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ウネンラギア亜科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウネンラギア亜科
生息年代: 中生代白亜紀後期, 98–66 Ma
アウストロラプトル(左上)とブイトレラプトル(右上と下)の復元骨格
地質時代
後期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria
: ドロマエオサウルス科 Dromaeosauridae
亜科 : ウネンラギア亜科 Unenlagiinae
学名
Unenlagiinae
Bonaparte[1]1999

ウネンラギア亜科(ウネンラギアあか、Unenlagiinae)は、主に後期白亜紀南アメリカ大陸から化石が発見されている、ドロマエオサウルス科に属する獣脚類恐竜の亜科。北半球に分布していたドロマエオサウルス亜科など真ドロマエオサウルス類と比べて吻部が細長く、また走行に適した脚の構造をしていた。小型の獲物を捕らえていたと推測されている。

特徴

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アウストロラプトルの生態復元図

ウネンラギア亜科の大半はアルゼンチンで発見されている。最大の属は全長5 - 6メートルのアウストロラプトルで、最大のドロマエオサウルス科恐竜の一つでもある[2]。ウネンラギア亜科を他のドロマエオサウルス科から区別する特徴には、長い血道弓と上方突起により硬くなった尾、縮小した第二趾の爪、後方に向いた恥骨、非常に長い吻部がある。またウネンラギア亜科には上端が狭まってアークトメタターサルに近い構造をなした中足骨を備えた細長い後肢がある。このような真ドロマエオサウルス類とは異なる解剖学的特徴は、パンゲア大陸ゴンドワナ大陸ローラシア大陸に分かれたことにより、他の近縁属種から地理的に孤立して異所的種分化英語版が起きたことによる[3][4]

系統

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2017年のハルシュカラプトルの記載の際にCauらはウネンラギア亜科を以下のように位置付けたドロマエオサウルス科の系統解析を発表した[5]

ウネンラギア亜科

アウストロラプトル

ブイトレラプトル

ウネンラギア・コマフエンシス

ウネンラギア・ペイネミリ

ネウケンラプトル

2019年にヘスペロルニトイデスが記載された際、ウネンラギア亜科を含む原鳥類の多くのグループに系統解析が行われた。同研究ではラホナヴィスピロラプトルダコタラプトルがウネンラギア亜科に位置付けられた[6]

ウネンラギア亜科

アウストロラプトル

ブイトレラプトル

ピロラプトル

パンパラプトル英語版

ラホナヴィス

ダコタラプトル

ウネンラギア

古生物学

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ブイトレラプトルの中足骨

Gianechiniらによる2020年の研究では、ゴンドワナ大陸に生息していたウネンラギア亜科は ローラシア大陸の真ドロマエオサウルス類とは異なる狩りの特殊化を遂げていたことが示唆されている。真ドロマエオサウルス類の第II趾の第二趾節骨は短く、短く広い中足骨や、趾骨と中足骨の蝶番状の関節面と組み合わさって、趾骨により生み出される力を強めることができた。おそらくこれにより真ドロマエオサウルス類はウネンラギア亜科と比較して足の握力が強く、より大型の獲物を効果的に押さえつけて殺傷できた。対してウネンラギア亜科の中足骨はアークトメタターサル構造に近くかつ細長く、そして蝶番状の関節も真ドロマエオサウルス類ほど発達しておらず、彼らと比較して走行性が高く高速で走ることができたと推測される。加えて、第II趾の第二趾節骨が長いことから、小型で素早い獲物を捕らえるための俊敏な動作も可能だった。これらの形態の差異は、移動能力や狩りのスタイルを左右し、南北半球でそれぞれのドロマエオサウルス科を形作った進化の過程に影響した、重要な特徴であった可能性がある[4]

出典

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  1. ^ シャルル・リュシアン・ボナパルト or en:José Bonaparte
  2. ^ Novas, F. E.; Pol, D.; Canale, J. I.; Porfiri, J. D.; Calvo, J. O. (2008). “A bizarre Cretaceous theropod dinosaur from Patagonia and the evolution of Gondwanan dromaeosaurids”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 276 (1659): 1101−1107. doi:10.1098/rspb.2008.1554. ISSN 1471-2954. PMC 2679073. PMID 19129109. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2679073/. 
  3. ^ Gianechini, F. A. (2011). “Unenlagiinae revisited: dromaeosaurid theropods from South America”. Anais da Academia Brasileira de Ciências 83 (1): 163−195. doi:10.1590/s0001-37652011000100009. PMID 21437380. 
  4. ^ a b Gianechini, F. A.; Ercoli, M. D.; Díaz-Martinez, I. (2020). “Differential locomotor and predatory strategies of Gondwanan and derived Laurasian dromaeosaurids (Dinosauria, Theropoda, Paraves): Inferences from morphometric and comparative anatomical studies”. Journal of Anatomy 236 (5): 772−797. doi:10.1111/joa.13153. PMC 7163733. PMID 32023660. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7163733/. 
  5. ^ Cau, A.; Beyrand, V.; Voeten, D. F. A. E.; Fernandez, V.; Tafforeau, P.; Stein, K.; Barsbold, R.; Tsogtbaatar, K. et al. (2017). “Synchrotron scanning reveals amphibious ecomorphology in a new clade of bird-like dinosaurs”. Nature 552 (7685): 395−399. Bibcode2017Natur.552..395C. doi:10.1038/nature24679. PMID 29211712. https://www.researchgate.net/publication/321609878. 
  6. ^ Hartman, S.; Mortimer, M.; Wahl, W. R.; Lomax, D. R.; Lippincott, J.; Lovelace, D. M. (2019). “A new paravian dinosaur from the Late Jurassic of North America supports a late acquisition of avian flight”. PeerJ 7: e7247. doi:10.7717/peerj.7247. PMC 6626525. PMID 31333906. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6626525/.