イープル・ラリー
イープル・ラリー (Ypres Rally ) は、ベルギーのイープルを中心に開催されるラリーイベント。ヨーロッパラリー選手権 (ERC)の他 、インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ (IRC) などの一戦として開催されてきた。2021年に初めて世界ラリー選手権 (WRC) のカレンダーに加わった。
概要
[編集]初開催は1965年。1974年よりERCのイベントに加わり、ヨーロッパ屈指の難ラリーとして知られる。また、2006年から2012年までIRCと併催された。
2017年にERCとの関係を終え、ツアー・ヨーロッパ・ラリーシリーズ (TER、スペイン語版、オランダ語版) 、イギリスラリー選手権 (BRC) との併催に切り替えた。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大(コロナ禍)により予定されていたWRCイベントが相次いで開催中止となる中、イープルがラリージャパンの代替候補となった[1]。第7戦として11月に開催する予定だったが、ベルギー国内で感染が再拡大したため3週間前にキャンセルとなった[2]。
2021年はリザーブ登録だったが、ラリーGBが開催を断念したため、イープル・ラリー・ベルギー (Ypres Rally Belgium) としてWRCカレンダーに加わった[3]。最終日はベルギー国内を東へ300km近く横断し、F1ベルギーグランプリやスパ24時間で知られるスパ・フランコルシャンサーキットを使用するステージが組まれた[4]。
2022年は正式にカレンダー入りし、従来通りイープル周辺のコンパクトなステージで行われた[5]。
特徴
[編集]ベルギー北西部、フランデレン地域の商業都市イープルの周辺に広がる農地をステージにしたターマックラリー。市内の伝統的な市場グローテ・マルクトにサービスパークが置かれる。例年6月に開催されてきたが、WRCカレンダーでは8月に開催されている[6]。
ステージの大部分となる農道は道幅が狭く、かつアベレージスピードは高く、道の脇にディッチ(排水溝)や電柱が並んでいるため、わずかなミスがリタイアにつながる危険がある。また、交差点でのクイックターンが多く、インカットする車が多いため路肩の土が掻き出され、路面が滑りやすくなる。
2021年のイベント最終日は、スパ・フランコルシャン近隣の村から一般道を走り、サーキット敷地内の連絡道を通って本コースの一部を走行するルートが設定された。SS17/SS19「スタブロー」はコース最高地点からの下り区間(レ・コームからスタブローまで)を使用。SS18/SS20「フランコルシャン」はコース前半部分(ホームストレートからレ・コーム、オー・ルージュ)を通過し、ラディオンの登り坂で左にUターンし、世界ラリークロス選手権で使用するダートコースに入ってフィニッシュする[7]。
歴代勝者
[編集]年 | シリーズ | 優勝者 | 車輌 | |
---|---|---|---|---|
ドライバー | コ・ドライバー | |||
2006年 | ERC IRC |
ジャンドメニコ・バッソ | Mitia Dotta | フィアット・アバルト・グランデプントS2000 |
2007年 | ルカ・ロセッティ | Matteo Chiarcossi | プジョー・207 S2000 | |
2008年 | フレディ・ロイクス | Robin Buysmans | プジョー・207 S2000 | |
2009年 | クリス・ミーク | ポール・ネイグル | プジョー・207 S2000 | |
2010年 | フレディ・ロイクス | Frédéric Miclotte | シュコダ・ファビア S2000 | |
2011年 | フレディ・ロイクス | Frédéric Miclotte | シュコダ・ファビア S2000 | |
2012年 | ユホ・ハンニネン | ミッコ・マルクラ | シュコダ・ファビア S2000 | |
2013年 | ERC | フレディ・ロイクス | Frédéric Miclotte | シュコダ・ファビア S2000 |
2014年 | フレディ・ロイクス | Johan Gitsels | シュコダ・ファビア S2000 | |
2015年 | フレディ・ロイクス | Johan Gitsels | シュコダ・ファビア R5 | |
2016年 | フレディ・ロイクス | Johan Gitsels | シュコダ・ファビア R5 | |
2017年 | ケビン・アッブリング | Pieter Tsjoen | プジョー・208 T16 | |
2018年 | ティエリー・ヌービル | ニコラ・ジルソール | ヒュンダイ・i20 R5 | |
2019年 | クレイグ・ブリーン | ポール・ネイグル | フォルクスワーゲン・ポロ GTI R5 | |
2020年 | 中止 | |||
2021年 | WRC | ティエリー・ヌービル | マルティン・ウィダグ | ヒュンダイ・i20クーペWRC |
2022年 | オィット・タナック | マルティン・ヤルヴェオヤ | ヒョンデ・i20 N ラリー1 |
脚注
[編集]- ^ “WRCプロモーターがラリージャパンの代替としてイプルーのWRC入りを発表”. Rally+.net. (2020年8月19日) 2022年9月12日閲覧。
- ^ “【WRC】11月ベルギー戦はキャンセル…コロナの影響、再び深刻に”. レスポンス. (2020年10月31日) 2021年9月12日閲覧。
- ^ “WRC:ラリーGB開催断念。ベルギー・イープルの2021年カレンダー追加が決定”. autosport web. (2021年1月9日) 2022年9月12日閲覧。
- ^ “WRCベルギー事前情報:シリーズ初開催。歴史あるターマックラリー”. Rally+.net. (2021年8月21日) 2022年9月12日閲覧。
- ^ “WRCベルギー事前情報:路面変化の激しい難関ターマックラリー”. Rally+.net. (2022年8月17日) 2021年9月12日閲覧。
- ^ “WRCイープルは8月中旬開催、スパ・フランコルシャンも使用へ調整”. Rally+.net. (2021年1月9日) 2022年9月12日閲覧。
- ^ “ヌーヴィルが母国ベルギー優勝、ヒュンダイが1-2”. ラリーXモバイル. (2021年8月16日) 2022年9月12日閲覧。
外部リンク
[編集]- Ypres Rally - Official Site