イラ
イラ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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イラ Choerodon azurio
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保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
DATA DEFICIENT (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Choerodon azurio (Jordan & Snyder, 1901) | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
Jordan & Snyder, 1901 | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
イラ イソアマダイなど(本文参照) | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Scarbreast tuskfin Scarbreast turkfish[1] |
イラ (伊良[2]、苛魚、Choerodon azurio) は、スズキ目ベラ亜目ベラ科に属する魚の一種。
分布
[編集]南日本[3](本州中部地方以南[4][5])、台湾[2][4]、朝鮮半島[4][5]、シナ海[1][5](東シナ海、南シナ海[4])に生息する。
形態
[編集]全長約40[1][2][5]-45cm[3][4]。背鰭12棘(11-14棘[4])7軟条、臀鰭3棘10軟条[1]。体は楕円形でやや長く、側扁である[1][3]。また、イラ属はベラ科魚類の中では体高が高い[5]。額から上顎までの傾斜が急で、アマダイを寸詰まりにしたようである[2]。老成魚の雄は前額部が隆起・肥大し[1]、吻部の外郭は垂直に近くなる[4]。アマダイより鱗が大きい[2]。両顎歯は門歯状には癒合せず[4]、癒合し鋸歯縁のある隆起線をつくる[1]。しかしブダイ科魚類のように歯板を形成することはない[5]。前部に最低1対の大きな犬歯状の歯(後犬歯[1])がある[4]。側線は一続きで、緩やかにカーブする[4]。前鰓蓋骨の後縁は細かい鋸歯状となる[1]。尾鰭後縁はやや丸い[1]。
体色は紅褐色[1]から暗紅色で腹側は色が薄く[2]、尾鰭は濃い[2]。口唇は青色[1]で、鰭の端は青い。背鰭と腹鰭、臀鰭は黄色。背鰭棘部の中央から胸鰭基部にかけ、不明瞭で幅広い黒褐色の斜走帯が走る[1][2][3][5]。その帯の後ろを沿うように白色斜走帯(淡色域[3])がある[4][5]。幼魚にはこの斜走帯はない[4]。雌雄の体色や斑紋の差が大きい[5]。
生態
[編集]沿岸のやや深い岩礁域[1][4][5]やその周りの砂礫底に見られ[2]、単独でいることが多い[2]。日本近海での産卵期は夏[2][4]。夜は岩陰や岩穴などに隠れて眠る[2][4][5]。
食性
[編集]付着生物[2]や底生動物などを食べる肉食性[4]。これはイラ属の魚類に共通する[4]。
利用
[編集]食用だが、肉は柔らかく[1][2]、うまく捌けば上品な白身だが、評価は普通[3]または不味[1][2][4]と分かれる。また水っぽいという意見もある[5]。他種と混獲される程度で漁獲量も少なく、あまり利用されない[2]。 刺身、煮つけ[2]などにされる。
名称
[編集]由来
[編集]和名の由来は以下の説がある。
- 性質が苛々していることから「苛魚」の意という説。
- イザ(斑紋)の転訛だという説。
地方名
[編集]地域によって、いろいろな名前で呼ばれる。(以下、五十音順。カッコ内は呼ばれる地域、もしくは漢字表記。) 名前からテンスやアマダイ、ブダイ、カンダイと混同されていることがわかる。
アマ[1](和歌山県太地町)、アマダイ[1](甘鯛)、イザ(斑紋)、イソアマダイ[1](和歌山県)(磯甘鯛)、イダ、オキノアマダイ[2](沖甘鯛)カンダイ[1][2](東京)、カンノダイ[1]、クジ、ケサ(静岡県沼津)(袈裟)、コス、コンス、タツ(愛知県一色)、テス[1][2](和歌浦、鳥羽、高知)[5]、テスコベ[1](三重県尾鷲)、ナベ(鍋)、ナベワリ(鍋割)、ハト[1](福岡県志賀島)(鳩)、ハトノメ(愛知県熱田)(鳩の目)、バンド[1](愛媛県愛南町)、ブダイ(武鯛)、ベルト(愛媛県愛南町)、ホテイ(神奈川県江ノ島)(布袋)、モクズ[1](富山県)(藻屑)、モブシ[1](和歌山県雑賀崎)(藻伏魚)、モムシなど数多い。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 阿部,1987,p.711(No.2841)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 木村,2000,p181
- ^ a b c d e f 小西,2011,p.232
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 岡村・尼岡,1997,p.464-465
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 蒲原・岡村,1985,p.68(No.334,Plate.67)
出典
[編集]- 阿部宗明『原色魚類大圖鑑』(初版)北隆館、1987年11月25日、711頁。ISBN 4832600087。
- 木村義志『フィールドベスト図鑑7 日本の海水魚』(初版)GAKKEN、1998年8月4日、181頁。ISBN 4054011217。
- 小西英人『釣魚1400種図鑑』(初版)エンターブレイン、2011年3月28日、232頁。ISBN 9784047271807。
- 岡村収・尼岡邦夫『山溪カラー名鑑 日本の海水魚』山と溪谷社、1997年8月20日、464-465頁。ISBN 9784635090278。
- 蒲原稔治・岡村収『原色日本海水魚類図鑑Ⅰ』保育社、1985年7月31日、68頁。ISBN 4586300728。