コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

イソッタ・フラスキーニ・ティーポ6 LMH-C

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イソッタ・フラスキーニ・ティーポ6-C
カテゴリー LMH
コンストラクター イタリアの旗 イソッタ・フラスキーニ英語版
イタリアの旗 ミケロット
主要諸元
シャシー カーボンファイバーモノコック
サスペンション(前) 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
サスペンション(後) 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
エンジン HWA 3.0 L V6 + モーター ターボ ミッドシップ, 縦置き
トランスミッション 7速 X Trac社製シーケンシャルセミオートマチック
重量 1,030 kg
タイヤ ミシュラン
主要成績
チーム イタリアの旗 イソッタ・フラスキーニ
初戦 2024年のカタール1812kmレース
最終戦 2024年のサンパウロ6時間レース
出走優勝表彰台ポールFラップ
50000
テンプレートを表示

イソッタ・フラスキーニ・ティーポ6 LMH コンペティツィオーネ (Isotta Fraschini Tipo6 LMH Competizione) は、イソッタ・フラスキーニ英語版ル・マン・ハイパーカー(LMH)規定に基づき、FIA 世界耐久選手権(WEC)への参戦用に開発されたプロトタイプレーシングカーティーポ6 LMH-Cや、ティーポ6-Cとも表記される。

概要

[編集]

かつて高級車を製造していたイタリアのイソッタ・フラスキーニがブランドの復活とともに、2022年10月にFIA 世界耐久選手権(WEC)への参戦を表明し[1]、翌年の3月に正式な発表を行ったル・マン・ハイパーカー(LMH)規格の車両である[2]。開発はコンポジットメーカーのARSや長年フェラーリのレーシングカー開発を行ってきたミケロット(いずれもイタリア)が担当し、空力開発はウィリアムズの風洞で行う[3]

エンジンはドイツのHWAと共同で開発した3リットルV6シングルターボを搭載、加えてフロントアクスルにボッシュ製の200kW(約270馬力)ハイブリッドシステムを搭載し、最大700馬力の四輪駆動車となる[2][注 1]グリッケンハウスヴァンウォールはいずれもノンハイブリッドで開発したため、プライベーター系チームのLMH車両としては初のハイブリッド車両となる。

発表後は2023年4月にシェイクダウン[5]、7月にモンツァでテストおよびデモ走行[6][7]、それ以降もイタリアでのテスト走行[8][9]を重ね、当初の目標であった2023年中のスポット参戦によるデビューこそならなかったものの、2024年シーズンで参戦[10]。同年のル・マンは完走したものの、ノーポイントで後述の通りシーズン途中で撤退し、2025年のエントリーリストにも名前は無かった[11]

なお、市販車両としてサーキット走行用のPista(ピスタ)および公道走行可能なStrada(ストラーダ)も計画されており、前者はモンツァでのデモラン後にコンペティツィオーネ仕様に換装[9][12]、後者は2023年の11月にミラノ市内と思われる場所を実際に走行している様子が投稿されている[13]

レース活動

[編集]

2024年

[編集]

2024年シーズンからデビューし、WECでの車両名はIsotta Fraschini Tipo6-C[14]となる。当初はイギリスのベクター・スポーツと提携していたが[15]、ベクター・スポーツがイソッタ側の契約違反を訴えてプログラムから離脱し[16]、フランスのデュケーヌがチーム運営を行う[10]

当初のエントリーリストでは、ドライバーはジャン=カール・ベルネイと2023年のヨーロピアン・ル・マン・シリーズでLMP3クラスチャンピオンとなったアレッハンドロ・ガルシアの2名が起用されると発表されていたが、2月に体制変更を発表。ガルシアに代わり、アロンソ・アカデミー出身のドライバーであるカール・ベネット英語版が起用された。これに、アントニオ・セッラバッレ英語版を加えた3名で参戦する。

第6戦(ローン・スター・ル・マン)を前にした8月21日、突如としてWECからの即時撤退を表明した。理由としてはチーム運営をしていたデュケーヌとの「意見の不一致」によるものである[17]

戦績

[編集]

FIA 世界耐久選手権

[編集]
チーム クラス No. ドライバー Rds. 1 2 3 4 5 6 7 8 Pts. Pos.
2024 イタリアの旗 イソッタ・フラスキーニ ハイパーカー 11 カナダの旗 アントニオ・セッラバッレ英語版 1-5 QAT
Ret
IMO
17
SPA
15
LMS
14
SÃO
Ret
COA FUJ BHR 0 9位
タイ王国の旗 カール・ベネット英語版 1-5
フランスの旗 ジャン=カール・ベルネイ 1-5

脚注

[編集]
  1. ^ イソッタ・フラスキーニ、2023年の参戦を目指す新型ル・マン・ハイパーカーを突如発表 | ル・マン/WEC | autosport web”. AUTO SPORT web (2022年10月22日). 2023年11月29日閲覧。
  2. ^ a b イソッタ・フラスキーニ、WEC参戦目指す新型ル・マン・ハイパーカー『ティーポ6 LMH コンペティツィオーネ』を発表 | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2023年3月1日). 2023年11月29日閲覧。
  3. ^ 今年のWECモンツァ戦から登場? 復活のイソッタ・フラスキーニ、新型ル・マン・ハイパーカー『ティーポ6』を公開”. jp.motorsport.com (2023年3月1日). 2023年11月29日閲覧。
  4. ^ [1]
  5. ^ WEC参戦を目指すイソッタ・フラスキーニ、新開発ハイブリッドLMHマシンをシェイダウン | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2023年4月12日). 2023年11月29日閲覧。
  6. ^ WEC参戦を目指すイソッタ・フラスキーニ、2回目となる新型LMHのテストをモンツァで実施 | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2023年5月19日). 2023年11月29日閲覧。
  7. ^ トヨタもル・マン仕様継続/リザルト確定は未定/来週ランボルギーニLMDh発表etc.【WECモンツァ木曜Topics】 | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2023年7月7日). 2023年11月29日閲覧。
  8. ^ 新生イソッタ・フラスキーニ、WECハイパーカーデビューを最終戦バーレーンに延期。ホモロゲ取得に向けLMH熟成進める”. jp.motorsport.com (2023年5月9日). 2023年11月29日閲覧。
  9. ^ a b ハイパーカー参入目指すイソッタ・フラスキーニがイタリアで集中テスト。最終戦への参戦は断念 | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2023年7月14日). 2023年11月29日閲覧。
  10. ^ a b 念願のWEC参戦果たすイソッタ・フラスキーニ、2024年のデビューシーズンはデュケーヌと提携 | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2023年11月27日). 2023年11月29日閲覧。
  11. ^ 2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦 | ル・マン/WEC”. autosport web (2024年11月22日). 2024年12月11日閲覧。
  12. ^ 新生イソッタ・フラスキーニ、来季WECハイパーカークラスに2台投入を計画。6つ目のLMHメーカーに”. jp.motorsport.com (2023年9月10日). 2023年11月29日閲覧。
  13. ^ [2]
  14. ^ 2024 FIA WEC entry list features 14 manufacturers and record number of Hypercars” (英語). www.fiawec.com (2023年11月27日). 2023年11月29日閲覧。
  15. ^ WECハイパーカー参戦を目指すイソッタ・フラスキーニ、英国のLMP2チームとパートナー契約を締結 | ル・マン/WEC | autosport web”. AUTO SPORT web (2022年12月30日). 2023年11月29日閲覧。
  16. ^ ベクター・スポーツがイソッタ・フラスキーニへの関与停止を発表。LMHメーカーの契約違反を主張 | ル・マン/WEC | autosport web”. AUTO SPORT web (2023年11月27日). 2023年11月29日閲覧。
  17. ^ イソッタ・フラスキーニ、WECからの即時撤退を発表。富士6時間含むシーズン残り3戦不参加へ”. jp.motorsport.com (2024年8月22日). 2024年8月22日閲覧。

注釈

[編集]
  1. ^ イソッタ・フラスキーニの公式Xアカウントでは単体で720馬力を発揮するバンク角90°のV6シングルターボエンジンと説明している[4]

関連項目

[編集]