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ぼくたちの家族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ぼくたちの家族』(ぼくたちのかぞく)は、早見和真による日本の小説。

概要

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著者の早見和真が自らの実体験を元に描いた作品。自らの母親が2008年に余命宣告を受け、新たな病院を探していた2010年1月から連載を開始。過酷な状況下であったが、母親が亡くなってからでは美化してしまうと考えてあえてこの時期からの執筆に踏み切った。当の母親も「私の治療費を取り返して」と応援してくれ、父親も息子が小説を書いていることを喜び、周りに配っているという。母親は5年の闘病後、2013年9月に亡くなっている。[1]

2011年3月に「砂上のファンファーレ」というタイトルで単行本が発売されたが、2014年、今作を原作とする映画の公開を機に改題され、映画のタイトルと統一されて文庫化された[2]

あらすじ

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登場人物

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映画

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ぼくたちの家族
監督 石井裕也
脚本 石井裕也
原作 早見和真
製作 竹内力
小西啓介
狩野善則
堀義貴
木滝和幸
若山泰親
出演者 妻夫木聡
池松壮亮
原田美枝子
長塚京三
黒川芽以
佐々木勝彦
梅沢昌代
音楽 渡邊崇
撮影 藤澤順一
編集 普嶋信一
製作会社 「ぼくたちの家族」製作委員会
配給 日本の旗 ファントム・フィルム
公開 日本の旗 2014年5月24日
上映時間 117分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 1億円[3]
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石井裕也監督により約3年の歳月をかけて映画化され[4]、2014年5月24日に公開された。同年8月21日から9月1日にカナダで開催される第38回モントリオール世界映画祭“ワールド・グレイツ部門”[5][6]釜山国際映画祭[7]への出品が決定している。

監督の石井は、まだ自分が20代という若い感性のうちに“家族”というものを改めてしっかり撮りたいと思っていたため、今までの作品ではプロデューサーに一任していたキャスティングにも積極的にこだわり、妻夫木聡、池松壮亮、原田美枝子、長塚京三という演技の面で信頼できる4人の主要メンバーを集めた[8]。そしてその期待通り、俳優陣は製作陣が長年準備してきたものを一瞬で凌駕する芝居を見せてくれたと監督はのちのインタビューで語っている[8]

主なロケ地は山梨県上野原市の「コモアしおつ[9]。他に、神奈川県相模原市藤野駅など[9]。映画の舞台となっている三好町は実際に原作者の早見和真が住んでいた町で撮影され、家もセットではなくプロデューサーがその町の空き物件を探して撮影された[10]

あらすじ

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シニアの主婦・玲子は最近、物忘れが激しい。息子の嫁の名まで間違えるようになり病院で検査した結果、脳腫瘍で余命一週間との診断が下った。玲子には病名を知らせずに相談する夫の克明と、息子で会社員の浩介、大学生の俊平。

専業主婦である玲子がサラ金数社から300万円以上の借金をしている事を知る息子たち。自営業だが頼りない夫の克明は6500万の負債があると白状した。自己破産しても家のローンは残り、保証人である浩介が1200万を被ることになるという。玲子の当面の入院費も、克明は浩介に頼るしかなかった。妻が初めての子を妊娠中でもあり、一人で抱え込んで苦悩する浩介。高校生の頃に引き篭もって母親に迷惑をかけた浩介は、人一倍、親思いな息子なのだ。

治療の余地なしとして退院を勧告され、転院先を探す息子たち。普段はチャランポランな弟の俊平が意外と頼りになる事を知る浩介。何軒もの病院を回るうちに誤診かもしれないという話が持ち上がった。再検査のために転院する玲子。

父親に自己破産を勧める浩介。持ち家を手放すことも受け入れる克明。俊平は大学を中退して克明の会社を手伝うという。再検査の結果、玲子は治療の余地のある悪性リンパ腫であることが判明した。

浩介の夫婦仲を案じて各々、妻の深雪に頭を下げに行く俊平と克明。深雪は浩介を理解し、保証人として背負う負債のために転職することも受け入れていた。深雪も含めて家族の絆は、これまで以上に深まった。

キャスト

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スタッフ

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映画の評価

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描かれているのがどこにでもある普通の家族で、自分の家族を振り返って誰もが共感できる家族ドラマになっていることが映画館スタッフなどの間で高評価を得た他[17]、作家のあさのあつこは「単純な言葉では決して言い表せない不思議な情動に駆られた。何度でも見たくなる映画である。」、スタジオジブリの映画プロデューサーである鈴木敏夫は「絶望は希望の始まりということを教えてくれる作品。大傑作!」と評価[18]。映画評論家の宇田川幸洋は、「母親の病気発覚を機に家族がまとまっていく話と言えなくはないが、単純な美談ではなく、闘病記である以上に多額の借金をめぐる金の話が作品にリアリティを与え、おもしろくしている。」と述べた[19]リリー・フランキーは「妻夫木聡演じる引きこもりの過去をもつ浩介の笑顔でリアリティを感じたし、俊平を演じていた池松壮亮は人間と子犬との中間のような独特な空気感が素晴らしく、彼は天才だ。」と、作品だけはなく俳優陣についても称賛した[20][21]。原作者の早見和真は「自らが小説で訴えたかったことを100%汲み取ってくれた映画になっていて、小説家として幸せ。間違いなく素晴らしい映画だ。」と監督に感謝のコメントを述べている[4]。その他にも有川浩よしもとばなな市村正親ら著名人も絶賛のコメントを寄せている[17]

2014年5月13日に日本外国特派員協会で行われた記者会見には記者100人が集まり、映画や本作のテーマである”現代の日本の家族”に対する質問が相次いだため、会見は予定時間を大幅にオーバーした[6][22]香港での上映が決定した他、台湾韓国など13か国から上映オファーを受けた[23]

受賞歴

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関連商品

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  • ホームメディア(2014年11月21日発売 TCエンタテインメント)[35]
    • 特別版Blu-ray、特別版DVD、通常版DVDの3形態。特別版には特典ディスクが附属する。
  • オリジナルサウンドトラック(2014年5月21日発売)

脚注

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  1. ^ “映画ぼくたちの家族 原作の早見さん「誰にも思い当たる」”. 神戸新聞NEXT (松本寿美子). (2014年5月19日). オリジナルの2014年5月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140520084537/https://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/201405/0006972692.shtml 2014年5月25日閲覧。 
  2. ^ 石井裕也監督「ぼくたちの家族」映画化にあわせ原作タイトル変更”. 映画.com (2014年3月6日). 2014年3月15日閲覧。
  3. ^ キネマ旬報」2015年3月下旬号 103頁
  4. ^ a b 石井裕也監督作「ぼくたちの家族」を原作者・早見和真はどう受け止めたか?”. 映画.com (2014年5月30日). 2014年6月20日閲覧。
  5. ^ 妻夫木聡が主演、石井裕也監督作『ぼくたちの家族』、モントリオール世界映画祭“ワールド・グレイツ部門”へ出品”. CDJournal (2014年5月7日). 2014年5月8日閲覧。
  6. ^ a b 妻夫木聡、「そのままでいいと言ってくれるのが家族」『ぼくたちの家族』がモントリオール世界映画祭へ”. TVfanWeb (2014年5月14日). 2014年5月15日閲覧。
  7. ^ 内田涼 (2014年6月20日). “妻夫木、『ぼくたちの家族』で初共演の池松壮亮を絶賛”. チケットぴあ. 2014年6月20日閲覧。
  8. ^ a b c 石井裕也監督が明かす、「ぼくたちの家族」への思い”. 映画.com (2014年5月19日). 2014年12月6日閲覧。
  9. ^ a b 映画「ぼくたちの家族」公開です!”. さがみはらフィルムコミッション (2014年5月21日). 2014年6月20日閲覧。
  10. ^ 新居未希 (2014年5月22日). “僕たちの世代(2)――家族を考える・早見和真さん”. みんなのミシママガジン. 2014年5月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月20日閲覧。
  11. ^ 内田涼 (2014年4月25日). “妻夫木聡、新作『ぼくたちの家族』撮影で「全然眠れず」”. ぴあ映画生活. 2014年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月8日閲覧。
  12. ^ 岸田智 (2014年6月18日). “妻夫木聡、月イチで家族旅行!徹底した家族サービスぶり”. シネマトゥデイ. 2014年6月20日閲覧。
  13. ^ ブレイク必至!池松壮亮の魅力を「ぼくたちの家族」関係者が語る”. 映画.com (2014年5月16日). 2014年5月25日閲覧。
  14. ^ 名鹿祥史 (2014年5月23日). “原田美枝子、国会議員に家族の視点からの鑑賞呼び掛ける 出演作が国会試写”. シネマトゥデイ. 2014年5月25日閲覧。
  15. ^ 原田美枝子(インタビュアー:垣井道弘)「【原田美枝子】ますます広がる演技の幅」『zakzak』、2014年5月16日https://www.zakzak.co.jp/people/news/20140516/peo1405160830001-n1.htm2014年12月6日閲覧 
  16. ^ 鶴見菜美子 (2014年12月1日). “長塚京三、仲間に入れてもらえず「寂しかった」と告白”. シネマトゥデイ. 2014年12月6日閲覧。
  17. ^ a b 全国の映画館スタッフが『ぼくたちの家族』に共感&絶賛!”. ぴあ映画生活 (2014年5月). 2014年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月15日閲覧。
  18. ^ 映画『ぼくたちの家族』にジブリ・鈴木氏ほか著名人からコメント続々”. ぴあ映画生活 (2014年5月). 2014年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月25日閲覧。
  19. ^ “ぼくたちの家族 成熟した観察眼でリアルに”. 日本経済新聞 (宇田川幸洋). (2014年5月23日). https://www.nikkei.com/article/DGXDZO71608310S4A520C1BE0P01/ 2014年5月25日閲覧。 
  20. ^ 妻夫木 聡とリリー・フランキーが家族観を語る、映画『ぼくたちの家族』トークショー”. CDJournal (2014年6月19日). 2014年6月20日閲覧。
  21. ^ リリー・フランキーが妻夫木聡の“元ひきこもり”演技を大絶賛!”. cinemanet.cafe (2014年6月19日). 2014年6月20日閲覧。
  22. ^ 映画『ぼくたちの家族』妻夫木聡、モントリオール世界映画祭に意欲!「世界の人も“家族”を感じて!!」”. CINEMA TOPICS ONLINE (2014年5月14日). 2014年5月15日閲覧。
  23. ^ 壬生智裕 (2014年5月24日). “妻夫木聡、芝居ができずに逃げ出した過去”. シネマトゥデイ. 2014年5月25日閲覧。
  24. ^ 第6回 TAMA映画賞”. TAMA CINEMA FORUM (2014年10月9日). 2014年10月9日閲覧。
  25. ^ “池松壮亮「脱ぎすぎ」助演賞/映画大賞”. 日刊スポーツ. (2014年12月4日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp1-20141204-1404357.html 2014年12月5日閲覧。 
  26. ^ “第36回ヨコハマ映画祭 2014年日本映画個人賞”. ヨコハマ映画祭. オリジナルの2015年1月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150126203445/http://homepage3.nifty.com/yokohama-eigasai/36-2014/36_2014_shou.html 2015年1月29日閲覧。 
  27. ^ “2014年日本映画ベストテン”. ヨコハマ映画祭. オリジナルの2015年2月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150214024507/http://homepage3.nifty.com/yokohama-eigasai/36-2014/36_2014_best10.html 2015年1月29日閲覧。 
  28. ^ 2014年 第88回キネマ旬報ベスト・テン”. KINENOTE. 2015年1月8日閲覧。
  29. ^ “「そこのみにて光輝く」が日本映画1位…キネマ旬報ベスト・テン”. スポーツニッポン. (2015年1月8日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/01/08/kiji/K20150108009593960.html 2015年1月8日閲覧。 
  30. ^ “2014年 第88回キネマ旬報ベスト・テン|KINENOTE”. KINENOTE. http://www.kinenote.com/main/kinejun_best10/2014/award/japan.aspx 2015年1月29日閲覧。 
  31. ^ 第38回日本アカデミー賞最優秀賞発表!、日本アカデミー賞公式サイト、2015年1月15日閲覧。
  32. ^ 第57回ブルーリボン賞が決定!佐々木蔵之介『超高速!参勤交代』が作品賞!”. シネマトゥデイ (2015年1月23日). 2015年1月23日閲覧。
  33. ^ “「そこのみにて光輝く」6部門制す おおさかシネフェス”. 大阪日日新聞. (2015年1月31日). オリジナルの2015年2月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150203032233/http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/150131/20150131035.html 2015年2月4日閲覧。 
  34. ^ 第10回おおさかシネマフェスティバル受賞者決定!!”. おおさかシネマフェスティバル実行委員会. 2015年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月4日閲覧。
  35. ^ “ぼくたちの家族”. YOMIURI ONLINE. (2014年12月5日). オリジナルの2014年12月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141208205254/http://www.yomiuri.co.jp/culture/cinema/dvd/20141126-OYT8T50131.html 2014年12月6日閲覧。 

外部リンク

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