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イソスミレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イソスミレ
新潟県村上市 2020年5月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : マメ類 Fabids
: キントラノオ目 Malpighiales
: スミレ科 Violaceae
: スミレ属 Viola
: イソスミレ V. grayi
学名
Viola grayi Franch. et Sav.[1]
シノニム
和名
イソスミレ(磯菫)[5][6]

イソスミレ(磯菫、学名:Viola grayi)はスミレ科スミレ属多年草[5][6][7][8][9]。別名、セナミスミレ(瀬波菫)[5]、ケイソスミレ、イソタチツボスミレ[1]

特徴

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有茎の種。高さは15 - 20 cmになる。地下茎は太く長く発達し、垂直に伸び、長さ0.3 - 1 mに達し、肥厚して木質化する。多数の地上茎を分枝させ、しばしば大株になり、径50 cmに達する。根出葉の葉身は質が厚く光沢があり、表面が内側に巻き、心形で、花時に長さ幅ともに1 - 2.5 cm、花後に3.5 - 4 cmになり、先は鋭頭または短くとがり、基部は心形、縁には波状の鋸歯があり、両面ともに無毛。葉の表面は濃緑色で、裏面は淡緑色になる。基部にある托葉は狭卵形で、縁は羽状に浅裂-深裂する。葉柄は長さ3-5cmになり、無毛[5][6][7][8][9]

花期は4月から5月。花柄は根出葉および茎葉の腋から伸び、葉より高く抜く出てをつける。花は径2 - 2.5 cmと大きく、濃紫色から淡紫色。花弁は長さ13 - 15 mm、花弁の先は円みを帯び、側弁の基部は無毛。唇弁の距は太く短く、長さ約5 mmで、白色。片は広披針形で、先端は鋭突頭。雄蕊は5個あり、花柱は筒形になり、柱頭は下向きに突き出る。染色体数は2n=20[5][6][7][8][9]

1株に20から30以上の花が咲く個体もある[7]。太平洋側では花弁の幅が狭く、花色は淡紫色に、日本海側では花弁の幅が広く円く、花色が濃紫色にになる傾向がある[8]

分布と生育環境

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日本固有種[10]。北海道(太平洋側では日高地方、日本海側では石狩地方以南)、本州(太平洋側では青森県、日本海側では青森県から鳥取県まで)に分布し[6]、砂浜海岸、砂丘、それらに隣接するクロマツ林の林床や林縁に生育する[8]ハマハタザオや低木が生える場所に見られる[5]

名前の由来

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和名のイソスミレは「磯菫」の意[5][6]

種小名(種形容語)grayi は、エイサ・グレイへの献名[11]

セナミスミレ

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別名のセナミスミレは、1928年に牧野富太郎新潟県瀬波海岸を訪れた際に、海岸砂丘のイソスミレが大株になっているので、「セナミスミレ」と呼ぶのがふさわしいと提唱したもの[12]。その後、中井猛之進によって1939年に正式にイソスミレとは異なる新種として記載命名された[13]。中井は、「イソスミレよりも遅れて開花する。地上茎は1平方メートル四方に拡がり、大きな株になる。花はイソスミレよりも美しく距は白い。産地名を採って瀬波スミレ Viola senamiensis Nakaiと命ずる」とした[13]。しかし、現在はイソスミレのシノニムとされる[2]

保全状況評価

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絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

(2019年、環境省)

ギャラリー

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交雑種

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出典

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  1. ^ a b イソスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b イソスミレ(シノニム)、別名、セナミスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ イソスミレ(シノニム)、別名、イソタチツボスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ イソスミレ(シノニム)、別名、セナミスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ a b c d e f g 山田隆彦『スミレハンドブック』文一総合出版、2010年、41頁。ISBN 978-4829910771 
  6. ^ a b c d e f 林弥栄初版監修、門田裕一改訂版監修、平野隆久写真、畔上能力他解説『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花(増補改訂新版)』山と溪谷社、2013年、323頁。ISBN 978-4635070195 
  7. ^ a b c d 矢原徹一他監修『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプランツ 増補改訂新版』山と溪谷社、2015年、253頁。ISBN 978-4635090452 
  8. ^ a b c d e 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 3』平凡社、2016年、225頁。ISBN 9784582535334 
  9. ^ a b c 牧野富太郎原著 著、邑田仁、米倉浩司編集 編『新分類 牧野日本植物図鑑』北隆館、2017年、717頁。ISBN 978-4832610514 .
  10. ^ 加藤雅啓、海老原淳編著『日本の固有植物』東海大学出版会、2011年、93-94頁。ISBN 978-4-486-01897-1 
  11. ^ 牧野 2017, p. 1495.
  12. ^ 瀬波海岸に自生するセナミスミレの保全: 第5章 施策の展開” (PDF). 新潟県生物多様性地域計画. 新潟県. pp. 59-60 (2017年). 2020年7月1日閲覧。
  13. ^ a b 中井猛之進 (1939). “東亜植物拾遺(其八)”. 植物研究雑誌 The Journal of Japanese Botany 15 (7): 403-406, 408. http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_015_401_421.pdf. 
  14. ^ a b エチゴタチツボスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献

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関連項目

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