ式・低騒音形のHS-20-1形を採用した。

台車は軽量ボルスタレス台車(TS-1004形〈電動車〉・TS-1005形〈付随車〉)を採用した。軸箱支持は8000系と同じペデスタル式としたほか、仕様の見直しなどにより同系列より1台車当たり400kgの軽量化を図った。

基礎ブレーキは電動車が片押し式踏面ブレーキ、付随車がディスクブレーキとしている。なお、1990年度に落成した最終編成の9015Fでは1991年6月までに翌1992年度落成の2000系用の試作台車TS-1009形を採用したが、試験終了後は本系列用の台車に交換した。

集電装置はクーラーキセの大型化により小型化され、さらに折り畳み高さを低く設計したPT44-S-D-M形とした。これは折り畳み時に上枠が下枠に収まるようにして小型化したものである。当初より剛体架線に対応した集電舟が使用されている。

室内更新工事

本系列は、9004Fを除く全編成に対して室内更新工事を行った。工事の内容は以下の通りである。

  • 座席をピンク系の表地に統一して仕切りを廃止し、その代わりとして9001 - 9003・9005 - 9013Fについては更新時に、9014・9015Fは更新完了後にそれぞれ手すりを新設した(写真2)。
  • 東横線・みなとみらい線用の9003・9005・9006・9011 - 9013Fと大井町線用の9007Fではさらに化粧板を木目調に、つり革を三角形のもの[12]に、号車・車両銘板をシールのもの[13]にそれぞれ変更された(写真3)。つり革は大井町線用の9007Fが五角形タイプで、3000系東急バスの1300番台 - 1800番台車と同じ形状なのに対し、他の編成は三角形に近いが底辺の中心がへこんでいるタイプで[14]、他に類のない形状となっている。
  • 東横線・みなとみらい線用の9012・9013Fについては、この室内更新に加えて先頭車の前面に補助排障器(スカート)を設置する予定だったが、計画の変更で当時同路線に所属していた全編成[15]に取り付けられた。

詳細

東横線用9000系のATC-P装置

編成・運用

東横線・大井町線へ導入

1986年から1991年にかけて、東横線用の8両編成が14編成(9001Fから9006F、および9008Fから9015F)、大井町線用の5両編成が1編成 (9007F) 導入された。東横線の車両は元住吉検車区、大井町線の車両は長津田検車区が管理している。

導入当時の東横線では急行と各駅停車の列車運用が分離されていたが、9000系は急行・各駅停車の双方に運用された。また、大井町線では各駅停車のみの運転であるほか、早朝・深夜には鷺沼車庫への出入庫を兼ねた田園都市線直通電車への充当もある。

大井町線への導入に先立っては、乗務員の習熟訓練を目的として1986年11月の1か月弱ほど中間3両を抜き取られた9001Fが大井町線で一時運用された。

その後、1989年8月から1991年3月にかけては、大井町線車両のCS-ATC搭載工事にともなう編成数の確保を目的として、9001Fが前回同様に大井町線で一時運用された。この2度目の9001Fの大井町線での運用は約1年7か月と長期に渡ったことから1990年10月から1991年2月まで9001Fから抜き取って留置されていた中間車3両を9008Fの中間車3両と交換して走行距離を調整した。

1996年、車輪のきしり音対策の試験のため、大井町線用の9007Fが数日間3両化されてこどもの国線で運用された。

東横線特急列車への充当・みなとみらい線への直通

2001年3月28日には、東横線で特急運転が開始された。この際、列車種別による列車運用の分離は廃止となり、9000系についても特急から各駅停車まですべての運用に使用された。

2004年2月1日から、みなとみらい線が開業し、東横線との相互直通運転が開始された。東横線の列車がほぼ全てみなとみらい線まで直通する形態をとり、9000系もみなとみらい線元町・中華街まで運用範囲を広げた。

みなとみらい線開業にあたり、事前に地下化される区間を含めてみなとみらい線内での試運転が実施され、9008Fが2003年10月に一度運用を離脱し、横浜高速鉄道Y500系Y516Fとともに使用された。搬入は、同年11月に東白楽駅反町寄りの仮設地下搬入線路から行われ、搬入線路へは長津田車両工場からトレーラーで陸送された。

大井町線用の車両のイメージチェンジ

2004年12月に、大井町線用9007Fの集電装置は菱形から雪が付着しにくいシングルアーム式パンタグラフに交換された。大井町線は線内に検車区が無く、パンタグラフに付着した雪を落とすことが難しいためである。ほかの大井町線用車両についても同様に交換された。

2006年3月18日から、土休日に数往復、大井町線から田園都市線中央林間駅までの直通電車(大井町線内各駅停車・田園都市線内急行運転)が設定されたが、9000系は使用実績が無い。このため、田園都市線との誤乗防止目的で施された車体前面グラデーションカラー化と「大井町線」と書かれたステッカー貼付は、急行運転開始まで貼付されていなかった[17]。さらに、2008年3月28日からは大井町線で急行運転が開始されたが、これについても6両編成の新型車両6000系が導入されたため9000系はその後も専ら各駅停車の運用に就いている。

大井町線急行運転開始前に大井町線の保安装置がATCに変更されることから、大井町線所属車両のATC改修工事に従う車両不足を補う必要が生じた。このため、9001Fが2007年8月25日に5両編成に組成した上で大井町線に転用し、同年8月27日から2008年3月27日までの7か月間大井町線で営業運転に就いた。この際、3両(サハ9801-デハ9301-サハ9701)は休車とされた。その後再び8両編成に戻され、2008年5月20日に東横線に復帰した。

なお、行先表示器の字幕は9007Fと同様の「各停表示なし・前面の英字が大文字小文字の組合わせ・側面は日本語表記のみ」のタイプで、東横線・みなとみらい線所属編成がみなとみらい線対応幕に交換する前に使用していたものを流用していた。また、9001Fのパンタグラフはシングルアーム式への交換は行われていない。

大井町線への転配

かつて何らかの理由により、一時的な東横線から他路線への転配はしばしば行われていたが、東横線における5000系列増備に伴い、2009年度から東横線から大井町線への本格的な転配が行われている。いずれの場合も東横線から長津田車両工場へ回送され、同工場において8両から5両(余剰となった3両は休車または廃車)に減車した上で、前面デザインのグラデーション化及び車体側面に「大井町線」と書かれたステッカーを貼付し、試運転の後に営業運転に入る。

  • 2009年
    • 5月18日:9002Fが長津田車両工場に回送され、7月8日に試運転を実施し翌9日から営業運転に入った[18]
    • 5月22日:9009Fが長津田車両工場に回送され、9月1日に出場し同月4日に営業運転を開始した。当該編成は種別・行先表示器をフルカラーLED式に交換、パンタグラフもシングルアーム式にそれぞれ交換されている[19][20]。運行番号表示器は幕式のままであったが、2010年度に入ってLED式に変更されている。
      • なお、この転配に際し余剰となった中間車6両は2009年6月15日に9000系初の廃車となった[21]
  • 2010年
    • 6月、9003F[22]と9004Fがシングルアームパンタグラフに交換され大井町線に転配した。また、9006Fが前面に最後まで残されていたTOQ-BOXの装飾を撤去し、8月に運行番号表示器のみLED式に交換し大井町線に転配した[23]

編成表

2010年4月1日時点。

東横線・みなとみらい線用(元住吉検車区)

 
渋谷
入籍 製造
次車
更新 つり革 装飾
号車 1 2 3 4 5 6 7 8
形式・車種 クハ9000
(Tc2)
デハ9200
(M1)
サハ9700
(T2)
デハ9300
(M2)
サハ9800
(T1)
デハ9400
(M3)
デハ9600
(M0)
クハ9100
(Tc1)
搭載機器 CP CONT,SIV   CONT,SIV CP CONT,SIV CONT CP
車号 9001 9201 9701 9301 9801 9401 9601 9101 1986年3月8日 1  
9003 9203 9703 9303 9803 9403 9603 9103 1987年12月20日 2  
9004 9204 9704 9304 9804 9404 9604 9104 1988年1月24日 ×  
9005 9205 9705 9305 9805 9405 9605 9105 1988年2月20日  
9006 9206 9706 9306 9806 9406 9606 9106 1988年3月2日 TOQ-BOX
9008 9208 9708 9308 9808 9408 9608 9108 1988年8月27日 3  
9010 9210 9710 9310 9810 9410 9610 9110 1988年10月19日  
9011 9211 9711 9311 9811 9411 9611 9111 1988年10月25日  
9012 9212 9712 9312 9812 9412 9612 9112 1988年11月22日  
9013 9213 9713 9313 9813 9413 9613 9113 1989年3月31日 シャボン玉
9014 9214 9714 9314 9814 9414 9614 9114 1989年9月30日 4  
9015 9215 9715 9315 9815 9415 9615 9115 1991年3月26日 5  

大井町線用(長津田検車区)

 
← 大井町
溝の口・鷺沼・長津田・中央林間
入籍 製造
次車
更新 つり革 フルカラー
LED幕
シングル
アーム式
パンタ
グラフ
備考
号車 1 2 3 4 5
形式・車種 クハ9000
(Tc2)
デハ9200
(M)
デハ9400
(M)
デハ9600
(M0)
クハ9100
(Tc1)
搭載機器 CP CONT,SIV CONT,SIV CONT CP
車号 9002 9202 9402 9602 9102 1987年11月25日 2 × × 製造当初は東横線で運用、後に大井町線へ転属 前面帯
グラデーション
タイプ
9007 9207 9407 9607 9107 1988年3月9日 製造当初より大井町線で運用
9009 9209 9409 9609 9109 1988年9月2日 3 製造当初は東横線で運用、後に大井町線へ転属
凡例

特記事項

本系列は、新機軸を採用した車両だけに、新製投入直後は初期故障を中心としたトラブルも多かった。空転の多発や台車の空気バネの圧力調整不具合から1986年3月13日朝に9001Fが横浜駅付近(地上線時代)のカーブ区間の勾配(カント)に馴染まず脱線事故を起こすなどしているが、これらも徐々に克服していった。

また、当時「都心線」と呼ばれていた目黒線から帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄南北線及び都営地下鉄三田線との相互直通運転への対応も想定して設計していた。しかし、実際には急勾配の多い南北線では出力不足であったといわれ、それに加えて当初計画のホームセンサー方式(池上線と東急多摩川線で採用)からホームドア方式への計画変更によりモニタ装置を装備させる必要が生じたこと[24]、これによる乗務員の安全確認上の問題やコスト面から地下鉄乗り入れ開始に際しては新系列となる3000系を設計・製造した。その名残りとして目黒線に乗り入れている東京都交通局6300形電車および東京地下鉄9000系電車の初期車には本系列と同様に一部座席にクロスシートを設置するなどの共通点が見受けられ、本系列には車外スピーカーの準備工事(その後設置済み)がなされていた。また、方向幕には[田園調布]や[目黒]の表示も用意していたが、後のみなとみらい線開業に向けた字幕交換の際に消滅した。さらに運転台のマスコンキーやATC/ATS切り替えスイッチが営団対応のものになっているほか、サハ9700形の妻面には誘導無線アンテナの取り付け準備工事もなされている。

車体装飾

TOQ-BOX号
(2004年11月3日 / 多摩川駅)
シャボン玉装飾
(2005年7月2日 / 自由が丘駅 - 田園調布駅
東横線・みなとみらい線用9013F
プリキュアトレイン
(2005年12月25日 / 代官山駅
  • 9006Fと9013FはかつてTOQ-BOXと呼ばれ、中吊り広告を1社(商品・サービス)のものに統一していた。前者は楽器音符、後者はシャボン玉をそれぞれモチーフにした装飾を両端先頭車の前面及び側面にそれぞれ施し、1990年代後半にデザインが変更となった。その後、ステッカーの老朽化を理由に9006Fは2008年12月、9013Fは2009年1月に側面の装飾が撤去された。
    • 前面についてはしばらく存続していたが、9006Fは大井町線転属直前となる2010年8月に撤去され、9013Fについても2010年11月11日に前面装飾を撤去された。
  • 9013Fは、2005年(平成17年)度の夏期と冬期に開催したスタンプラリーキャンペーン編成となり、夏期は「きかんしゃトーマス」を、冬期は「ふたりはプリキュア Max Heart」をそれぞれラッピングした。また、2006年(平成18年)7月15日から8月31日までは9015Fがスタンプラリーのキャンペーン編成となり、「ウルトラマントレイン」として運用されていた。
  • 2004年1月30日東横線高島町駅桜木町駅廃止の日には、上りの最終列車(桜木町発各停元住吉行)に9013Fが、下りの最終列車(渋谷発各停桜木町行、後に回送)に9001Fをそれぞれ充当した。このうち前者には惜別のヘッドマークステッカー「永年のご利用ありがとうございました 桜木町駅・高島町駅」を前後の貫通扉に貼付し、さながら路面電車の「花電車」的演出がなされた。また、桜木町駅のホーム撤去後、2007年10月に駅舎跡地に9001Fを冠したイベントスペース「創造空間9001」が開設されたが、2010年3月に閉鎖された。
  • 2005年11月前後から、東横線・みなとみらい線に配属した編成の8号車(クハ9100形)にTBSテレビドラマの広告を掲載するようになった。この8号車は2006年7月14日まで特急・通勤特急・急行に限り女性専用車両に指定されていた。ただし、前述の9006Fと9013Fでは当該広告を掲載していない。
  • 9005Fは、2006年5月7日臨時列車「ハッピーアイスクリーム号」に運用した。なお、同年4月26日から5月6日にかけても東横線・みなとみらい線内の定期運用に使用した。2007年の同時期にも9011Fが「ハッピーアイスクリーム号」の定期運用(臨時列車としての運用は同年5月13日)に使用している。
  • 2006年10月には、自由が丘駅開業77周年を記念して、9002Fが同年10月3日から10月26日まで、9007Fは同年10月2日から10月25日まで特製ステッカーを車体に貼付していた。
  • みなとみらい線沿線にあった特設劇場で開催されていたマッスルミュージカル本公演の前後には、ラッピングを施した編成を運行していた。ただし、ラッピング施工編成は開催時期により異なっていた。
  • 2007年には、2009年(平成21年)の横浜港開港150周年を記念して、9009Fに国際信号旗などのステッカーが貼付された。
  • 2008年12月頃から、開国博Y150の開催を記念して、9010Fに「たねまる」のステッカーが貼付されている。この編成を使用して、2009年9月21日から同月23日まで臨時急行列車「Y150たねまる号」が運転された。
  • 2007年8月7日頃からは大井町線大岡山 - 大井町間開業80周年を記念して、9007Fの前面に特製のステッカーが貼付された。2008年3月28日の大井町線急行運転開始を前に、この記念ステッカーを貼付したまま同線所属の各停用車両と同様のグラデーションカラーに変更されるとともに側面のみ大井町線を表す誤乗防止のためのステッカーが貼付された。その後、記念ステッカーは同年8月中旬に撤去され、その跡に大井町線を表す誤乗防止用のステッカーが貼付された。

脚注

  1. ^ 大文字と小文字によるもの。例:「渋谷」は「Shibuya」と表記
  2. ^ 9102号など交換されないままの車両も存在していた。
  3. ^ 2003年(平成15年)12月中旬より9014Fを最初に実施
  4. ^ 各停表示に対応、種別・行先表示に大文字による英字併記タイプ。例:「渋谷」は「SHIBUYA」と表記
  5. ^ 後の溝の口延伸時に前面行先表示幕も交換されている。
  6. ^ 大井町線用の9001F(当時)と9007Fを含む
  7. ^ 「東急九品仏会館」サイトを参照。
  8. ^ 軌道線世田谷線を除く。
  9. ^ 写真4参照、他に車端部にクロスシートを設置している車両には新7000系がある。
  10. ^ マスコンは力行1 - 4ノッチ・切(惰行)・常用ブレーキ1 - 7段・非常・抜取
  11. ^ 2010年11月現在、東横線・みなとみらい線内においては英語放送が省略されている
  12. ^ 優先席付近のオレンジ色のつり革への変更とは無関係である。
  13. ^ レイアウトと書体は5000系タイプ。最初に更新した9003Fは銘板が存置されている。
  14. ^ 台形をベースとしたエルゴノミックデザインである。
  15. ^ 未更新の9004Fも含む。
  16. ^ ただし、東横線と同じATC-Pが搭載されたのは2007年12月である。
  17. ^ 急行運転開始までに大井町線に所属する全車両がグラデーションカラー化とステッカー貼付が施された
  18. ^ 東急9000系9002編成が試運転を実施」 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、2009年7月9日
  19. ^ 東急9000系9009編成、5連で試運転」 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、2009年9月4日
  20. ^ 東急9000系9009編成が営業運転を開始」 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、2009年9月7日
  21. ^ 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2009年10月号による。
  22. ^ 東急9000系9003Fが大井町線へ転属」 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、2010年6月18日
  23. ^ 東急9000系9006編成が大井町線仕様に」 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、2010年8月24日
  24. ^ 東京都6000形も9000系と同様に乗り入れで使用する計画であったが、同様の理由により計画を変更し9000系ともども乗り入れ運用の対象外とした(同形式は廃車)。

参考文献

  • 山口雄二 「東京急行電鉄9000系」『鉄道ピクトリアル』1986年5月号(通巻463号)、鉄道図書刊行会。
  • 小澤保治 「東京急行電鉄9000系の概要」『電気車の科学』1986年4月号(通巻456号)、電気車研究会。
  • 荻原俊夫 「9000系デビュー」『鉄道ファン』1986年5月号(通巻301号)、交友社。

関連項目


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