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みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例
みなべ町の条例
通称・略称 梅干しでおにぎり条例、梅干しおにぎり条例
法令番号 平成26年みなべ町条例第23号
種類 地方自治法
効力 現行法
成立 2014年(平成26年)9月26日
施行 2014年(平成26年)10月1日
主な内容 梅干しおにぎりの推奨
条文リンク みなべ町例規集
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南部梅林

みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例(みなべちょうきしゅうなんこううめしようのおにぎりおよびうめぼしのふきゅうにかんするじょうれい、平成26年みなべ町条例第23号)は、紀州南高梅を使用したおにぎりの奨励、梅干し等の梅製品の普及促進等を目的とする和歌山県日高郡みなべ町の条例である。略称は、梅干しでおにぎり条例[1][2][3][4][5][6]又は梅干しおにぎり条例[7]

沿革

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和歌山県の梅の生産量は都道府県別で全国一であり[8][9]、その中でもみなべ町は日本一の梅産地である[3]。また、同町は南高梅発祥の地でもあり、同町の就業人口の大部分が梅関連に携わっているなど、同町と梅産業は極めて密接な関係にある[7][10]

しかし、近年は全国的に梅の需要が低下しており、総務省の調査によれば、梅に対する1世帯当たりの年間支出額は1999年(平成11年)から2019年(令和元年)の間に約2割も減少しており[6]、購入量も2002年(平成14年)がピークであり、2017年(平成29年)にはその約7割まで減少してしまった[7]。これにより、価格の低下や消費量の低下が起こり、みなべ町の地域経済に深刻な影響を与えていた[1]

消費量の減少は特に若年層の梅離れから来ていると見られ、70歳以上の世帯と20歳未満の世帯では、梅に対する年間支出額もその購入量も約5倍の開きがあった。若年層が梅を嫌う理由は、酸っぱいことを毛嫌いしていると考えられている[6][7]

そこで、自身も梅農家である下村勤町議(みなべ町議会産業建設常任委員会委員長)が、梅干しを使ったおにぎりを奨励して地産地消により梅の消費拡大を狙い、町民の意識を高めることを目的として[2][6][5]条例の制定を提案した。

制定に当たっては、2014年(平成26年)9月17日に紀州梅干生産者協議会、紀州梅干組合、紀州農業協同組合等と意見交換会を開き関係者の意見を聞いた上で、委員会発議で本条例案を提出し[1][2]、同月26日、全会一致で本条例は可決され[4]、同年10月1日から施行された。

内容

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全5条からなる短い条例である。本条例には前文が付されており、本条例の趣旨・目的が述べられている。

梅干しに代表される梅関連商品(以下「梅干し等の梅製品」という。)は、古くから保存食として、また、健康食品として親しまれ、認知されてきた。本町は、日本一の梅の町として、また、南高梅が誕生した町として知られている。そして今日では、全国トップブランドの梅干しとして、最高の品質そして機能性の高い健康食品であると認められ、梅産業は本町の重要な基幹産業として発展を遂げてきた。ここに、町並びに梅の生産に携わる者(以下「生産者」という。)及び梅干し等の梅製品の生産又は販売を業として行う者(以下「事業者」という。)が連携を図りながら、それぞれの役割を果たし、町民の協力をもって紀州南高梅を使用したおにぎり(以下「梅干しでおにぎり」という。)を奨励し、梅干し等の梅製品を積極的に普及することにより、梅の消費拡大を図り、更なる紀州南高梅ブランドの確立、梅関連産業の振興発展及び地域の活性化並びに町民の健康の維持・増進の視点から、町の合併10周年を期に、この条例を制定する。 — みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例
  • みなべ町は、「梅干しでおにぎり」を推奨するほか、生産者・事業者と連携を図り、梅精神の普及促進に必要な措置を講ずる(第1条)
  • 生産者(梅の生産に携わる者)は、高品質な南高梅の安定生産を目指すほか、安全性・信頼性を確保するように努める(第2条)
  • 事業者(梅製品の生産・販売業者)は、梅製品の開発研究を推進し、普及啓発に努める(第3条)
  • みなべ町民は、「梅干しでおにぎり」等の梅製品の普及促進に協力し、健康増進に努める(第4条)
  • みなべ町・生産者・事業者・みなべ町民は、「梅干しでおにぎり」等の普及促進に相互に連携して協力する(第5条)

なお、本条例は宣言条例であり、強制力はなく、仮に違反しても罰則は定められていない[2][6]

制定後の状況

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本条例が施行されてから、毎年6月6日の梅の日に、みなべ町小中学校において給食の時間に梅干しでおにぎりを児童らが自分で握って食べるようになった[5][6][11]。その他、給食でも梅を使った献立が提供されている[6]

また、本条例の制定をきっかけに、南魚沼市コシヒカリの普及促進に関する条例(平成25年南魚沼市条例第38号)を定める新潟県南魚沼市との間で「日本の食文化推進連携協定」を結び、小学校同士で交流が行われたり、首都圏での販売促進での協力、食材の相互融通等が行われている[12][13][14]

脚注

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  1. ^ a b c みなべ町議会だより No.38 みなべ町、2014年11月。2023年2月16日閲覧
  2. ^ a b c d みなべ町議会「梅干しでおにぎり条例」提案へ 日高新報、2014年9月18日。2023年2月16日閲覧
  3. ^ a b 和歌山・みなべ町で「梅の日」企画 スーパーに梅干しおにぎりコーナー、食育紙芝居も 和歌山経済新聞、2017年6月8日。2023年2月16日閲覧
  4. ^ a b 初の“梅干しおにぎり条例”みなべ町で可決 日テレNEWS、2014年9月26日。2023年2月16日閲覧
  5. ^ a b c 町民に梅の普及等で協力求める…和歌山県みなべ町の『梅干しでおにぎり条例』 条例は“地域・住民の道しるべ”に カンテレ、2022年6月1日。2023年2月16日閲覧
  6. ^ a b c d e f g 強制力なく検証しにくい「梅干しでおにぎり条例」の効果 産経新聞、2020年12月21日。2023年2月16日閲覧
  7. ^ a b c d 「梅干しおにぎり条例」を作った「梅生産日本一」和歌山県みなべ町の“本気すぎる”町おこし 文春オンライン、2019年6月6日。2023年2月16日閲覧
  8. ^ 梅の収穫58年連続全国一 和歌山県がシェア67% 紀伊民報、2022年12月5日。2023年2月16日閲覧
  9. ^ 令和4年産びわ、おうとう、うめの結果樹面積、収穫量及び出荷量 農林水産省、2022年11月30日。2023年2月16日閲覧
  10. ^ 和歌山県みなべ町/日本一の梅の里 紀州みなべの南高梅を世界へ 全国町村会、2016年12月19日。2023年2月16日閲覧
  11. ^ 給食で梅干しおにぎり頬張る「梅の日」にちなみみなべ町 紀伊民報、2020年6月5日。2023年2月17日閲覧
  12. ^ 第二上田小学校で特産品を通じた食の交流が行われました 南魚沼市、2019年2月27日。2023年2月17日閲覧
  13. ^ 南魚沼市長がみなべ町訪問 食文化推進で交流 紀伊民報、2022年7月11日。2023年2月17日閲覧
  14. ^ 給食用梅干し5400個贈る 南魚沼市にみなべ町 紀伊民報、2020年10月1日。2023年2月17日閲覧

関連項目

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