「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟
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「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(なりわいをかえせ、ちいきをかえせ ふくしまげんぱつそしょう)とは、2011年に起きた福島第一原子力発電所事故の被災者が国と東京電力を相手に起こした集団訴訟[1]。原告数は提訴時で3864人であり、福島第一原子力発電所事故で国と東京電力を相手取った集団訴訟としては最大規模の訴訟となる[1]。通称「生業訴訟」(なりわいそしょう)[1][2]。
2013年3月に福島県相馬市でスーパーを経営する中島孝を原告団長として提訴された[3]。
2017年10月10日に福島地方裁判所(金沢秀樹裁判長)で下された判決は、国と東京電力の責任を認め、賠償金の上積みを認め、原告約2900人に総額約5億円の賠償を支払いを命じた[3][4]。また、賠償対象範囲を茨城県の一部地域に拡大を認めたが[3][4]、居住地の放射線量を事故前の水準に戻す原状回復請求については却下している[4]。同年10月24日、原告、被告共に判決を不服として控訴し、2018年10月1日から仙台高等裁判所(市村弘裁判長)で審理が開始された[4][5]。
仙台高等裁判所は2020年9月、国と東電の賠償責任を認め、国と東電に約10億1000万円の支払いを命じた[6]。原告の双方(国と東京電力)は上告したが、最高裁判所は2022年3月2日付で東京電力の上告を退け、賠償額は確定した[6]。
2022年6月17日、最高裁判所第二小法廷は国の賠償責任を認めない判決を下した[7]。裁判長は菅野博之、判事は草野耕一、岡村和美、三浦守[7][8]。三浦のみ判決反対であり、判決文の全54ページ中30ページに反対意見を述べている[8]。
関連項目
[編集]- 日本国憲法第13条 - 本訴訟のよりどころとされる[3]。
- クローズアップ現代+ - NHKの報道番組。2017年10月3日放送の「全国最大の“原発訴訟”責任は誰に?」で本訴訟を採り上げた[9]。
- 今日もいい天気 - 山本おさむの漫画作品。「原発訴訟編」は本訴訟(福島地裁)の傍聴記となっている。
- 前橋地裁・福島第一原発事故損害賠償請求事件 - 2017年10月10日の福島地裁に先立つ2017年3月17日に国と東京電力の責任を認める判決を出した。
出典
[編集]- ^ a b c “生業訴訟って?”. 毎日新聞地方版. (2017年7月26日) 2018年4月18日閲覧。
- ^ “原発事故「生業訴訟」裁判所が初の現地検証”. 日テレNEWS24 (2016年2月4日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ a b c d 佐藤圭 (2018年3月5日). “<憲法を見つめて 福島の権利>(下)個人の尊重、奪うな 「生業を返せ」。声を上げ主権者になる”. 東京新聞朝刊 2018年4月18日閲覧。
- ^ a b c d “国と東電が控訴 原発事故生業訴訟、福島地裁判決受け”. 福島民報. (2017年10月24日) 2018年4月18日閲覧。
- ^ “福島原発集団訴訟、控訴審始まる=一審は国側敗訴-仙台高裁”. 時事通信. (2018年10月1日) 2018年12月5日閲覧。
- ^ a b “国の責任が最大の焦点 「生業を返せ、地域を返せ福島原発訴訟」 最高裁で結審”. 全国商工団体連合会. (2022年5月16日) 2022年9月3日閲覧。
- ^ a b 赤坂真理 (2022年8月12日). “生業訴訟「最高裁判決」のまやかし部分を徹底解剖する”. 集英社新書プラス. p. 1. 2022年9月3日閲覧。
- ^ a b 赤坂真理 (2022年8月12日). “生業訴訟「最高裁判決」のまやかし部分を徹底解剖する”. 集英社新書プラス. p. 4. 2022年9月3日閲覧。
- ^ 林智裕 (2018年3月11日). “「福島は危険だ」というフェイクが、7年経っても県民を傷つけている 「デマ」を信じている国民がまだ半数”. 現代ビジネス. 2018年4月18日閲覧。