アジア・タレント・カップ
アジア・タレント・カップ Asia Talent Cup | |
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イベントの種類 | スポーツイベント |
通称・略称 | ATC[1] |
正式名称 | イデミツ・アジア・タレント・カップ[2] |
旧イベント名 | シェルアドバンス・アジア・タレント・カップ[3] |
初回開催 | 2014年[4] |
主催 | ドルナ・スポーツ |
協賛 |
出光興産[5] ホンダ・レーシング[5] 本田技研工業[5] セパン・インターナショナル・サーキット[5] レッドブル[5] アルパインスターズ[5] 住友ゴム工業[5] アライヘルメット[5] 日立Astemo[5] Advanced Group[5] アクセンチュア[5] リゾマ[5] アファム[5] ガルファー[5] 大同工業[5] Moto-UP[5] U-EARTH BIOTECH[5] |
公式サイト |
アジア・タレント・カップ(英: Asia Talent Cup・ATC)は、アジア及びオセアニアの若年者を対象としたモーターサイクル・ロードレースの選手権大会である。
概要
[編集]2013年6月27日、ドルナ・スポーツ(英: Dorna Sports)はホンダ・レーシング(英: Honda Racing)及びシェル・インターナショナル・ペトロリウム(英: Shell International Petroleum)[6]と共に会見を開き、MOTO3カテゴリの新たなモーターサイクル・ロードレース選手権大会「シェルアドバンス・アジア・タレント・カップ(英: Shell Advance Asia Talent Cup ・SAATC)」を2014年より開催すると発表した[7]。
アジア及びオセアニアの各国から選抜された13歳から20歳までの選手により、年間12戦が開催される[8]。使用車輌は本田技研工業のNSF250R、タイヤはダンロップのワン・メイクで行なわれ、イコール・コンディションを保つために、セット・アップ等は運営組織により管理されており、純粋に参加者が腕の差で勝負を争えるようなレース・システムが構築されている[9]。参加者には、車輌やタイヤ、その他パーツ、消耗品、さらにヘルメットやレーシング・スーツなどの装具まで、走行にかかる費用は無償で提供する[9][10][11]。
参加者の選抜は書類選考を経て、毎秋にセパン・インターナショナル・サーキットにて選抜会が行われ、翌年の参加者22名が決定される[10]。2016年の例では、19か国600名以上が参加申請を行ない、そのうち152名が最終選考会に参加権を得、最終的に前年からの継続参加者5名に加え、新たに17名が選抜された[8]。
参加者には、ライディングに関してのアドバイスの他に、レースにおいての各セッションに対する取り組み方、そのために必要な外国人スタッフとのコミュニケーション能力を高めるための英語のカリキュラムが実施される[9]。
2017年からタイトル・スポンサーが出光興産に代わり、「イデミツ・アジア・タレント・カップ(英: Idemitsu Asia Talent Cup・IATC)」に改称された[12]。
協賛企業
[編集]- ブリヂストン
ブリヂストンは2014年から2015年まで、レース用タイヤRACING BATTLAX V02(GP3)をATCに供給していた[13]。
- ダンロップ
住友ゴム工業は、Moto3ジュニア世界選手権(英: FIM Moto3 Junior World Championship)に供給しているダンロップ・タイアを、2016年からATCにも供給している。
- アライヘルメット
アライヘルメットは2017年シーズンより、参加者全員に同社の最高峰フルフェイス・ヘルメットRX-7Xを供与している[14]。
- エスシープロジェクト
イタリアの洋用品ブランドのエスシープロジェクト[15](伊: SC-Project)は、2018年から排気管を提供している[16]。
出身者
[編集]- 鳥羽海渡
2014年に弱冠14歳でATC初代王者となった鳥羽海渡は、Moto3ジュニア世界選手権、レッドブル・ルーキーズ・カップ(英: Red Bull MotoGP Rookies Cup)を経て、2017年から世界グランプリMoto3(英: FIM Moto3 World Championship)に参戦している[17]。
- 佐々木歩夢
14歳になる2014年からATCに参戦し、2015年に総合優勝した佐々木歩夢は、2016年のレッドブル・ルーキーズ・カップでも総合優勝、同年のマレーシア・グランプリ(マレー語: Grand Prix motosikal Malaysia)で世界グランプリMoto3にデビュー、2016年にはルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した[17][18]。
- ソムキャット・チャントラ
2016年の年間王者であるタイ人のソムキアット・チャントラ[19](泰: สมเกียรติ จันทรา)は、2017年の世界グランプリMoto3タイ・グランプリ(泰: ไทยแลนด์มอเตอร์ไซค์เคิลกรังด์ปรีซ์)出場を経て、2018年からは世界グランプリMoto2 (英: FIM Moto2 World Championship)にフル参戦した。
- チャン・オンチュ
2016年と2017年にATCに出場していたトルコ人のチャン・オンチュ[20](土: Can Öncü)は[21] 、2018年のレッドブル・ルーキーズ・カップで総合優勝を決めたことから[20]、同年の世界グランプリMoto3最終戦バレンシア・グランプリ(西: Gran Premio de la Comunidad Valenciana)にスポットで初出場初優勝した[22]。世界グランプリでの優勝は、ATC出身者で初、トルコ人初、世界グランプリ出場及び優勝の最年少記録を更新[22]、初出場での優勝は27年ぶりと、記録尽くめとなった[20]。
- 川﨑祥吾
14歳で2016年のATCに参加した川﨑祥吾は、2018年からイタリア選手権SS300(伊: Campionato Italiano Velocità SuperSport 300)、2020年からはスーパースポーツ世界選手権 (英: World Supersport Championship)に参戦した[23]。
パンデミックの影響
[編集]2020年7月30日、FIMアジアとドルナ・スポーツは、ATCの2020年シーズンの継続は困難としてシリーズを中止し、2020年シーズンにエントリーしている全員に2021年の参加権が与えられると発表された[24]。開催できたのは、開幕戦となったカタール・グランプリでの2戦のみだった[24]。
2021年シーズンに向けた選考会は行われず、新規参入は各国の統括団体などからの推薦に拠り、4名の補欠を含めた24名がエントリーされることとなった。また、念のため1大会2戦の予備日が設けられた[25]。
2022年シーズンのための選考会も開催できず[26]、2021年と同じ方法で、20名のエントリーが発表された[27]。
事故
[編集]2018年からATCに参加し、2019年には2勝していた20歳のインドネシア人のアフリザ・ムナンダル(尼: Afridza Munandar)は、同年最終戦となるマレーシア・グランプリの第1レースでスタート直後の接触事故で死亡した[28][29]。運営団体は彼の死を悼み、彼が着けていた車輌ナンバーの4番を永久欠番とした[29][30]。
外部リンク
[編集]- “IDEMITSU - ASIA TALENT CUP” (英語). Dorna Sport. 2022年5月3日閲覧。
脚註
[編集]出典
[編集]- ^ “Idemitsu Asia Talent Cup lands back in Lombok” (英語). MotoGP™. Dorna Sports (2022年3月16日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “出光興産がアジア・タレント・カップを支援”. MotoGP™. Dorna Sports. 2022年5月3日閲覧。
- ^ Asia Talent Team (2014年3月). “シェルアドバンス・アジア・タレント・カップ:開幕戦カタール大会プレビュー”. MotoGP™. Dorna Sports. 2022年5月3日閲覧。
- ^ “Date takes glory in first Shell Advance Asia Talent Cup race” (英語). NEWS. Shell ADVANCE - ASIA TALENT CUP. Dorna Sports (2013年3月23日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q “Idemitsu Asia Talent Cup to return to racing in 2021” (英語). IDEMITSU - ASIA TALENT CUP. Dorna Sports. 2022年5月3日閲覧。
- ^ 『ロイヤル・ダッチ・シェルからの昭和シェル石油株式会社の株式(33.3%議決権比率)の所得に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)出光興産、2015年7月30日 。2022年5月3日閲覧。
- ^ “Motorcycle racing grows with 2014 Shell Advance Asia Talent Cup” (英語). MotoGP™. Dorna Sports (2013年6月28日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b “アジアから世界へ 第一回”. イデミツ・アジア・タレント・カップ. モータースポーツ. 本田技研工業 (2017年10月13日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b c “アジアから世界へ 第五回”. イデミツ・アジア・タレント・カップ. モータースポーツ. 本田技研工業 (2017年10月26日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b “2020年度イデミツ・アジア・タレントカップ 次世代のチャンピオンになろう!” (PDF). 日本モーターサイクルスポーツ協会. 2022年5月3日閲覧。
- ^ “2022イデミツ・アジア・タレント・カップ” (PDF). アライヘルメット. 2022年5月3日閲覧。
- ^ Asia Talent Team (2017年2月10日). “出光興産がアジア・タレント・カップを支援”. MotoGP™. Dorna Sports. 2022年5月3日閲覧。
- ^ 『2輪レースのアジアタレントカップへのタイヤ単独供給を決定』(プレスリリース)ブリヂストン、2014年3月17日 。2022年5月3日閲覧。
- ^ 「ASIA TALENT CUP 2017 アライヘルメットがオフィシャルヘルメットに」(PDF)『Arai News』第348巻、アライヘルメット、埼玉、1頁、2022年5月3日閲覧。
- ^ “マフラーについて”. NichiiX. 2022年5月3日閲覧。
- ^ “SC-Project - Asia Talent Cup - Offical Technical Supplier” (イタリア語). SC-Project. Advanced Group. 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b “アジアから世界へ 第二回”. イデミツ・アジア・タレント・カップ. モータースポーツ. 本田技研工業 (2017年10月13日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “佐々木歩夢、Vロード歩む|WGP|F1 EXPRESS トーチュウ”. WGP. F1 EXPRESS トーチュウ. 中日新聞社 (2017年12月25日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “ソムキャット・チャントラ”. ライダー. Honda Racing THANKS DAY 公式サイト. 本田技研工業 (2019年). 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b c ヤングマシン(ヨ) (2018年11月19日). “アジアの新風が歴史を変える!【MotoGPでトルコの15歳が上田昇以来の快挙】”. WEBヤングマシン. 内外出版社. 2022年5月3日閲覧。
- ^ “Asia Talent Cup”. Dorna Sports. 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b “Turkish teen becomes youngest ever MotoGP Grand Prix winner” (英語). Daily Sabah (2018年11月18日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “川﨑祥吾、2022年はイタリア選手権SS600に参戦。カワサキからヤマハにスイッチ”. MotoGP. autosport web. 三栄 (2021年12月27日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b “Idemitsu Asia Talent Cup to return to racing in 2021” (英語). IDEMITSU - ASIA TALENT CUP. Dorna Sports (2020年7月31日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “アジア・タレント・カップ~暫定開催日程&エントリーリスト”. MotoGP™. Dorna Sports (2021年1月25日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “『Idemitsu Asia Talent Cup』〜開催日程変更”. MotoGP™. Dorna Sports (2021年8月19日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “『Idemitsu Asia Talent Cup』〜暫定エントリーリスト発表”. MotoGP™. Dorna Sports (2021年12月13日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ "Afridza Munandar passes away- Idemitsu Asia Talent Cup at the Sepang circuit" (Press release) (英語). Idemitsu Kosan Global. 5 November 2019. 2022年5月3日閲覧。
- ^ a b “イデミツ・アジア・タレント・カップ〜ゼッケン4を永久欠番”. MotoGP™. Dorna Sport (2019年11月3日). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “Number 4 to be retired from the Idemitsu Asia Talent Cup” (英語). IDEMITSU - ASIA TALENT CUP. Dorna Sports (2019年11月3日). 2022年5月3日閲覧。