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プー あくまのくまさん

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

プー
あくまのくまさん
Winnie-the-Pooh: Blood and Honey
監督 リース・フレイク=ウォーターフィールド
脚本 リース・フレイク=ウォーターフィールド
原作 A.A.ミルン
E.H.シェパード
(キャラクター創作)
製作 リース・フレイク=ウォーターフィールド
スコット・ジェフリー
製作総指揮 スチュアート・オルソン
ニコール・ホランド
出演者 マリア・テイラー
ニコライ・レオン
ナターシャ・ローズ・ミルズ
アンバー・ドイグ・ソーン
ダニエル・ロナルド
ナターシャ・トシーニ
クレイグ・デビッド・ドーセット
クリストファー・コーデル
音楽 アンドリュー・スコット・ベル
撮影 ヴィンス・ナイト
編集 リース・フレイク=ウォーターフィールド
製作会社 Jagged Edge Productions
ITN Studios
配給 イギリスの旗 Altitude Film Distribution
日本の旗 アルバトロス・フィルム
公開 イギリスの旗 2023年3月10日[1][2]
日本の旗 2023年6月23日[3]
上映時間 84分
製作国 イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 $100,000[4]
興行収入 イギリスの旗 $25,497[5]
世界の旗 $4,186,127[5]
次作 プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち
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プー あくまのくまさん』(原題:Winnie-the-Pooh: Blood and Honey)は、2023年に制作されたイギリスのアトラクション・ホラー映画。原作である児童小説2010年代後半から2020年代前半にかけて、世界各国で著作権の保護期間が相次いで終了しパブリックドメイン化されたことで実現した、ザ・ツイステッド・チャイルドフッド・ユニバース(総称:プーニバース)プロジェクトの1作目[6]R15+指定。

キャッチコピーは「はちみつはもう飽きた。

概要

2017年5月21日にパブリックドメインとなった、A・A・ミルンによる児童小説クマのプーさん[3][7]をホラー映画化した作品である[9][3][10]。リース・フレイク=ウォーターフィールドが監督、脚本、編集、製作を担当した。

あらすじ

青年になったクリストファー・ロビンは、大学進学のためプーとピグレットを森に残して旅立ってしまう。時が経ち、婚約者のメアリーを連れて森に戻ってきたロビンだったが、そこで目にしたのは血に飢えて野生化してしまったプーとピグレットの異様な姿だった。

キャスト

※括弧内は日本語吹替

マリア
演 - マリア・テイラー(河村梨恵
クリストファー・ロビン
演 - ニコライ・レオン(石毛翔弥
ジェシカ
演 - ナターシャ・ローズ・ミルズ(横山友香
アリス
演 - アンバー・ドイグ・ソーン(夏葵)
ゾーイ
演 - ダニエル・ロナルド(葛原詩織
ララ
演 - ナターシャ・トシーニ(阿部彬名
メアリー
演 - ポーラ・コイズ
ティナ
演 - メイ・ケリー
シャーリーン
演 - ダニエル・スコット
プー
演 - クレイグ・デビッド・ドーセット(かぬか光明
ピグレット
演 - クリストファー・コーデル(相馬康一

スタッフ

  • 監督・脚本・編集・製作:リース・フレイク=ウォーターフィールド
  • 音楽:アンドリュー・スコット・ベル
  • 撮影:ヴィンス・ナイト
  • 製作総指揮:スチュアート・オルソン、ニコール・ホランド
  • 製作:スコット・ジェフリー

日本語版スタッフ

公開

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では2023年2月15日に劇場公開し、初日は『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を抜いて全米3位に入る快挙を見せた[11]。しかし、当初から期間限定を前提とした劇場公開だったこともあり、翌日以降は上映館が縮小し、9日間で劇場での上映を終了した[11][12]

日本

日本では2023年6月23日に劇場公開することが同年3月31日に発表された[3]。直訳タイトルは「クマのプーさん 血とはちみつ」だが、邦題については「くまのプーさん」が日本国内で商標登録されていることに配慮し、前述のタイトルになったとしている。本作品の映画配給を担当しているアルバトロス・フィルムの宣伝担当者はSNS上にて話題になった影響で若年層の来場が多いとしている[13]

香港・マカオ

香港マカオでは2023年3月23日に上映を予定していたが、検閲を担当する香港当局による許可が下りていたにもかかわらず、直前の同月21日に急遽上映中止が発表された。クマのプーさんは中国共産党では習近平総書記最高指導者)を揶揄するキャラクターとしてあらゆる使用が禁止されていることから、 映画館側が習近平に配慮して上映を中止したのではないかという憶測を呼んでいる[14][15][16]

評価

興行収入

制作費およそ10万ドルと低予算の作品ではあるが、2023年に最も期待する映画ランキング(IMDb)では上位にランクイン。そして封切られるやいなや全世界でスマッシュヒットを連発、総収入420万ドルを記録した。

批評

評価は低く、エンターテインメント情報サイトのIGNは「引きのあるアイデアが多くの人々の注目を集めたが、期待を裏切られた。このおもしろみのないホラーパロディにはもやもやとした気持ちになるだろう。キャラクターデザインのおもしろみもかなり早い段階で失われてしまう。野生化したという設定のはずが、動物らしいのはフルフェイスのマスクだけだ。それも、毛皮などもない上に表情が乏しい。低予算ホラーの基準に照らしても手抜きでしかなく、もっと説得力のあるものにしようとかいった工夫すらない。注意が払われているのは、どれだけ残虐シーンを血生臭くできるかということだけのように感じる。ディズニーパークで働く人の9割がアルバイトであることなどディズニーに対する批判や、皮肉などちょっとしたメッセージも全くない。ただいたずらにオリジナルのプーさんを攻撃しただけになってしまった。さらに、ピントを合わせないカメラマン、異なるトーンを混ぜ合わせる監督、画面も暗く、そもそも映像として見づらい。映画制作の最も基本的な要素さえ押さえていないことにはがっかりした。本家の甘いはちみつ好きのプーさんが許さないほど、すっぱい味わいになってしまった。」と総評されている[17]

映画評論サイトのRotten Tomatoesにおいても、批評家スコア4%の低評価を叩きだし、「史上最低評価の映画100」にランクインしたことが2023年3月に発表された[11]

受賞歴

映画賞 授賞式 部門 対象 結果 出典
第44回ゴールデンラズベリー賞 2024年3月9日 最低作品賞 『プー あくまのくまさん』 受賞 [18][19]
最低監督賞 リース・フレイク=ウォーターフィールド
最低スクリーンカップル賞 血に飢えた切り裂き魔/殺人鬼としてのプー&ピグレッド
最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞 『プー あくまのくまさん』
最低脚本賞 リース・フレイク=ウォーターフィールド

後年の展開

評価の方は散々だったが、興行としては好調な滑り出しを見せたリース・フレイク=ウォーターフィールドは、2024年3月にザ・ツイステッド・チャイルドフッド・ユニバースの一作として『Poohniverse: Monsters Assemble』を2025年に公開予定であることを発表。続編となる『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』を皮切りに、ピーター・パンのホラー映画『Peter Pan’s Neverland Nightmare』や殺人バンビを描く『Bambi: The Reckoning』、さらには魑魅魍魎となったピノキオが大暴れする『Pinocchio Unstrung』と続き、クロスオーバー企画『Poohniverse: Monsters Assemble』に直結するという。製作会社であるITN Studiosはその後もプーニバースプロジェクトとは無関係であるものの、『シン・デレラ』といった名作童話のホラー映画化を果たしている。

映像ソフト

2023年12月6日にアルバトロスよりBlu-ray並びにDVDが発売された。日本語吹替版が収録されており、ディズニー版くまのプーさんの実写作品『プーと大人になった僕』でプー役を引き継いだかぬか光明が本作でも同役を担当している。

脚注・出典

  1. ^ Winnie the Pooh horror movie confirms UK release in cinemas”. Digital Spy (10 February 2023). 16 February 2023時点のオリジナルよりアーカイブ16 February 2023閲覧。
  2. ^ Madden, Emma. “The gory new Winnie the Pooh horror causing a storm”. BBC. 16 February 2023時点のオリジナルよりアーカイブ16 February 2023閲覧。
  3. ^ a b c d 馬淵寛昭 (2023年3月31日). “「くまのプーさん」のホラー映画が6月23日に日本公開決定!邦題は『プー あくまのくまさん』 殺意にまみれたプーさんが迫りくる”. IGN Japan. 2023年3月31日閲覧。
  4. ^ Yossman, K. J. (7 February 2023). “'Winnie the Pooh: Blood and Honey': Inside the Viral Micro-Budget Slasher Hoping to Slay the Box Office (EXCLUSIVE)”. Variety. 8 February 2023時点のオリジナルよりアーカイブ8 February 2023閲覧。 “Frake-Waterfield’s production company Jagged Edge and ITN Films, which co-financed the project, declined to give the exact budget for "Pooh" but indicated it was under $100,000”
  5. ^ a b Winnie the Pooh: Blood and Honey (2023)”. Box Office Mojo. IMDb. 24 February 2023閲覧。
  6. ^ “クマのプーさん&ピグレットが登場するホラー映画『Winnie the Pooh: Blood and Honey』予告編”. cinemacafe.net. (2022年9月1日). https://s.cinemacafe.net/article/2022/09/01/80606.html 2023年3月25日閲覧。 
  7. ^ tks24 (2017年5月15日). “「くまのプーさん」が5月21日にパブリックドメイン入り、注意すべきポイントとは?”. INTERNET Watch. 2023年3月31日閲覧。
  8. ^ Thomas Buckley (2023年2月17日). “「くまのプーさん」、新作映画で殺人鬼に-著作権切れで恐ろしい変貌”. Bloomberg.com. 2023年3月31日閲覧。
  9. ^ 但し、ウォルト・ディズニー・カンパニーが制作した同社版くまのプーさんは引き続き著作権の保護期間が継続している[8]
  10. ^ 福井健策 (2022年9月27日). “著作権が切れるミッキー、怖すぎるプー”. 日経クロストレンド. 2023年3月31日閲覧。
  11. ^ a b c 中谷直登 (2023年3月17日). “殺人鬼『くまのプーさん』ホラー映画、米Rotten Tomatoesで4%スコアを叩き出す”. THE RIVER. 2023年4月1日閲覧。
  12. ^ Ritman, Alex (2022年11月1日). “Viral Low-Budget Horror ‘Winnie-the-Pooh: Blood and Honey’ Getting Theatrical Release in U.S., U.K., Canada, Mexico (Exclusive)”. The Hollywood Reporter. 2023年4月1日閲覧。
  13. ^ 浅野英介 (2023年7月3日). “くまのプーさんがホラー映画に 二次創作可能の背景に「著作権切れ」”. 産経新聞. 2023年7月5日閲覧。
  14. ^ “Screenings of Winnie the Pooh horror film cancelled in Hong Kong” (英語). The Guardian. Reuters (Guardian Media Group). (2023年3月21日) 
  15. ^ “「くまのプーさん」題材のホラー映画、香港とマカオで上映せず=配給会社”. BBC. (2023年3月22日). https://www.bbc.com/japanese/65035222 2023年3月25日閲覧。 
  16. ^ “香港で「プーさん」モチーフのホラー映画が公開中止に…「習氏への忖度か」と臆測呼ぶ”. 読売新聞. (2023年3月23日). https://www.yomiuri.co.jp/world/20230323-OYT1T50111/ 2023年3月25日閲覧。 
  17. ^ Donatobomb (2023年6月23日). “実写ホラー映画『プー あくまのくまさん』レビュー 血とはちみつは混ぜてはいけないことを教えてくれる作品”. IGN Japan. 2023年10月21日閲覧。
  18. ^ Winnie-the-Pooh: Blood and Honey, Megan Fox sweep the 2024 Razzie Awards”. Entertainment Weekly (2024年3月9日). 2024年3月10日閲覧。
  19. ^ 入倉功一 (2024年3月9日). “最低映画賞ラジー「クマのプーさん」ホラーが作品賞含む5部門受賞”. シネマトゥデイ. 2024年3月10日閲覧。

関連項目

  • マッド・ハイジ - 本作品と同じく著作権切れにより製作された映画として、日本ではほぼ同時期に公開された。

外部リンク