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β-クリプトキサンチン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
β-クリプトキサンチン[1]
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識別情報
CAS登録番号 472-70-8 チェック
PubChem 5281235
ChemSpider 4444647 チェック
E番号 E161c (着色料)
KEGG C08591
特性
化学式 C40H56O
モル質量 552.85 g/mol
外観 金属光沢のある赤色固体結晶[2]
融点

169 °C

への溶解度 0.000503 mg/mL[2]
関連する物質
関連物質 α-クリプトキサンチン (C15981)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

β-クリプトキサンチン(β-cryptoxanthin)は、天然に存在するカロテノイド色素の一つ。

存在

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タンジェリン、オレンジに多く含まれる[3]ホオズキオレンジの皮、パパイヤ卵黄バターリンゴウシの血清など多様なところから単離される[1]

化学的性質

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分子構造β-カロテンに似ており、その片方の環にヒドロキシ基が一つ置換している。炭素水素以外の元素を含むためカロテノイドのうち、キサントフィルに属する。

純粋なクリプトキサンチンは金属光沢を有する赤色の結晶である。クロロホルムベンゼンピリジン二硫化炭素に易溶[1]

生物学的機能

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ヒトでは、β-クリプトキサンチンはビタミンAレチノール)に変換されるためプロビタミンAと見なされている。他のカロテノイドと同様に、β-クリプトキサンチンは抗酸化物質としてフリーラジカルによる酸化的損傷から細胞およびDNAを保護していると考えられている[4]

関連研究

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以下の領域などで研究がなされている。

  • 肝機能[5]
  • 動脈硬化
  • 糖尿病[6]
  • 骨粗しょう症や骨代謝[7]
  • [8]
  • 抗酸化能

肺癌リスクでは、β-クリプトキサンチンのみがリスクを低下させると報告されており、その他のカロテノイド類は逆に肺がんリスクを高めると報告されている。[9]

糖尿病リスクについても同様[6]

栄養

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β-クリプトキサンチンの含有量
(食品成分データベース, 2017年[10])
名称 含有量
(μg/100g)
パプリカ(粉) 2100
温州みかん(普通、生) 1600-1700
温州みかん(濃縮還元ジュース) 1100
ぽんかん(生) 1000
あまのり(焼き海苔) 980
パパイア(生) 820
(甘柿、生) 500
いよかん(生) 270
とうもろこし(ポップコーン) 170
オレンジ(バレンシア、米国産) 130
なつみかん(生) 130
カボチャ(茹で) 90
とうもろこし(コーンフレーク) 80


β-クリプトキサンチンの含有量
(USDA, 2017年[11])
名称 含有量
(μg/100g)
パプリカ(スパイス) 6186
(日本種、生) 1447
カボチャ(茹で) 1119
パパイヤ(生) 589
マンダリンオレンジ(生) 407
コリアンダー(葉、生) 202
ニンジン(下茹で済、冷凍) 199
オレンジ(生) 116
とうもろこし(黄色種、生) 115

参考文献

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出典

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  1. ^ a b c Merck Index, 11th Edition, 2612.
  2. ^ a b beta-Cryptoxanthin (HMDB0033844)” (html). Human Metabolome Database (HMDB). 2017年9月9日閲覧。
  3. ^ “Beta-cryptoxanthin as a source of vitamin A.”. Journal of the Science of Food and Agriculture 95 (9). (2015). doi:10.1002/jsfa.6942. PMID 25270992. 
  4. ^ Lorenzo, Y.; Azqueta, A.; Luna, L.; Bonilla, F.; Dominguez, G.; Collins, A. R. (2008). “The carotenoid -cryptoxanthin stimulates the repair of DNA oxidation damage in addition to acting as an antioxidant in human cells”. Carcinogenesis 30: 308. doi:10.1093/carcin/bgn270. 
  5. ^ 大島誠、杉浦実、上田佳代、“β-クリプトキサンチン高含有ウンシュウミカン果汁の摂取が肝機能および脂質代謝に及ぼす影響”. 日本食品科学工学会誌 57 (3). (2010). doi:10.3136/nskkk.57.114. https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282681384178304. 
  6. ^ a b “Dietary antioxidant intake and risk of type 2 diabetes.”. Diabetes Care (American Diabetes Association) 27 (2). (2004). doi:10.2337/diacare.27.2.362. PMID 14747214. 
  7. ^ 津島己幸、真岡孝至、勝山政明 ほか、“Role of carotenoid β-cryptoxanthin in bone homeostasis”. Journal of biomedical science. (2012). doi:10.1186/1423-0127-19-36. PMID 22471523. 
  8. ^ “Inhibitory Effect of Natural Carotenoids on Epstein-Barr Virus Activation Activity of a Tumor Promoter in Raji Cells. A Screening Study for Anti-tumor Promoters”. Biological and Pharmaceutical Bulletin 18 (2). (1995). doi:10.1248/bpb.18.227. https://doi.org/10.1248/bpb.18.227. 
  9. ^ “β-クリプトキサンチンと生活習慣病リスクとの関連:疫学研究からの知見”. オレオサイエンス 12 (10): p.37. (2012). doi:10.5650/oleoscience.12.515. 
  10. ^ β-クリプトキサンチン含有量ランキング”. 食品成分データベース. 文部科学省. 2017年9月9日閲覧。
  11. ^ Nutrients: Cryptoxanthin, beta(µg) Ordered by: Nutrient Content”. USDA. 2017年9月9日閲覧。

関連項目

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