アニマルズ
アニマルズ The Animals | |
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左から、エリック・バードン、アラン・プライス、チャス・チャンドラー、ヒルトン・ヴァレンタイン、ジョン・スティール(1964年) | |
基本情報 | |
別名 |
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出身地 | イングランド ニューカッスル・アポン・タイン |
ジャンル | |
活動期間 | |
レーベル | |
公式サイト | Animalsandfriends.info |
メンバー | |
旧メンバー |
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アニマルズ(The Animals)は、1960年代半ばに人気を集めたイングランドのロックバンドである。ブルースに根ざした作風が特徴で、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、キンクスなどと共に人気を博した。アメリカではブリティッシュ・インヴェイジョンの代表格の一つとされている。
1963年に結成。音楽性はブルース・ロック、ブルー・アイド・ソウルなど多岐に渡った。1966年解散。ボーカリストのエリック・バードンはアメリカに渡って「エリック・バードン&ジ・アニマルズ」を結成して、反戦歌「スカイ・パイロット」などのサイケデリック・ロックの作品を残したが、1968年12月の日本公演の後に解散。
バードンは「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第57位に選ばれた[2]。
略歴
[編集]アニマルズ
[編集]1963年、イングランドのニューカッスル・アポン・タインでエリック・バードン(ボーカル)、アラン・プライス(オルガン、ピアノ)、ヒルトン・ヴァレンタイン(ギター)、チャス・チャンドラー(ベース)、ジョン・スティール(ドラムス)の5人で結成。バンドの命名者はグレアム・ボンド[3][注釈 1]。
非常にブルース色が強い音楽性を有し、ジョン・リー・フッカーの「Boom Boom」などを取り上げた。一方、シングルにはヒットを意識してブリル・ビルディング系の作品を多く取り上げた。
プロデューサーにミッキー・モストを迎えで制作した多数のヒット曲の中で、「朝日のあたる家」(1964年)が最大のものとして知られている。これはアメリカの伝統的なフォーク・ソングをブルース的な解釈でカバーしたものである。また全英2位に輝いたオリジナル「朝日のない街」(1965年)[注釈 2]は、ブルース・スプリングスティーン[4][注釈 3]やボン・ジョヴィなど多くのアーティストにカバーされ、ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(2011年版)で235位にランクされた[5]。他にもニーナ・シモンのカバー「悲しき願い」(1965年)[注釈 4]、後にグランド・ファンク・レイルロードがカバーしたオリジナル「孤独の叫び」(1966年)[注釈 5]など数多くのヒットを放つ。
同じ時期に活躍していたビートルズとは仲が良かった。メンバーのチャンドラーはジミ・ヘンドリックスを見出したことで知られている。
1966年、バードンと2代目ドラマーのバリー・ジェンキンス以外のメンバーが脱退。アニマルズは解散状態に陥った。
エリック・バードン&ジ・アニマルズ
[編集]バードンは本拠地をサンフランシスコへ移してエリック・バードン&ジ・アニマルズを結成した。彼等はウェストコースト・ロックの代表格であるグレイトフル・デッドやジェファーソン・エアプレインなどと共にシスコ・サウンドの一翼を担った。1967年6月に開かれたモントレー・ポップ・フェスティバルの初日に出演[6]。この時期の代表曲には「サンフランシスコの夜」(1967年)、「モントレー」(1967年)、「スカイ・パイロットト」(1968年)などがあり、「スカイ・パイロット」はサイケデリック・ロックの反戦歌とされている。
1968年4月にズート・マネー(キーボード、ベース、ボーカル)、同年7月に以前ズート・マネーズ・ビッグ・ロール・バンドとダンタリオンズ・チャリオットでマネーと共に活動した元ソフト・マシーンのアンディ・サマーズ[注釈 6](ギター)を迎え、10月に2枚組アルバム"Love Is"を発表した[注釈 7][7]。
エリック・バードン&ジ・アニマルズの日本公演は、当初1968年9月の予定だったが、ビザの取得に時間がかかったので同年11月に延期されて実現した[注釈 8]。ところが日本のプロモーターの正体は反社会的勢力だった。彼等が東京公演を終えて広島公演に向かう日の前の晩、プロモーターはマネージャーを監禁して来日の延期で損失した金額として$250,000を要求したうえ、翌日までにバンドと共に出国しなければメンバー共々危害を加えると脅した。マネージャーは$250,000の借用書に署名させられたが、幸いプロモーターには英語がわからなかったので、機転を利かせて借用書に「自分は銃を突きつけられているので署名した」と書き込んだ。彼等は既に広島に向けて運送されていた楽器や機材を全て諦めて、直ちに日本を去った[注釈 9][8][9]。バードンは帰国後、解散を決めた[10]。
その後
[編集]1975年および1983年にオリジナル・メンバーで一時的に再結成し、1983年は日本公演を行った。
メンバー
[編集]ディスコグラフィ
[編集]アルバム
[編集]アニマルズ
[編集]- 『ジ・アニマルズ』 - The Animals (1964年、US) / The Animals (1964年、UK)
- 『ジ・アニマルズ・オン・ツアー』 - The Animals on Tour (1965年、US)
- 『アニマル・トラックス』 - Animal Tracks (1965年、UK) / Animal Tracks (1965年、US)
- 『アニマリズムズ』 - Animalisms (1966年、UK) / Animalization (1966年、US)
- 『アニマリズム』 - Animalism (1966年、US)
- 『ビフォー・ウィー・ワー・ソー・ルードリー』 - Before We Were So Rudely Interrupted (1977年)
- 『アーク』 - Ark (1983年)
エリック・バードン&ジ・アニマルズ
[編集]- 『エリック・イズ・ヒア』 - Eric Is Here (1967年、US)[注釈 10]
- 『サンフランシスコの夜』 - Winds of Change (1967年) ※旧邦題『ウィンズ・オブ・チェンジ』
- 『野性の若者たち』 - The Twain Shall Meet (1968年) ※旧邦題『トウェイン・シャル・ミート』
- 『エヴリー・ワン・オブ・アス』 - Every One of Us (1968年、US)
- 『愛』 - Love Is (1968年) ※旧邦題『ラヴ・イズ』
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ライブがあまりにもワイルドで観客から"Animal!"という声が多くかかったことからバンド名にした、という由来が語られたことがあるが、バードンは2013年のインタビューで否定している。
- ^ 原題は’We Gotta Get out of This Place’で、作者はブリル・ビルディングを代表するソングライターのバリー・マンとシンシア・ワイルの夫婦。
- ^ スプリングスティーンはインタビューで、1970年代の自分の曲作りにおいて影響を受けた曲の1つであると語っている。
- ^ 70年代にサンタ・エスメラルダのカバーもヒットした。
- ^ 原題は'Inside-Looking Out'で、作者はアメリカ民族音楽の研究家だったジョン・ローマックスとアラン・ローマックスの父子とバードン、チャンドラー。
- ^ ザ・ポリスを経て、1980年代から2024年現在までソロ・ギタリスト、写真家として活動。
- ^ マネーとサマーズがダンタリオンズ・チャリオット時代に共作した'The Madman Running Through The Fields'のカバーを収録。
- ^ 11月11日に来日。メンバーはバードン、マネー、ジョニー・ウエイダー(ベース)、バリー・ジェンキンス(ドラムス)、サマーズ。
- ^ 全国で予定されていた14回のコンサートを行なわずに、10月17日早朝に離日した。
- ^ 1967年にバードンがバリー・ジェンキンスとオーケストラをバックに制作したアルバム。アメリカでエリック・バードン&ジ・アニマルズ名義で発表された。
出典
[編集]- ^ a b c d e Deming, Mark. The Animals Biography, Songs & Albums - オールミュージック. 2021年12月16日閲覧。
- ^ Rolling Stone. “100 Greatest Singers: Eric Burdon”. 2013年6月8日閲覧。
- ^ 白谷潔弘『ブルース・ロック・アンソロジー ブリティッシュ編』シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年、26頁。ISBN 9784401644926。
- ^ DoubleTake. “Will Percy Interviews Bruce Springsteen”. 2019年12月7日閲覧。
- ^ Rolling Stone. “500 Greatest Songs of All Time: The Animals, ‘We Gotta Get Out of This Place’”. 2019年12月7日閲覧。
- ^ 城山隆『僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」』情報センター出版局、2005年、353-357頁。ISBN 978-4795843622。
- ^ Summers (2006), p. 165.
- ^ Summers (2006), pp. 173–179.
- ^ 『アンディ・サマーズ ポリスの音響設計士』シンコーミュージック・エンタテイメント、2023年、214-217頁。ISBN 978-4-401-65413-0。
- ^ Summers (2006), pp. 178–180.
引用文献
[編集]- Summers, Andy (2006). One Train Later: A Memoir. London: Piatkus. ISBN 978-0-7499-5150-4
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト - (2024年3月3日時点のアーカイブ)
- The complete Animals discography from Music City
- アニマルズ - Discogs