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遠鉄百貨店

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
えんてつホールから転送)
株式会社遠鉄百貨店
Entetsu Department Store Co., Ltd.
ロゴ
遠鉄百貨店本館(本社所在地)
種類 株式会社
略称 エンデパ[1]
本社所在地 日本の旗 日本
430-8588
静岡県浜松市中央区砂山町320-2[2]
設立 1987年(昭和62年)4月[2]
業種 小売業
法人番号 4080401000843 ウィキデータを編集
事業内容 百貨店
代表者 代表取締役社長 後藤毅彦
資本金 1億円
売上高 113億円(2021年(令和3年)2月期)
純資産 61.52億円(2019年(平成31年)2月期)[3]
総資産 200.05億円(2019年(平成31年)2月期)[3]
従業員数 396名 (2023年2月現在)
決算期 2月[3]
主要株主 遠州鉄道100%[3]
主要子会社 遠鉄百貨店友の会[3]
外部リンク https://www.endepa.com/
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遠鉄百貨店[3]
Entetsu Department Store
本館(画像左側)・新館(右側)
店舗概要
所在地 静岡県浜松市中央区砂山町320-2[3]
(新館:旭町12-1)[4][5]
座標 北緯34度42分13.9秒 東経137度43分59.3秒 / 北緯34.703861度 東経137.733139度 / 34.703861; 137.733139 (遠鉄百貨店)座標: 北緯34度42分13.9秒 東経137度43分59.3秒 / 北緯34.703861度 東経137.733139度 / 34.703861; 137.733139 (遠鉄百貨店)
北緯34度42分16秒 東経137度43分58.8秒 / 北緯34.70444度 東経137.733000度 / 34.70444; 137.733000 (遠鉄百貨店新館)(新館)
開業日 1988年(昭和63年)
正式名称 遠鉄百貨店
施設所有者 本館:中貿ビルディング[6]
新館:遠州鉄道[4]
敷地面積 新館:3,300 m2[4]
延床面積 新館:40,200 m2[4]
商業施設面積 約36,000 m2[7]
前身 不明
最寄駅 遠州鉄道鉄道線新浜松駅直結
JR東海東海道新幹線東海道本線浜松駅
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遠鉄百貨店(えんてつひゃっかてん、: Entetsu Department Store)は、静岡県浜松市中央区に店舗を置く、遠州鉄道(遠鉄)グループの日本の百貨店である。 当項では、運営会社である株式会社遠鉄百貨店[3]についても記述する。

沿革

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会社概要

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本館の建物を中貿ビルディングより、新館と別館UP-ONの建物を遠州鉄道より、I・KO・I SQUAREの土地を浜松市より借り受けて遠鉄百貨店を運営する他、浜松SA内の遠鉄マルシェを運営している。

店舗概要

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開店当初からハイランドグループ(幹事社:髙島屋)に加盟。

1988年(昭和63年)の開業[6]で浜松市内ではもっとも遅くに開業した百貨店であったが、駅やバスターミナルに隣接している(後述)という点で利便性は比較的優位に立ち、1937年(昭和12年)6月1日に開業した地元の老舗松菱[13]1992年(平成4年)4月26日には約120億円を投資して新館を増設して売場面積を4,705m2増やして25,271m2として[14]対抗したものの、1996年(平成8年)には売上高305億円を上げて松菱の234億円[15]1971年(昭和46年)10月27日に開業した西武百貨店浜松店[16]の117億円[15](売場面積22,500m2)[14]を大きく上回って浜松の地域一番店になるなど急速に売上を伸ばした。

モータリゼーションの進展に伴う郊外との競争で生じた中心市街地の集客力の衰え[17]、バブル崩壊後の長引く景気の低迷の影響で1992年(平成4年)の745億円をピークに減少に転じた浜松の百貨店市場の縮小[18]を受けて、1994年(平成6年)に丸井浜松店[19]1997年(平成9年)12月25日に西武百貨店浜松店[20]と撤退が相次ぎ、2001年(平成13年)11月14日には松菱が自己破産宣告を受けて倒産した[21]ため、市内で唯一の百貨店となり、1995年(平成7年)に既存の浜松店の後継として出店構想が浮上していた西武百貨店の浜北区平口(当時の浜北市平口)への進出構想[17][22]や、2007年(平成19年)7月24日に発表された大丸の松菱跡への進出構想[23]などが実現しなかったため[注釈 1][24][注釈 2]、現在も浜松市を含む静岡県西部では唯一の百貨店となっている。

2008年(平成20年)2月期には391.88億円[25]を上げたのをピークにその後はリーマンショック後の消費低迷[7]を受けて2009年(平成21年)2月期には377.59億円[26]2010年(平成22年)2月期には332.38億円、2011年(平成23年)2月期には324.73億円[2]と売上が低迷しており、先述の大丸の浜松進出に対抗するため浜松市の行政改革の一環で売却された隣接地にあったフォルテ[18]を遠鉄グループで取得して建設することになった新館も当初構想よりも売場を1フロア減らして[18][7]2011年(平成23年)11月9日に開業した[27]

この新館の開業に伴い、静岡県内最大の売場面積の百貨店となった[28]

「百貨店の別館は全国的にほとんど成功していない」[7]との危機感から本館と新館の間にあった道路を法律上廃止して地下1階と3-6階の各階に幅18メートル長さ22メートル[29]の広場状の連絡通路「イ・コ・イ スクエア」を設置し[30]、階段を利用した滑り台や木製遊具などのある遊び場「チャイルドランド」[30]や一般市民向けギャラリー「ソラモ」[27]、32台の冷蔵ロッカーを含む72台のコインロッカーがあってテーブル付きで飲食できる約100席の休憩スペース[30]とするなど、別館方式のデメリットを克服する工夫を凝らし、新館8階の500人収容の多目的ホール「えんてつホール[31]を設置したほか、百貨店のビルとしては珍しい大手予備校の代々木ゼミナール浜松校(現在は駿台予備校)を入居[32]させた。また新館の上層階には遠州鉄道の本社事業本部が事務所を構えている。

また、浜松で品揃えが不足がちとされていた[7]20-40代の若者向けをターゲット[29]として開業前から「endepa(エンデパ)メールclub」というメールマガジンを配布する会員組織を作ってアピールした[33]ほか、2010年(平成22年)度に平日18万8223人[32]、休日21万2946人[32]2001年(平成13年)度の約6割に歩行者通行量が落ち込んだ[32]中心市街地活性化を担うものとして浜松市が内装工事費用を最大5億円補助する制度を適用すると共に浜松市立中央図書館駅前分室を入居させるなど支援を行い[32]、8日のプレオープンから最初の週末となった13日までの6日間の20〜30歳代の来店者数を前年同期比で2倍以上に伸ばし[34]、開業初日の10万1000人を含めて6日間で37万人を集めた[34]

しかし開業初日が定休日と重なったことを理由に周辺の中心市街地の店舗が営業しなかったケースも多くて[35]集客の波及効果があまり発揮されず、2012年(平成24年)2月に発表された静岡県西部市域しんきん経済研究所の買い物動向調査[36]でも新館開業効果について36%が「駅前の一部だけが賑わっている」[36]、29%が「以前と変わらない」[37]、26%が「駅周辺に出かけていないのでわからない」[37]と答えると報道されたほか、遠鉄百貨店自身もこうした中心市街地の集客力の低下や、近年の不況に伴う売れ筋商品低価格化を考慮して約210億円を投じて売り場面積が1.5倍に拡張するにもかかわらず[38]、初年度売上目標を1.2倍強の400億円と低めに設定[38]しており、中心市街地の活性化の難しさを浮き彫りになっている[38]。なお、初年度売り上げは目標を1割程度下回る見通しであることが示されている[39]

静岡内初の出店となるグッチのほか、ティファニールイ・ヴィトン(撤退)・フェンディ(撤退)・フェラガモロエベ(撤退)・コーチ・トリーバーチ・ケイトスペード・マークジェイコブス・ロレックスなど、著名なブランドの店舗が多く入居している。

店舗施設

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本館
1988年(昭和63年)9月14日開店。
建物は、貨物駅があった時代から当地を保有する中部貿易倉庫(三菱倉庫のグループ会社)が運営するテナントビル「中貿ビルディング」であり、JR浜松駅側出入り口からやや南側の地上付近にビル名札が取り付けられている。開業当時の売場面積は、17300 であったが、1990年10月に増床し21300 になり、その後2001年に22900 となった。
別館(UP-ON)(アップオン)
2004年(平成16年)4月開店。遠鉄トラベルやH&Mなどが入居。
新浜松駅ガード下。
新館
2011年(平成23年)11月9日開店。
フォルテ跡地に立地。延床面積40200平米、売場面積12000
元フォルテに存在したフォルテホールに代わり、8階に同規模のえんてつホールを備える。
9階に代々木ゼミナール浜松校が入っていたが、代ゼミの大幅なリストラにより2015年3月に撤退し、2015年4月からは駿台浜松校が入っている。
I・KO・I SQUARE(イ・コ・イ スクエア)
2011年(平成23年)11月9日オープン。
本館と新館の連絡通路だが休憩所や催事場「ギャラリー・ロゼ」などが設置されている。

交通

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本館・新館店舗の東側にはJR東海東海道新幹線東海道本線浜松駅浜松駅バスターミナル、西側には遠州鉄道鉄道線新浜松駅・別館UP-ONがある。

本館と新館の間は連絡通路「I・KO・I SQUARE」で、新浜松駅とは連絡橋で、バスターミナルとは地下通路でそれぞれ接続されている。

本館・新館から浜松駅や別館UP-ONとは地上において動線が確保されている。

別館UP-ONは新浜松駅の高架下に位置しているが、建物内での新浜松駅への移動はできず、新浜松駅へ行く場合も本館・新館へ行く場合もいったん建物を出る形となる。ただしいずれも屋根の下で移動できる。

遠鉄マルシェ

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新東名高速道路浜松SA(上下共)に立地。

遠鉄グループでは唯一manacaエムアイシー)に加盟しておりmanacaと相互利用している各種ICカードが利用できる。そのためえんてつカードのえんてつポイントの他にミュースターポイントが貯まる。

脚注

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注釈

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  1. ^ 2009年(平成21年)1月26日に断念したことを発表
  2. ^ 平口には、セゾングループ解散後に百貨店ではなくスーパーマーケット西友を核店舗とした、サンストリート浜北が開業した。

出典

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  1. ^ https://www.net-endepa.com/ 遠鉄百貨店ネットショッピング | ネットエンデパ
  2. ^ a b c d 『遠州鉄道株式会社 第99期有価証券報告書』(レポート)、遠州鉄道、2011年6月29日。
  3. ^ a b c d e f g h 『遠州鉄道株式会社 第107期有価証券報告書』(レポート)遠州鉄道、2019年6月29日。 
  4. ^ a b c d “浜松駅前新商業ビル、竹中JVで来月着工”. 日刊建設工業新聞 (日刊建設工業新聞社). (2010年1月28日) 
  5. ^ 遠鉄グループ・会社概要
  6. ^ a b 『浜松の商工業 平成23年度版』浜松市商工部、2011年。 
  7. ^ a b c d e “遠鉄新館、若者に照準 浜松にぎわい再生(上)”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2011年11月8日) 
  8. ^ 新商業ビル(実質の新館)建設及びギャラリーモール整備計画について遠州鉄道 2009年8月11日 プレスリリース
  9. ^ 新館オープン記念ツイッターキャンペーン! 今週のエンデパ 遠鉄百貨店遠鉄百貨店
  10. ^ [1][2]
  11. ^ 遠鉄百貨店、売り場改装 今月から4月に 生鮮品や化粧品『日本経済新聞』朝刊2018年2月2日(静岡経済面)
  12. ^ “「東急ハンズ」「さわやか」出店 遠鉄百貨店、今秋改装”. 中日新聞. (2019年4月11日). オリジナルの2019年4月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190416083159/https://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/shizuoka-economy/list/2019/CK2019041102000124.html 2023年11月20日閲覧。 
  13. ^ “浜松市制100周年(25)松菱百貨店の開店”. 静岡新聞びぶれ浜松 (静岡新聞社). (2011年12月22日) 
  14. ^ a b “浜松の老舗松菱百貨店、増床して県内最大級の店舗面積で26日オープン”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1992年4月29日) 
  15. ^ a b “目で見る浜松経済 浜松市内百貨店売上高の推移”. 静岡新聞 (静岡新聞社). (2011年10月6日) 
  16. ^ セゾングループ史編纂委員会『セゾンの活動 年表・資料集』リブロポート、1991年11月。ISBN 978-4845706266 
  17. ^ a b “ジャスコ、西武百貨店 共同で新複合店に挑戦、静岡・RSC核出店へ”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1995年12月15日) 
  18. ^ a b c “松菱破綻10年 正念場の浜松中心街 5”. 中日新聞 (中日新聞社). (2011年10月22日) 
  19. ^ 小藤康夫. “静岡における都市経済の実態調査-地域金融機関の経営行動を中心にして-”. 専修大学都市政策研究センター論文集 第1号 (専修大学都市政策研究センター) (2005-3). 
  20. ^ “さようなら西武百貨店浜松店 26年間の営業に幕”. 中日新聞 (中日新聞社). (1997年12月26日) 
  21. ^ “浜松の百貨店「松菱」に破産宣告 負債総額328億円”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2001年11月14日) 
  22. ^ “最高の来店客数記録 西武浜松店、最後の1日”. 静岡新聞 (静岡新聞社). (1997年12月26日) 
  23. ^ “大丸が浜松市に新店舗/10年開業、「松菱」跡地に”. 四国新聞 (四国新聞社). (2007年7月24日) 
  24. ^ “浜松・松菱跡地 見えない将来像”. 静岡新聞. (2022年3月30日). https://www.at-s.com/news/shittoko/1046705.html 2023年11月20日閲覧。 
  25. ^ 遠州鉄道株式会社 第96期有価証券報告書 (Report). 遠州鉄道. 29 June 2008.
  26. ^ 遠州鉄道株式会社 第97期有価証券報告書 (Report). 遠州鉄道. 29 June 2009.
  27. ^ a b “浜松まちなか魅力新た 遠鉄百貨店新館オープン”. 静岡新聞 (静岡新聞社). (2011年11月10日) 
  28. ^ “遠鉄百貨店新館11月9日オープン 浜松市が最大5億円補助”. 中日新聞 (中日新聞社). (2011年5月31日) 
  29. ^ a b “遠鉄百貨店新館開店 ブランド普及版・スイーツ充実”. 読売新聞 (読売新聞社). (2011年11月9日) 
  30. ^ a b c “浜松の遠鉄百貨店新館 遊び場や休憩所が好評”. 中日新聞 (中日新聞社). (2011年11月12日) 
  31. ^ “遠鉄百、銀聯カードに対応、来月から、中国人客取り込む、多目的ホールは11月開業。”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2011年3月30日) 
  32. ^ a b c d e “浜松中心市街地歩行量、9年連続で減少 平日と休日でほとんど差なし”. 中日新聞 (中日新聞社). (2011年5月31日) 
  33. ^ “新館オープンへメルマガ会員募集 遠鉄百貨店”. 静岡新聞 (静岡新聞社). (2011年8月28日) 
  34. ^ a b “6日間で37万人入店 遠鉄百貨店新館”. 静岡新聞 (静岡新聞社). (2011年11月17日) 
  35. ^ “にぎわいの風吹かず 遠鉄百貨店新館初日の中心街 商店の多く「定休日」”. 中日新聞 (中日新聞社). (2011年11月11日) 
  36. ^ a b “「浜松駅前で「買い物せず」県西部住民の4割 遠鉄新館効果薄く”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2012年2月24日) 
  37. ^ a b “浜松中心街 苦境続く”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2012年3月28日) 
  38. ^ a b c “遠鉄百貨店新館計画 逆風の船出見通し慎重 震災影響面積1.5倍でも売上高1.2倍強”. 読売新聞 (読売新聞社). (2011年6月2日) 
  39. ^ 遠鉄百貨店・竹内社長に開業1年を聞く 中日新聞 2012年11月8日付

外部リンク

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