アイヌ語方言辞典
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アイヌ語方言辞典(アイヌごほうげんじてん)は、1964年に岩波書店から出版されたアイヌ語の10の方言の基礎語彙や基本表現を収めた辞典である。編者は服部四郎。共編者は知里真志保、木村彰一、山本謙吾、三根谷徹、北村甫、田村すず子。
収録語彙数は約2100語。収録地域は、北海道の八雲、幌別、沙流、帯広、美幌、旭川、名寄、宗谷の8方言と樺太のライチシカ[1]方言、千島方言(こちらは独自の調査によるものではなく、鳥居龍蔵の『千島アイヌ』より引用)。
語彙の選択基準は、日本語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語などの基礎語彙に関する研究に依拠している。そのために、アイヌに特有な文化に関する語彙の収録に問題がある。しかし、アイヌ語研究者・学習者には基礎的な文献とされている。当時のパンフレットには「アイヌ語は滅びようとしている本辞典は学界への貴重な贈物だ」とある。
1990年以降、言語学界では、アイヌ語を含めた危機に瀕する言語の研究に力が入れられるようになったが、この辞典はその先駆けをなすものとして現在において評価される。
脚注
[編集]- ^ 日本統治時代の珍内町来地志。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- アイヌ語ラジオ講座 (札幌テレビ放送 STV)
- アイヌ文化振興・研究推進機構
- 北海道立アイヌ民族文化研究センター
- 千葉大学文学部ユーラシア言語文化論講座(アイヌ語やニヴフ語などを含む北方諸民族の言語や文化を研究)
- 東京大学言語動態学教室(広く危機言語などの研究を行い、充実したデータベースを有する)
関連組織
[編集]- 日本言語学会
- 危機言語小委員会
- Terralingua(生物の多様性と言語の多様性を関連づけて活動するNGO)