アンリ・ドコワン
アンリ・ドコワン Henri Decoin | |
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1919年撮影 | |
本名 | Joseph Henri Decoin |
生年月日 | 1890年3月18日 |
没年月日 | 1969年7月4日(79歳没) |
出生地 | フランス共和国・パリ |
死没地 | フランス・パリ |
職業 | 映画監督、脚本家 |
活動期間 | 1925-1964 |
主な作品 | |
『心の高鳴り』(1940年) |
アンリ・ドコワン(Henri Decoin、1890年3月18日 パリ - 1969年7月4日 パリ)は、フランスの脚本家、映画監督である。
来歴・人物
[編集]ドコワンは、水泳と水球というスポーツ競技で有名になった。1912年のストックホルムオリンピックで、フランス大学スポーツクラブ(SCUF)とともに500メートル自由形のフランスのチャンピオンのひとりになった。第一次世界大戦中は飛行士であり、市民生活に復帰してスポーツ・ジャーナリストとなった[2]。『L'Auto』誌、『ラントランシジャン L'Intransigeant』紙、『パリ=ソワール Paris-Soir』紙に書いた。
30代になってからの1920年代に、ヴィクトル・トゥールジャンスキー、カルミネ・ガローネ、マリオ・カメリーニ、ジャン・ドレヴィルといった監督の助監督をつとめる。1920年代半ばには、モーリス・シャンプルー監督の『Le roi de la pédale』やルネ・ル・ソンプティエ監督の『Le p'tit parigot』など、脚本を書き始める。
1926年、注目すべきさるボクシングの試合の話『Quinze Rounds(15ラウンド)』を出版し、つづいて、演劇と映画のためにも書いた。1929年からアシスタントをし、シナリオ(とくにカルミネ・ガローネ監督の『掻払いの一夜 Un soir de rafle』)に署名をつづけ、1933年には43歳で『トボガン Toboggan』で映画監督としてデビューする[2]。
ドコワンはあらゆるジャンルへと切り替わっていった。シムノン原作の翻案(『家の中の見知らぬ者たち Les Inconnus dans la maison』、『ベベ・ドンジュの真相 La Vérité sur Bébé Donge』)、歴史もの(『L'Affaire des poisons』、『Le Masque de fer(鉄仮面)』)、スパイもの(『女猫 La Chatte』、探偵小説(『筋金を入れろ Razzia sur la chnouf』、『火薬に火 Le Feu aux poudres』)、心理ドラマ(『恋人たちは世にも孤独だ Les Amoureux sont seuls au monde』)…[2]。
彼の技術的権威とエネルギーは、彼の映画それぞれに「良質の映画」に直線的に位置づけるレッテルを与えた[2]。
1969年7月4日、パリで死去。79歳没。生涯において4回結婚をしており2番目の妻は女優ブランシュ・モンテル[2]。モンテルと離婚した翌年に3番目の妻となるダニエル・ダリューと結婚した(1935年 - 1941年9月6日離婚)。
フィルモグラフィー
[編集]- Toboggan(トボガン) 1933年
- Les Bleus du ciel 1933年
- Le Domino vert(緑のドミノ) 1935年 出演ダニエル・ダリュー
- 背信 Abus de confiance 1937年 出演ダニエル・ダリュー
- Mademoiselle ma mère 1937年 出演ダニエル・ダリュー
- 暁に帰る Retour à l'aube 1938年 出演ダニエル・ダリュー、ピエール・デュクス
- 心の高鳴りBattement de cœur 1940年 出演ダニエル・ダリュー、クロード・ドーファン
- Premier rendez-vous(初めてのランデヴー) 1941年 出演ダニエル・ダリュー、ルイ・ジュールダン
- 家の中の見知らぬ者たち Les Inconnus dans la maison 1942年 原作ジョルジュ・シムノン、主演レーミュ
- Mariage d'amour(愛の結婚) 1942年
- 求婚 Le Bienfaiteur 1942年 主演レーミュ
- L'Homme de Londres(ロンドンから来た男) 1943年 出演フェルナン・ルドゥー
- Je suis avec toi 1943年 出演ピエール・フレネー、フェルナン・ルドゥー
- 弾痕 La Fille du diable 1945年 出演ピエール・フレネー、フェルナン・ルドゥー
- Le Café du Cadran(カドランのカフェ) 1946年 監修 監督ジャン・ジェレ
- 偽りの果て Non coupable 1947年
- Les Amants du pont Saint-Jean(サン=ジャン橋の恋人たち) 1947年
- 恋人たちは世にも孤独だ Les Amoureux sont seuls au monde 1947年 出演ルイ・ジューヴェ、ダニー・ロバン
- 真夜中まで Entre onze heures et minuit 1948年 出演ルイ・ジューヴェ、マドレーヌ・ロバンソン
- Au grand balcon 1949年 出演ピエール・フレネー ※第3回カンヌ国際映画祭コンペティション出品
- Trois télégrammes(三通の電報) 1950年
- Clara de Montargis 1951年
- Le Désir et l'amour(欲望と愛) 1951年 主演マルティーヌ・キャロル
- ベベ・ドンジュの真相 La Vérité sur Bébé Donge 1951年 原作ジョルジュ・シムノン、出演ジャン・ギャバン、ダニエル・ダリュー
- Les Amants de Tolède(トレドの恋人たち) 1952年 主演アリダ・ヴァリ
- 寝台の秘密 Secrets d'alcôve オムニバス、第一話『宿泊許可書』 1953年 参加監督ジャンニ・フランチョリーニ、ラルフ・アビブ、ジャン・ドラノワ、助監督ミシェル・ドヴィル 仏伊合作
- 上級生の寢室 Dortoir des grandes 1953年 出演ジャン・マレー、フランソワーズ・アルヌール、ジャンヌ・モロー
- Bonnes à tuer 1954年 主演ダニエル・ダリュー
- 筋金を入れろ Razzia sur la chnouf 1954年 出演ジャン・ギャバン、マガリ・ノエル、助監督ミシェル・ドヴィル
- Les Intrigantes(女冒険家たち) 1954年 出演ルイ・ド・フュネス、レイモン・ルルー、ジャンヌ・モロー
- L'Affaire des poisons 1955年 主演ダニエル・ダリュー
- 巴里の不夜城 Folies-Bergère 1957年 主演エディ・コンスタンティーヌ
- 火薬に火 Le Feu aux poudres 1957年 主演リノ・ヴァンチュラ
- Tous peuvent me tuer 1957年 主演アヌーク・エメ
- Charmants garçons(かわいい男の子たち) 1957年 主演ジジ・ジャンメール
- 女猫 La Chatte 1958年 出演ベルナール・ブリエ、フランソワーズ・アルヌール、助監督ミシェル・ドヴィル
- Pourquoi viens-tu si tard ? 1958年 出演ミシェル・モルガン、アンリ・ヴィダル
- La Chatte sort ses griffes 1959年 主演フランソワーズ・アルヌール
- ナタリー危機一髪 Nathalie, agent secret 1959年
- やさしく激しく Tendre et violente Élisabeth 1960年
- Maléfices 1961年 主演ジュリエット・グレコ
- フランス女性と恋愛 La Française et l'amour オムニバス 1961年 参加監督ジャン・ドラノワ、ミシェル・ボワロン、ルネ・クレール、アンリ・ヴェルヌイユ、クリスチャン=ジャック、ジャン=ポール・ル・シャノワ
- Le Pavé de Paris 1961年
- Le Masque de fer 1962年(鉄仮面) 主演ジャン・マレー
- カサブランカの夜 Casablanca nid d'espions 1963年
- Parias de la gloire 1963年 出演クルト・ユルゲンス、モーリス・ロネ
- Nick Carter va tout casser(ニック・カーターがすべてを壊す) 1964年 製作アンドレ・ミシュラン、主演エディ・コンスタンティーヌ
註
[編集]- ^ Internet Movie DatabaseのHenri Decoinの項に1896年とあるのは誤り。
- ^ a b c d e 仏語版WikipediaHenri Decoinの項の記述より。
外部リンク
[編集]- Henri Decoin - IMDb 英語
- Henri Decoin - BiFi 仏語